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2 取扱訓練の概要
(1)目的
 油分散剤空中散布装置(OIL SPILL FIGHTER)の取扱慣熟を目的とし、また、同訓練に併せ、関係機関及びメーカーにより同装置の運用に係る散布高度、速力等の検証を行った。
 
(2)実施日、実施場所
 平成13年4月16日(月)、江ノ島沖(北緯35度13.0分 東経139度25.0分を中心とする半径3海里の円内海域)
 
(3)訓練(実証試験)実施内容
〔1〕装置可動試験
 MH684を飛行甲板に搬出、駐機、装置に清水を搭載(全量搭載・386l)、散布圧3段階の各段階とも満タンから散布し、作動試験及び散布時間の計測。
 
写真−IV.2.6 装置可動試験
 
〔2〕航空機運用訓練(試験)
〔散布圧力第1段階(弱)〕
 飛行高度約50フィート・飛行速度相対20ノット、飛行針路、風上・風下(散布約30秒間)。
 散布後、警備救難艇により海面の着色状況等調査、記録。
 警備救難艇による目視結果、機長・機上整備士、メーカー助言等により散布圧力・飛行高度(50〜100フィート)・飛行速度相対20ノット等は協議して決定する。
 
写真−IV.2.7 航空機運用試験
 
写真−IV.2.8 散布試験
 
写真−IV.2.9 散布試験
 
3 訓練(実証試験)の評価
(1)散布装置
 
表−IV.2.1 散布装置の概要
項目 要目 備考
分散剤タンク容積(l)
容量(l)
散布管径(インチ)

ノズル個数(個)
ノズル間隔
スプレーブーム巾(最長)
製造メーカー
圧力(可変)
流量(l/s)
駆動
価格
408
386
外径0.875〜1.00
内径0.805〜0.93
片側8 計16
約20cm
約130cm
Heli-Dyme Systems.Inc.
弱 中 強
2.14 2.49 2.76
電動モーター
約2,000万円


材質アルミ








1台当り
 
(2)散布条件
〔1〕散布速度(1ノット=1,852m/h=1,852/3,600m/s=0.5144m/s)
イ. 10ノット=5.144m/s
ロ. 20ノット=10.288m/s
〔2〕散布高さ(1フィート=0.3048m)
イ. 30フィート=9.144m
ロ. 50フィート=15.24m
(3)分散剤に対する流出油量(仮定)
 
〔1〕通常型
油:分散剤=100:20
100:20=X:386
X=1,930l
〔2〕S−7型
油:分散剤=100: 4
100: 4=X:386
X=9,650l
 
(4)試験結果
〔1〕散布装置の散布性能(陸上試験)
 
表−IV.2.2 性能試験結果
圧力 散布量 (l) 散布時間 (s) 散布性能 (l/s) ノズル1個 (l/s)


386
386
386
180
155
140
2.14
2.49
2.76
0.134
0.156
0.153
(注:ノズル1個(l/s)は、全ノズル個数を16個として計算した。)
 
〔2〕散布幅
散布速度 10ノット、散布高さ 30フィート(9.14m)
散布幅 約3m
〔3〕散布面積、散布距離
イ. 散布面積=散布幅×散布速度×散布時間
ロ. 散布距離=散布面積/散布幅
 
表−IV.2.3 散布面積、散布距離の算出
速力(ノット) 散布量 散布面積(m2 散布距離(m) 備考
10

2,778m2
2,392m2
2,160m2
926m
797m
720m
3m×(10ノット×0.5144m/s)×180s
3m×(10ノット×0.5144m/s)×155s
3m×(10ノット×0.5144m/s)×140s (注:散布面積は上記計算式で算出。)
20

5,556m2
4,784m2
4,321m2
1,852m
1,595m
1,440m
5,556m2/3m
4,784m2/3m
4,444m2/3m
(注:散布距離は上記計算式で算出。)
30

8,333m2
7,176m2
6,481m2
2,777m
2,392m
2,160m
 
40

11,112m2
9,568m2
8,642m2
3,704m
3,188m
2,880m
 
 
〔4〕油層厚の推定
 油層厚さは3(3)で求めた流出油量及び(4)の試験結果から次式により求めた。
油層厚(mm)=流出油量(m3)/散布面積(m2
 
(5)試験結果のまとめ
 前述した試験値及び計算値等を纏めて表に示す。
 なお、表の各項目の意味は、以下のとおりである。
 
表−IV.2.4 各項目の意味
番号 項目 意味 備考
(1) 散布速度(ノット) ヘリコプターの散布速度  
(2) 散布時間(s) 分散剤タンクに積載した容量386l(陸上試験)を(5)の散布量により散布するに要した時間  
(3) 散布距離(m) (1)散布速度及び(2)散布時間から求めた距離  
(4) 散布面積(m2 散布幅海上(試験)3mに(3)散布距離を乗じて求めた面積  
(5) 散布量 陸上試験における3段階の圧力  
(6) 分散剤流量(l/s) 積載した386lを(2)散布時間で除して求めた流量  
(7) 流出油量(m3 通常型及びS−7型の油:分散剤比から求めた油量
通常型:100:20=X:386,X=1,930l
S−7型:100: 4=X:386,X=9,650l
 
(8) 油層厚(mm) (7)流出油量を(4)散布面積で除して求めた厚さ  
(9) 想定粒径(μm) (8)油層厚さから想定した粒径  
(10) 散布(飛行)回数(回) 流出油の拡散面積を1.0km2と仮定してそれぞれの
(4)散布面積で除した回数
なお、拡散面積1.0km2は、流出油量1,000kl、油膜厚さ1.0mmに相当する。
 
 
表−IV.2.5 試験結果のまとめ(通常型)
(1)
散布速度
(ノット)
(2)
散布時間
(s)
(3)
散布距離
(m)
(4)
散布面積
(m2
(5)
散布量
(6)
分散剤流量
(l/s)
(7)
流出油量
(m3
(8)
油層厚
(mm)
(9)
想定粒径
(μm)
(10)
散布回数

10
(5.144m/s)
180
155
140
926
797
720
2,778
2,392
2,160


2.14
2.49
2.76
1.93
1.93
1.93
0.70
0.81
0.89
500〜600 360
418
463

20
(10.288m/s)
180
155
140
1,852
1,595
1,440
5,556
4,784
4,321


0.35
0.40
0.45
300〜400 180
209
231
30
(15.432m/s)
180
155
140
2,777
2,392
2,160
8,333
7,176
6,481


0.23
0.27
0.30
200〜250 120
139
154
40
(20.576m/s)
- - -

- - - -
*試験値
 
表−IV.2.6 試験結果のまとめ(S−7)
(1)
散布速度
(ノット)
(2)
散布時間
(s)
(3)
散布距離
(m)
(4)
散布面積
(m2
(5)
散布量
(6)
分散剤流量
(l/s)
(7)
流出油量
(m3
(8)
油層厚
(mm)
(9)
想定粒径
(μm)
(10)
散布回数
10 180
155
140
926
797
720
2,778
2,392
2,160


2.14
2.49
2.76
9.65
9.65
9.65
3.47
4.03
4.47
- -
20 1,852
1,595
1,440
5,556
4,784
4,321


1.74
2.02
2.23
1,500〜2,000 -
30 2,777
2,392
2,160
8,333
7,176
6,481


1.16
1.34
1.49
1,000〜1,300 -
40 180
155
140
3,704
3,188
2,880
11,112
9,568
8,642


9.65
9.65
9.65
0.87
1.01
1.12
700〜1,100 90
105
116
*試験値







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