日本財団 図書館


(6)本散布試験に関する問題点等
 本散布装置は、ヘリコプター搭載用として種々の制約(※メーカー側コメントを欄外に記載した。)の中で製作されたものと推測されるが散布試験を通じて問題点を挙げると以下の通りである。
 
〔1〕ノズル散布管の幅が狭い⇒分散剤の散布幅が3mで空中散布としては狭い。
〔2〕ノズル個数・間隔・配置
イ. ノズル個数が多い ⇒散布量の増大
ロ. ノズル間隔が短い ⇒散布幅が狭い
ハ. ノズルの配置が悪い⇒重ね撒きとなり過剰散布
〔3〕散布時間⇒180s、155s、140sと短い
〔4〕散布回数⇒(3)項により飛行回数が多い
〔5〕分散剤の積み込み⇒ヘリコプター内部の空間が狭い
 
 主たる問題点は以上であるが、
イ. 上記の問題点は防除作業に長時間を要する
ロ. パイロット及び作業員等の長時間の拘束
等が挙げられる。
 なお、参考として散布幅を10mとした場合の散布面積、油層厚さ、散布回数を(7)に示した。
 
※メーカー側コメント
 製作メーカー側のコメントを以下に記載する。
1 スプレーブームの形状について
(1)エマージェンシーフロートの展張の妨げとならない様に設計した。
(2)機体改修を出来る限り少なくするための取り付け方法とした。
(3)シンプルな形状とし航空法上の諸問題が最小限となる様にした。
2 タンク・アッシィの大きさについて
(1)人命救助用のホイスト(インターナルホイスト)が機内にあり、タンクを大きく出来ない。
(2)タンクを大きくすると、キャビン内の乗組員の非常脱出の妨げとなる。
(3)上記がクリアであれば、現状(約400l)の3倍位は積載能力はある。
 
[参考]
 
(7)散布幅を10mとした場合の散布面積、油層厚、散布回数
 
表−IV.2.7 通常型分散剤の場合
散布速度
(ノット)
散布面積
(m2
油層厚
(mm)
散布粒径
(μm)
散布回数 備考
10ノット
(5.1440m/s)
9,260
7,970
7,200
0.21
0.24
0.27
200 108
125
139
 
20ノット
(10.288m/s)
18,520
15,950
14,400
0.10
0.12
0.13
100 54
63
69
 
* 油量は1.93m3
 
表−IV.2.8 S−7分散剤の場合
散布速力 散布面積
(m2
油層厚
(mm)
散布粒径
(μm)
散布回数 備考
10ノット
(5.144m/s)
9,260
7,970
7,200
1.04
1.21
1.34
100 108
125
139
 
20ノット
(10.288m/s)
18,520
15,950
14,400
0.52
0.61
0.67
500〜600 54
63
69
 
30ノット
(15.432m/s)
27,770
23,920
21,600
0.35
0.40
0.45
300〜400 36
42
46
 
40ノット
(20.576m/s)
37,040
31,880
28,800
0.26
0.30
0.34
200〜300 27
31
35
 
* 油量は9.65m3
 
(備考)
1 散布面積=散布幅(10m)×散布距離(m)
 
2 油層厚=流出油量(m3)÷散布面積
 
3 散布粒径:油層厚さから想定
4 流出油の拡散面積を1.0km2と仮定し、それぞれの散布面積で除した回数
 
IV−3 農薬の航空機用散布装置
 農薬散布に使用される散布装置を装備するヘリコプターが同装置を使用して油分散剤を散布出来れば、短期間に効率的に活用できるものと思われる。よって、我が国における農薬散布用航空機及び散布装置の現状について(社)農林水産航空協会から聞きとり調査した。
 
1 (社)農林水産航空協会
(1)目的
 農林水産業における航空機による薬剤、肥料の散布等航空機を利用する事業(以下「農林水産航空事業」という)の発展を図るため、農林水産航空事業に関する計画の樹立、調査研究、新技術の開発その他農林水産航空事業の振興に関する事業を行うことを目的とする。
(2)会員名簿
 表−IV.3.4のとおり
 
2 会社別ヘリコプター稼動実績(平成13年度)
 
表−IV.3.1 会社別ヘリコプター稼動実績
(拡大画面:14KB)
 
3 農薬散布装置を備えた主要機の要目
 
表−IV.3.2 農薬散布装置を備えた主要機の要目
(拡大画面:15KB)
 
写真−IV.3.1
アエロスパシャルAS350B(エキュレイユ)(奥)(手前は、川崎ベル47G3B−KH4)
 
写真−IV.3.2 ヒューズ500D
 
写真−IV.3.3 ベル206Bジェットレンジャー







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION