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東京フォーラム 講師紹介
堂園文子 Dozono Fumiko
堂園メディカルハウス総合マネージャー
 ホスピス科・産婦人科等をもつ診療所において、家族のケアを含めたホスピスケアを実践。病院全体のめざす理念にもとづいて、医療スタッフにたいするケアをさまざまな形で試みている。1953年横浜生まれ。慶応大学文学部卒。鹿児島大学医学部保健学科非常勤講師、社会福祉法人塔之原福祉会顧問。
 
1. 肯定的な別れ(死別)
 
2. 家族へのケア
 〜事例をまじえて〜
 
3. スタッフのケア
 〜組織の文化で支える〜
 
堂園メディカルハウス住所 〒890−0052 鹿児島市上之園町3−1
Tel 099−254−1864
Fax 099−259−2469
E-mail info@dozono.co.jp
 
 1996年に鹿児島市で、がん総合診療科、産婦人科、東洋医学科、アトピー治療、ホスピス治療を備えてオープン。ストレスを取り除く空間づくり、方法づくりに取り組みながら、総合芸術的なケアの提供、そして文化としての医療福祉の確立をめざしている。
 
斉藤悦子 Saito Etsuko
静岡県立静岡がんセンター・ボランティアコーディネーター
 全人ケアを目指す医療法人東札幌病院で専任のボランティアコーディネーターとして1995年から2002年3月まで勤務する。文字を使った川柳の会、音楽会、絵を描く会、患者のライフレビューに繋がる個展など、患者ニーズの実現が家族のケアに繋がる実践を重ねてきた。ホスピタルアートプログラムの展開をボランティアと協働している。
 
はじめに
 これまで不治の病とされてきた病気が治癒、または寛解といわれるものが多くなり、がんも慢性病の一つと考えられるようになってきた。がんの5年生存率は高まりそれと共に長い生を家族も病と共に生きることになり患者と共に苦痛を抱えて生きるケアされる人である。
 医療の現場で終焉を迎える患者を抱えた家族の戸惑い、無力感と絶望感のふちに在る家族へのサポートの必要を痛感し患者と共にできることを志向した。
 患者と共に生きる家族との協働作業、患者の個展を通して行った家族のケアの実践を報告する。
 
1. 個展開催の経緯
 昭和58年開設の東札幌病院は開設当初からボランティアが活動し、患者の近くで行動していた。患者の個展は、患者の生活リハビリのサポートをしていたボランティアの発案から開始した。
 
2. 個展の意味
 患者の個展の開催は、死を迎える患者を抱えた家族の出来る事の一つである。家族は患者の死を覚悟しながらも、死に逝く患者をただ見守るしかない自分たちに無力感を覚え苛立ちに変わっていく事がある。
 そのような家族が最期に自分たちも出来る事があったと喜び、家族の協働から家族の絆を深め患者と共に生きなおしが始まる。また患者自身は自己の作品を通して、越し方を振り返るライフレビューの機会となる。
 個展開催に向かう患者は生気に満ち溢れ、これまでの病床の患者とは思えない輝きのひと時を持つ。
 個展は患者を取巻く職員、患者、ボランティアも作品の鑑賞を通し視覚からの癒しの時間を得る事になる。
 
3. 事例報告
 これまで開催した個展の回数は8回、その内容と作品のレベルは多様である。その中から家族自体が個展を通して変化していった2事例について報告する。
ケース1:S氏60歳から始めた油絵〜懐疑的だった家族の変容
ケース2:キルト展にこめられた家族の絆
 
静岡県立静岡がんセンター
住所 〒411−8777 静岡県駿東郡長泉町下長窪1007
Tel 055−989−5222
Fax 055−989−5783
E-mail info@scchr.jp
 
 2002年9月に開院したがんセンター。患者とその家族を心身両面にわたって支援することをめざしている。最新の設備を整え、また木々の音を聞きながら散策できるガーデンホスピタルも備えている。
 
牧野史子 Makino Fumiko
介護者サポートネットワークセンター・アラジン代表
 千葉大学教育学部小学校教員養成課程教育心理学科卒。大学時代セツルメント活動を通じ、組織活動のあり方を学ぶ。4年間の教員生活の後、夫の転勤に伴い名古屋・福岡などで、子ども関係の地域活動に取り組む。西宮に移り住んで3ヶ月で震災にあい、半年後仮設住宅の高齢者を支援する組織「西宮地域たすけあいネットワーク」を立ち上げ、6年間さまざまな高齢者・障害者の社会参加活動を市民参画で創りだし、運営してきた。昨年4月、東京へ戻り課題となっていた「介護者のケア」を提唱し、「介護者サポートネットワークセンター・アラジン」を再び立ち上げ、介護者を支えるしくみづくりを模索している。
 
「孤立した介護者を社会へつなぎ、地域で支えるしくみづくり」
1. 活動を始めるに至る背景
―阪神大震災後の仮設住宅高齢者支援コーディネートでみえたもの
 
2. アラジンの取り組み
■介護当事者へ
(1)自己解放できるたまり場づくり(介護者の会の各地立ち上げ・支援)
・港区・世田谷区・調布市など
*ネットワークづくりへ
(2)個別訪問―介護の抱え込み状態の介護者のもとへ赴き、寄り添う
*人材養成「ケアラーズフレンド」創出事業
1−話を聞く(受け止め、寄り添う)
*ヒーリングセラピーを導入(リラックス・スムーズなコミュニケーション効果)
2−問題解決のてがかりを提示する(情報提供)
3−「介護者の会」へのいざない、働きかけ(社会参加のきっかけとして)
(3)コーディネート機関として―特別電話相談の開設
 
■地域社会へ
(1)たて型社会から横型ネットワーク社会へ
 協働・連携の試行
・ニーズの掘り起こしは待ち型ではできない。
・各機関がネットワークすることにより可能になるケースの実証
(2)「介護者への具体的なサポート」への家族・社会の啓蒙活動
 
3. 願い―文化の再構築
*個人の尊厳と権利を自分が守るということ―自己教育の場をつくりたい
*すべて役割や属性で判断されたり、演じたりだけの人生だけでなく、個人の特性を大事にされ、生かされる社会を目指して―
 
介護者サポートネットワークセンター・アラジン
住所 〒106−0032 東京都港区六本木4−7−14 みなとNPOハウス
Tel 03−5775−7964(火・水・金 11:00〜16:00)
Fax 03−5775−7964
 
 家族で介護を抱え込んでいる在宅の介護者に、社会との接点、心身のリフレッシュの場を提供することをめざして、2001年に設立。介護する人の心に寄り添うことのできる人材育成活動等や介護者(当事者)組織の育成をとおして新しい家族支援のあり方を模索している。







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