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基調講演
『精神障害者のホームヘルプサービスとは』
講師 西南学院大学社会福祉学科
平 直子 先生
 
西南学院大学 平 直子(たいらなおこ)講師 プロフィール
上智大学文学部社会福祉学科卒業
精神科ソーシャルワーカーとして病院、及びクリニックに勤務
1996年ダンディー大学大学院(英国)ソーシャルワーク学修士課程終了
英国ソーシャルワーカー資格取得
1997年から2001年まで全家連保健福祉研究所に研究員として勤務
2002年4月から西南学院大学文学部社会福祉学科講師・精神保健福祉士
 
平成15.2.27 15:40〜17:00
精神障害者のホームヘルプサービスとは
西南学院大学 社会福祉学科 平 直子
 
1. 精神障害をもつ人へのホームヘルプサービスの概要
2. ホームヘルプサービスの意義
3. ホームヘルプサービスのあり方
4. ホームヘルプサービスの実施状況
5. 家族と家族会の役割
6. 課題
 
参考文献
1. 全家連:月刊ぜんかれん 2002年1月号
2. 精神障害者社会復帰促進センター/全家連:季刊地域精神保健福祉情報誌レビュー34号, 2001
3. 厚生労働省:精神障害者居宅生活支援事業に関するQ&A集. 2002年2月
4. 厚生労働省:精神障害者居宅介護等事業運営要綱. 2002年3月27日
 
1. 精神障害をもつ人へのホームヘルプサービスの概要
 
「精神障害者居宅介護等事業は、精神障害者の社会復帰の促進を図るため、精神障害のために日常生活を営むのに支障のある精神障害者につき、その者の居宅において食事、身体の清潔の保持等の介助その他の日常生活を営むのに必要な便宜であって・・・」
〔精神保健福祉法 50条の3の2〕
 
1)ホームヘルプサービスの概要と利用の仕方【資料】
2)ホームヘルプサービスの特徴
(1)関係作りが援助の土台
(2)「身辺介護」は、「その気にさせる関わり」「環境整備」が主
(3)共に行うこと、助言が重要な意味を持つ
 
2. ホームヘルプサービスの意義
 
表1 精神障害者へのホームヘルプサービスの意義
■精神障害者本人の福祉向上
◇地域生活上のニーズ充足
◇地域生活の維持
◇社会的入院から地域生活への移行の促進
◇「生活の質(QOL)」の向上
■家族の福祉向上
◇家族の負担軽減、福祉向上
■サービス提供者側に対する意義
◇精神障害者に関わる多様な人材の形成
◇新しい地域ケアプログラムの発展
◇精神保健専門機関を必要とする人たちのアプローチのきっかけを提供
■一般社会に対する意義
◇精神障害者についての正しい理解の促進、偏見の是正
◇障害種別間の福祉サービス格差と市町村間精神障害者施策格差の是正
 
《今までないサービス》
1対1の横の関係
実際の生活の支援
家に来てくれる
心地よさを運ぶ
外の空気を運ぶ
−ヘルパーだけと会話
 
「精神障害者社会復帰促進センター/全家連:精神障害者ホームヘルプサービスガイドライン(第1版)」
 
3. ホームヘルプサービスのあり方
1)自律のためのサービス
 
(1)
代行が必要な人、必要な時期、必要な日には代行をする
(2)
もてる力を出せるような働きかけをする
 
自立の意味には二つの意味
(1)
自分でできるようになること
(2)
自己選択・自己決定に基づき他者の援助も得ながらライフスタイルを確立
(2)の自律が大切
 
※ホームヘルプサービスの利用を通し自分でできるようになる面はあるが、ホームヘルプサービスは、あ<までも生活支援サービスであり、訓練や医療ではない。
 
2)一人ひとりに配慮したサービス
 
4. ホームヘルプサービスの実施状況
厚生労働省精神保健福祉課の実施率調査・・・全国平均70.5%
徳島県:56%、香川県100%、愛媛県78.6%、高知県66.6%
今年度厚生労働省がつけている予算:4000人分
ホームヘルプサービス事業予算 3億(H14年度)→7.2億円(H15年度予算案)
重点施策5カ年計画 精神障害者ホームヘルパー3300人の確保
 
5. 家族と家族会の役割
1)家族の役割
(1)情報の入手・サービスについての理解
(2)対象になる人たち、その家族への情報の提供
(3)サービスの利用
(1)仲人役
(2)支援役
 −疑問点、不明な点を団体に尋ね、また、希望や不満を団体に伝える
(3)その他
(4)ヘルパーと協力・連携・支援
2)家族会の役割
(1)家族へ情報の提供
(2)ヘルパー研修などへの協力
(1)講師として参加 (2)実習(作業所等の見学)の受け入れなど
(3)市町村への働きかけ
 −早い実施へ・利用しやすいサービスヘ
(4)その他
 
6. 課題
 
(1)
ホームヘルプサービスのニーズの明確化と顕在化
(2)
サービス提供組織の確保
(3)
障害特性に配慮しニーズにあわせた利用しやすいサービスの提供
(4)
精神障害について理解し配慮の出来るヘルパーの確保・養成
(5)
ニーズのある人をサービスに結びつけること
(6)
サービス提供組織の体制作り
(7)
サービス提供組織と精神医療・保健・福祉機関との連携
(8)
財政システムの確立
(9)
地域生活を支える地域医療と保健システムの構築−これ抜きには在宅支援難しい
(10)
生活支援サービス・利用できる制度の拡充
(11)
当事者主体のサービスの確立
(12)
当事者の力を生かしたサービスの確立 など







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