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(2)目標管理への適用
ア)行政評価システムとBSC
 BSCは代表的な業績評価・目標管理の仕組みであり、その活用により、政策・施策・事業評価のみならず各組織レベル毎での業績評価・目標管理を効果的に行なうことが可能になる。また外部(住民)に対しては、ミッション・ビジョンを可視化することでアカウンタビリティ(説明責任)も向上する。更には、職員の意識改革が進み、政策形成能力の向上も期待できる。
 
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イ)管理職の業績評価・目標管理ツールとしての活用
 各地方公共団体においては、トップが定めた視点に沿う形でBSCに定量的・定性的な指標を集約することで、組織運営を組織に効果的に浸透させることが可能である。管理職の業績評価・目標管理ツールとして活用することもできる(調書・評価書イメージについては後葉に記載)。
 
ウ)目標管理の導入例
○三重県「率先事項」
 
取り組みの概要
■年度当初に知事が示す本年度の進むべき方向を受け、各部局長自らが、三重県のミッションである「生活者起点の県政」の実現を目指すための一年間の基本的な行動を明らかにする取り組み。
■「だれに」「どのような価値を提供していくのか」といった部局のミッションを明確にした上で、所管の政策課題だけでなく、部のマネジメント向上に関する取組についても今後一年間の方針を示す。
 
特徴
■部局ごとにミッションを明示している。
■ミッションを達成する手段として部局の取り組みを位置づけている。
■取り組みは上長に対して「約束」されるものである。
■目標は定量的、もしくは期限を区切って表現される。
■所管の施策に関して目標管理を行うだけでなく(「政策課題」)、組織の経営方針に関する取り組みにも目標値を定める(行政経営品質への取り組み)。
■多面的な観点から評価軸が定められている。
『率先実行』のカテゴリー
1)経宮ビジョンとリーダーシップ
2)顧客(住民)ニーズの理解と対応
3)戦略の策定と展開
4)人材開発と学習環境
5)プロセス・マネジメント
6)情報の共有化と活用
7)行政活動の成果
8)顧客(住民)満足
 
BSCに関連して
■開発にあたってはBSCも参考にされている。枠組みに若干の痕跡。
■病院事業庁では、同様の趣旨でBSCの構築が行われている。
 
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○岐阜県「協定」
 
取り組みの概要
■局長、課長、係長など管理職が、自らの上長に対して年度の取り組みを宣言し、上長と取り組みを約束するもの。
■県では、「協定」は三役と幹部・職員が意思疎通・意見調整・協働する仕組みづくりとして位置づけられ、その効果は、手戻り防止・摩擦の防止・円滑な政策実施の仕組みづくりとされている。
■また、「協定」は、トップダウンによる指示・検討事項を政策化・事業化する仕組みと、ボトムアップによる提案・意見を政策に反映・事業化する仕組みと両方を兼ね備えたものとしている。
 
特徴
■取り組みは上長に対して「約束」されるものである。(局長は知事、課長は副知事、係長は局長に対して)
■管轄する施策に対する「約束」だけでなく、部局の経営管理についても「約束」がなされる。
■部局間共通に与えられた目標と、部局独自の目標という、2つの性質の目標が設定されている。
■「約束」内容は、宣言にとどまるものが多く、定量的に目標管理がなされているわけではない。
■「知事との協定」は目標達成については自己点検による確認に留まる。
 
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