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サンドラ・バートマン Sandra Bertman, EdM, LCSW, PhD
マサチューセッツ大学病院医学人文科学教授
 マサチューセッツ大学病院におけるアーツ・イン・ヘルスケア・プログラムの創設ディレクター。著書に『死に直面する―概念、洞察、調停』と『悲嘆と癒しのアート―治癒力としての創造力』。アメリカ・ホスピス緩和医療学会のために開発した「活気をもち続ける」プロジェクトのキュレーター。現在、アフリカ・ボツワナ政府および看護協会と協力してエイズに関係した複数の死、絶え間のない悲嘆、関係する専門化のストレスとバーンアウトに対処する方策と技術を創設している。
 
 科学は治療の手段を私たちに提供するかもしれないが、ケアの手段を提供してくれるのは人文科学である。
 
1. なぜ、アートと人文科学か
 
2. 理論と実践について
・死、臨終、解剖と医学生
・喪失と悲嘆に対処するために芸術を通して解決する。
 
プロのケアをする人、患者と家族に対して
・治療的創造力の訓練
・他者をケアするために、自分自身をケアする。
 
3. 実例を通して
・尊厳と恥辱、心の痛みと苦しみがアートとしてあらわされ、自律性、希望、悲嘆と死の癒しのパラドックスを解決するために取り組む。
・専門家が解剖室で死体を見たり、末期の患者と出会うことによって、医療と人生における個人的な自分への問いかけや深く考えることになり、自分がこれから現場に関わっていくために役立つことにもつながる。
 
References:
- Bertman, S.(1991) Facing Death: Images, Insights and Interventions. NY: Taylor & Francis
- Bertman, S.(1999) Grief and the Healing Arts: Creativity as Therapy. NY: Baywood.
- Kurosawa, A.(1960) Ikiru. Film
 
マサチューセッツ大学病院・人文科学とアートとヘルスケアプログラム
University of Massachusetts Medical School Program in Medical Humanities and the Arts in Health Care
住所 c/o 159 Ward St. Studio Newton, MA 02459 USA
Tel 617−965−1257
Fax 617−332−7273
E-mail sberman@attbi.com
 
 医療現場で働く人たち、医学部、看護学部の学生、慢性の病気や、命に関わる病気を持つ患者たちとその家族、死やその悲しみに直面している患者やその家族に対して教育とトレーニングの向上をめざしている。プログラムはクリエイティブアート、表現療法、文学、精神的価値観、文化的考えを通し、喪失、終末ケアとその課題についてのスキルアップのための基盤を築いている。
 
■主なプログラム――聞き手にあわせて、プログラムを組みたてる
 
●老いと不老の精神―そのイメージ、見識
 ここではビートルズから児童文学までのさまざまな資料、ポップカルチャーから視覚、詩的芸術まで、年をとることへの苦悩と歓喜を露出、探求するさまざまな描写を紹介する。
 
●アートフルな解決策―喪失とその悲しみに向き合う
 芸術は死、喪失とその悲しみの多様性、独特性、共通性への大変貴重な入り口を提供してくれる。効果の高いセラピーのように芸術はわたしたち個人個人の経験を明らかにしたり、表したり、かえりみたり、感謝するように誘う。ここではどのように芸術がわたしたちの見解を新たにし、蓄積された感情を支えるための刺激やカタルシスを引き出すものとして適していると見られているかを証明する。
 
●終末ケア―その苦しみと癒しの芸術
 わたしたちの前に立ちはだかっているもの、わたしたちの後ろに立ち潜んでいるものは、わたしたちの中に横たわっているものと比べれば本当に小さいことである。ソーロウの中心原理はホスピス、緩和ケアの分野において主流となってきている。ここでは新しいケアのモデルの死の時におけるヒーリングの可能として宗教認識を超えた精神性と希望というものについて考える。
 
●多様性の文化―認識から文化的適正能力まで
 私たちがケアの現場で出会う人々の病気、死に対する考え方と死の悲しみと喪に関する理解は非常に多様である。その多様性を助長して対応していくのが正しいのだが実際の現場においてその現実はその説得力にかける。それどころか日々文化とともに変化するところの宗教というもの自体がどれも一般理解に基づいて判断され問題となる。宗教ひとつを取ってもそれに対する考え方は信者それぞれである。ここではレクチャーとワークショップを通して宗教の複雑さ、問題、その慰める力、その関係性を左右する民族性のあり方などについて考える。
 
●ニュースの扱い方
 文献、シネマ、演劇などの印象的な場面から医療関係者と患者の関係の良し悪しを決める微妙な差異を劇的な形で読み取り学ぶことが出来る。ここではビデオとロールプレイを通して援助の方法、コミュニケーション技術、真実を伝えること、患者への診断や状態の悪化を告知すること、されることに伴う個人個人の心配などについて検証する。
 
●緩和ケア―仮説と実践
 緩和ケアとはその人全体のケアを意味する。それには体だけでなく、気持ち、精神、心、魂が含まれる。老いを考えるとき、病気、終末、喪はすべてライフサイクルの行事のようなものである。これらの分野に対応する能力をつけることによりわたしたちは患者や同僚に対して病気の診断以前から健康と良い形で向かい合う援助をすることができるだろう。
 
●良い死とは―死にゆく時の意味解釈と自己決定
 新しい世紀の終末ケアの精神的、実際的問題を革新的に紹介する。変化しつつある自律性、補助殺人、そして希望、ユーモア、グリーフの持つ癒しの力について考える。
 
●嘆きの言語と慰めの芸術
 ここではワークショップ、プレゼンテーションを通して精神的、物語的、美的の三つの治癒能力を確認し、それがどのように他人の苦難に向かい合い、自身の苦難をより良く理解するようにチャレンジし、支持し、またその言葉のとおり支えるかを示す。







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