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(2)現在検討している交通施策
・「検討していない」と回答したのは人口30万人以上の自治体ではゼロであり、何らかの交通施策を検討しているという状況である。
・人口30万〜100万人の自治体で多く検討されている施策としては、「コミュニティバスの導入」、「バス停の改善・改良」、「駅前駐輪場の整備」、「駅前広場の整理」、「歩道の整備」、「商店街における歩行空間の確保」が問題点としてあげられている。
・人口10万〜30万人の自治体でも多く検討されている施策としては、「コミュニティバスの導入」、「駅前駐輪場の整備」、「駅前広場の整備」、「歩道の整備」が問題点としてあげられている。
・その他の事項としては「総合交通体系の策定」、人口の多い自治体では「交通バリアフリー基本構想の策定」、人口の少ない自治体では「福祉バスの導入」が問題点として多くあげられている。
 
表II−1−4 人口別にみた「検討している交通施策」(有効回答数=672)
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(3)交通施策を検討していない理由
 アンケートに自治体名が記入されていた672団体のうち、(2)の「現在検討している交通施策」に関する設問で、「交通施策を検討していない」と答えた自治体は123団体あり、その123団体について、交通施策を検討していない理由を以下に示す。
 
・人口が少ない自治体、とくに人口5千〜1万人の自治体では、「交通渋滞等の交通問題がない」が問題点としてあげられている。
・「施策を検討、実施していくための十分な財源がない」と答えたところは、人口3万〜10万人の自治体で66.7%、人口1万〜3万人の自治体で46.9%が問題点としてあげられている。
 
表II−1−5 人口別にみた「交通施策を検討していない理由」(有効回答数=123)
  5千〜1万人 1万〜3万人 3万〜10万人 10万〜30万人 総計
交通施策に関する情報や人的資源が不足している 14.5% 26.5% 33.3% 0.0% 20.3%
関係者(事業者、市民等)との合意形成が困難 9.7% 8.2% 22.2% 33.3% 10.6%
交通渋滞等の交通問題がない 59.7% 36.7% 22.2% 0.0% 46.3%
道路のハード的整備を優先している 30.6% 32.7% 33.3% 33.3% 31.7%
新規交通施策の効果に対して疑問がある 0.0% 4.1% 33.3% 33.3% 4.9%
施策を検討、実施していくための十分な財源がない 37.1% 46.9% 66.7% 33.3% 43.1%
その他 14.5% 14.3% 22.2% 33.3% 15.4%
自治体数 62 49 9 3 123
 
(4)交通施策検討上の問題点
・交通施策検討上の問題としては、人口に関わらず60%以上の自治体で「交通施策を導入するための十分な財源がない」となった。
・2番目としては「交通施策導入に関する知識の不足」があげられ、26.2%であった。
・関係者間の合意形成という観点でみると、「市民団体との連携、協働がとりづらい」、「関係行政機関との関係が難しい」、「大学等の研究機関との連携、協働がとりづらい」を合わせると22.6%となり3番目の問題点となる。
・人口30万〜100万人の自治体では、「施策に対する住民の意識が低い」が42.1%と比較的高い割合となった。
 
表II−1−6 人口別にみた「交通施策検討上の問題点」(有効回答数=549)
  5千〜1万人 1万〜3万人 3万〜10万人 10万〜30万人 30万〜100万人 100万人以上 総計
交通施策導入に関する知識の不足 26.6% 22.3% 32.0% 26.3% 26.3% 0.0% 26.2%
市民団体との連携、協働がとりづらい 3.2% 5.9% 9.8% 10.5% 26.3% 0.0% 8.2%
関係行政機関との関係が難しい 8.1% 7.4% 13.1% 17.1% 28.9% 100.0% 11.8%
大学等の研究機関との連携、協働がとりづらい 2.4% 0.5% 0.0% 6.6% 13.2% 0.0% 2.6%
施策に対する住民の意識が低い 13.7% 15.4% 13.1% 22.4% 42.1% 0.0% 17.3%
交通施策を導入するための十分な財源がない 66.9% 61.7% 62.3% 67.1% 65.8% 100.0% 64.1%
その他 9.7% 6.9% 8.2% 13.2% 18.4% 0.0% 9.5%
問題はない 16.9% 23.9% 23.0% 15.8% 10.5% 0.0% 20.0%
自治体数 124 188 122 76 38 1 549
 
(5)まとめ
 人口規模別にまとめると、
・10万人以上の自治体の問題点としては、「路線バスの定時性が悪い」、「渋滞がよくおこる」、「路上駐車が多い」、「自転車道がない」、「歩道が狭い」が多くあげられており、交通施策として、「コミュニティバスの導入」、「バス停の改善・改良」、「駅前駐車場の整備」、「駅前駐輪場の整備」、「商店街における歩行空間の確保」が多く検討されている。
・10万人未満の自治体の問題としては、「路線バスの定時性が悪い」、「路線バスの本数が少ない」、「高齢者・障害者対応のバスがない」、「商店街が閑散としている」が多くあげられており、交通施策として「歩道の整備」が比較的多く検討されているが、施策を検討していない自治体も多い。
・交通施策を検討していない理由としては、「交通渋滞等の交通問題がない」や「道路のハード的整備を優先している」が多くあげられている。
 
 また、交通施策検討上の問題点としては、「交通施策を導入するための十分な財源がない」が多く答えられているが、財源以外では「交通施策導入に関する知識の不足」や、市民団体や関係行政機関、大学などといった関係者間の「合意形成」が問題点として多くあげられている。







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