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ナンシー・モーガン Nancy Pierce Morgan
ジョージタウン大学病院ロンバーディがんセンター・アートと人文科学プログラムディレクター
 トランスフォーマティブ言語芸術(Transformative Language Arts)で文学修士課程を修了し、がんセンターやその他で表現的芸術様式としての文筆を教えている。スミソニアン協会のディスカバリー・シアターのプログラム・ディレクターやジョン・F・ケネディセンターのワシントン・メトロポリタン・アーツ・スーパーバイザーの議長を務めた。15年間、バージニア州アーリントンのコミュニティアート教育プログラム、人文科学プロジェクトをコーディネートした。バージニア州アレクサンドリアのトーピド・ファクトリー・アートセンターの子どもたちのための視覚芸術ガイドをデザイン、制作した。
 
 ロンバーディがんセンターは医療ケアをする人に焦点をあわせた「アートと人文科学プログラム」を設立するための資金を授与された。医療現場での芸術の価値を教えることをスタッフからはじめたが、多くのプログラムは患者や世話をする家族にも及んでいる。
 研究によると、腫瘍学の分野の専門家がどの医療のどの分野よりもバーンアウトの比率が高く、ストレス、悲嘆、極度の疲労を創造的にコントロールするための表現方法を切実に必要としている。私たちはアートを使って有効的な対処の行動のモデルをつくり、一体感を育み、知的刺激を与え、仕事からの休息を提供し、コミュニケーションを改善する。
 医療スタッフにアートを導入する場合の問題には、時間的制約、場所的制限、ケアする人が自分自身をケアすることに抵抗を感じる傾向、アートに対する一般的な意見などが含まれる。これらの障害を乗り越えるために、私たちは面接を行い、調査書を配り、問題解決のためのセッションを開催する。また、私たちのプログラムや参加のための情報をウェブサイト、スタッフ向けのニュースレター、Eメール、ちらし、掲示板での掲示、パンフレットなどで広く周知する。
 さまざまなプログラムを提供するために、文筆のワークショップ、歌、ダンス、ストレッチ運動の指導、粘土、織物、水彩、キルトづくり、パフォーマンス、アート作品の展示などの視覚芸術ワークショップを行ってきた。また、私たちはプログラムの評価、参加者の数、スタッフの発案などで、進捗状況を確認し、創造的な計画に参加者が増加することを受けて、病院全体の美的な改善の要求を行う。
 現在までに医師、看護師、開発室のメンバー、支援スタッフ、病院の牧師、患者、ケアをする家族が、このがんセンターのアートプログラムに関わってきた。それは創造的精神の開花、生活の質の向上、各個人がもつ多面性をみる能力、ロンバーディが命を肯定的に支持する機関であることの認識を深める結果となった。心身を衰弱させる慢性の病気に向かいながらも、ロンバーディはアートを通じて命を褒めたたえている。
 
待合室には癒しのシンボルである水が流れるオブジェが展示されている。
 
ジョージタウン大学病院
ロンバーディがんセンター アートと人文科学プログラム
Georgetown University Medical Center Lombardi Cancer Center Arts and Humanities Program
住所 3800 Reservoir Road, NW Washington, D. C. 20007
Tel 202−687−5228
E-mail npm2@georgetown.edu
 
 ロンバーディがんセンターは、ジョージタウン大学病院によって、1970年に設立された。がん治療、研究、教育におけるリーダーシップをとっているナショナルがんセンターであり、最新治療を行う総合がんセンターであり、患者のケア、リサーチ、教育、コミュニティ活動を行う。
 ロンバーディがんセンターアートと人文科学プログラムでは、患者や、その家族、介護者がもっとも最適な人生経験を送れるように病気に対して創造的、建設的な対応をすすめるための活動、情報、教育、環境を提供している。芸術を通して病気への対処、変化に対応するための、また感情表現、コミュニケーション、問題解決の手立てとしてのさまざまな表現方法を提供している。
 
■プログラム
●クリエイティブ・ライティングワークショップ
 参加者は詩、ジャーナル・ライティング、体験記、エッセイなど自己表現を助けるさまざまなライティングスタイルを学ぶ。
 
●美術ワークショップ
 キルト、タペストリー、粘土、ステンドグラス、コラージュ、アーティストブックなどプロのアーティストによる基礎指導と、材料提供、テクニック指導、サポートが得られる。
 
●精神性(スピリチュアリティ)のためのセミナー
 伝道と霊的指導のケアによって導かれる。
 
●歌のためのタイムアウト
 スタッフが患者とともにもしくは患者のために歌う。
 
●アトリウム展覧会
 地域アーティストによる毎月開かれる美術展覧会。
 
●パフォーマンスシリーズ
 ロンバーディアトリウムや集会所で水曜に開かれる、地域に住むパフォーマーによるランチタイムプレゼンテーション。
 
●アーティスト・イン・レジデンス
 すべての芸術の分野を代表するアーティストがロンバーディの一員としてテクニックを紹介したり、展覧会を開いたり、パフォーマンスを行ったり、基礎レベルのクラスを教えたりする。
 
●ストレッチ、身体表現
 ストレス解消、筋力調整、柔軟性強化のためスタッフ、患者にわかれたコースが提供されている患者のワークショップに関しては身体的必要性に応じて調整されたプログラムが用意されている。
 
●アート・チョイス
 入院中の患者さんが病室に個性を持たせるためにナショナルギャラリーの作品の額入りカラーコピーの好きなものを選択して飾ることができる。また、アートをどのようにメディテーションやクリエイティブラィティングに取り入れていけるかを学ぶ。







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