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「ケアする人のケア」日米フォーラム 東京
2002.11.9 Sat. 14:00〜17:00
プレ・フォーラム
ケアにかかわる人の創造的な学び
 「人間として人間の世話をする」――医療や福祉や教育の現場で、こうしたケア本来のあり方について考えたり語られたりする場がどれぐらいあるでしょうか。
 看護、介護、介助、こころの癒しといった分野で、ケアの重要さが叫ばれています。ケアは、もともと人間の存在に根ざしたかかわりのことであり、人間と人間の信頼を築く実践でもあります。しかし、その専門性、機能性、効率性などについては個々に論じられることはあっても、「豊かな生の営み」として総合的に問われることは少ないのではないでしょうか。
 「豊かな生の営み」としてのケアは、人間の生老病死について深い知識を得て、人間の存在の謎にせまる学びでもあり、未来の人間性について思いめぐらす学びでもあります。
 このプレ・フォーラムでは、医療、福祉、教育の現場などで、ケアにかかわる人、またはケアについて学んでいる学生を対象に、自他を育み、自他を成長させるケアの創造的な学びのあり方を考えてみたいと思います。
 
プログラム
14:00−14:10 イントロダクション
 半田結(東北公益文科大学公益学部助教授)
 
14:10−15:10 キーノートスピーチ
「ケアの本質と魂の交流」
 他者の生に触れることは、相手のまなざしの前に自らの存在がさらけ出されることでもある。他者に向き合う営みのなかで、ケアする人はどのように自己と対話をしはじめるのか、そして、他者との魂の交流をいかに育んでいくことができるのかを考える。
 佐藤登美(静岡県立大学看護学部教授)
 
15:10−16:00 事例報告1
「ヘルスケア従事者にたいする新しいプログラム」
 フロリダ大学では、他者をケアするための知識や技能の習得だけでなく、ケアする人自身の燃えつきや悲嘆、健康管理についてトレーニングするためのプログラムが開発されている。プログラム開発の背景とその効果を紹介し、ケアする人が成長と学びを重ねていくための理念やシステムについて考える。
 ▼ジョセフ・ヘンダーソン
 (フロリダ大学アートとヘルスケアに関する研究教育センター・ディレクター)
 
16:00−16:50 事例報告2
「アートをもちいた医療と看護教育の実践」
 科学的に実証したり言葉で説明しにくい死の意味や死別の悲しみについて学ぶためには、アートや人文科学をもちいることが有効である。他者の生老病死に触れるヘルスケアの現場で、ケアする人が人間の存在について深く考え、人間と人間の信頼を築くための学びについて考える。
 ▼サンドラ・バートマン
 (マサチューセッツ大学病院医学人文科学教授)
 
16:50−17:00 まとめ
 佐藤登美(静岡県立大学看護学部教授)
 
東京プレ・フォーラム 講師紹介
佐藤登美 Sato Tomi
静岡県立大学看護学部教授・学部長
 順天堂看護専門学校卒、筑波大学大学院修了。静岡県立短期大学看護学科教授、札幌医科大学保健医療学部教授を経て、1999年静岡県立大学看護学部教授、2001年より現職。浜松市で1983〜1994年「ひろ〜く“間柄づくり”をめざす研究会」という在宅ケアのためのボランティア活動を展開。著書『ケアの本質を探る―佐藤登美対談』(メヂカルフレンド社、1996年)では、立教大学教授の栗原彬さん、作家の石牟礼道子さん、対人援助職トレーナーの奥川幸子さんらと対談し、現代社会のなかでのケアのはたらきについて考えている。
 
1. 痴呆老人と学生の関わりから
・両者に見られる変化の特徴
 
2. ケアのもたらしたもの
・期待して待つ気持ちから見えてくるもの
・感じやすくなったこころに届けられるもの
 
3. 現代人が“いのちをとりもどす”とき、人間を回復するとき
 
静岡県立大学看護学部
住所 〒422−8526 静岡市谷田52−1







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