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(4)地方公共団体への提言
(1)BSCによる総合計画と行政改革大綱の一体的展開
 前述の通り、多くの地方公共団体では総合計画と行政改革大綱が別物となっており、一体的なマネジメントに生かされていないケースが見られる。特に、部課レベルでは両者は分離している場合がほとんどである。また、総合計画が総花的になっており、重点戦略・目標が曖昧となっているケースも多い。
 BSCは、「顧客」の視点を中心にしてビジョン・戦略を可視化することによって、こうした問題を解決するプラットフォームということができる。
 こうした特性を生かし目標管理の仕組みとしてBSCの導入を検討することにより、多元的な視点に立って具体的かつ分かり易いビジョン・戦略を組織一体で作り上げることが望まれる。
 
(2)目標管理ツールとしてのBSCの活用
 目標管理の仕組みを具体化するためには、BSCのように業務の成果のみならずプロセスを合わせて評価する仕組みを活用することが効果的である。
 目標管理システムの導入に当たっては、トップと管理職のコミュニケーションを促進させ、各視点に基づく定量的・客観的な指標を共有することで始めて、組織として一体化されたPLAN−DO−SEEが機能する。よって、BSCを活用した目標管理の仕組みの導入に当たっては、従来以上に組織としての目標を意識した上で、トップと各部門とのコミュニケーションを促進させることが望ましい。
 
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 また、トップとの効果的なコミュニケーション等を踏まえて、各管理職に与えられた戦略目標をもとに定量的な指標を一覧形式でツールに落とし込むことで、各部門(管理職)のミッションの理解を促進するとともに、その後の効果的な業績管理を実現することができる。
 さらに、管理職にて設定された各指標を更に細分化することで、個々の職員の目標も明確化される。このような目標の連鎖を明確にすることによって、職員レベルの目標管理の構築を進めていくことが可能となる。職員レベルにおいても、自発的に定量的な目標が設定されることが望ましい。この場合、公平性があり、個々が納得できる目標を設定するためにも、事前に管理職とのコミュニケーションを促進することが必要である。
 
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(3)ABCとの組み合わせ
 BSCは、さまざまな経営に関わる取り組みを一覧で可視化することを可能にするしくみである。効果的に活用するためには、そのプラットフォームとしての特性を生かして、マネジメント手法と組み合わせて利用することが望まれる。
 特に、業務プロセス改革に効果的に活用するためには、「内部プロセス」の評価として、ABCによる活動ごとのコスト情報を活用することが効果的である。







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