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II 環境に配慮した地域交通づくり
 本事業では、当財団と協働してプロジェクトを進めることのできる自治体や市民団体を探すとともに、各地域での交通問題や検討中の施策、施策推進上の問題点等を把握するためにアンケート調査を実施した。以下にアンケート調査の概要と結果を示す。
 
(1)アンケート調査概要
 平成14年5月に人口5千人以上100万人未満※1,2の2507自治体と150の市民団体※3に対してアンケート調査を行った。
 なお回収数は、自治体が853団体(回収率:34.0%)、市民団体が35団体(回収率:23.3%)となった。
※1. 自治体の人口は、「平成12年国勢調査 第1次基本集計結果」総務省統計局・統計センターのデータを参考とした
 2. 人口5000人以上、100万人未満の自治体をアンケート対象としたが、アンケートの実施を知り、アンケートの送付要請があった自治体にも配布した
 3. 150の団体のうち50の団体は、LRTについての活動を行っている団体
 
 またアンケートは自治体向け、市民団体向けに分け、以下の項目について質問を行った。
●自治体向け
(1)地域の交通に関する問題点(公共交通関係、自動車交通関係、その他)
(2)現在検討している交通施策
(3)交通施策を検討していない理由
(4)交通施策検討上の問題点
(5)エコモ財団との協働に関する関心の有無
(6)協働を希望する施策の内容(自由記入)
●市民団体向け
(1)団体概要(設立時期、会員数、主な活動部門)
(2)地域の交通に関する問題点(公共交通関係、自動車交通関係、その他)
(3)取り組んでいる交通施策
(4)活動上の問題点
(5)エコモ財団との協働に関する関心の有無
(6)協働を希望する施策の内容(自由記入)
※自治体向けの(1)〜(4)、市民団体向けの(2)〜(4)の設問は複数選択可能とした。
 
(2)地域交通計画における問題点
 各自治体の問題点や検討している交通施策等の違いを自治体の人口別にみた。なお自治体名が記入してあり、人口がわかるのは、672団体であった。
 ここでは、「地域交通に関する問題点」、「現在検討を行っている交通施策」、「交通施策を検討していない理由」、「交通施策検討上の問題点」を人口別に分析を行い、人口規模別の課題等を整理する。
(1)地域の交通に関する問題点
イ. 公共交通に関する問題点
・「路線バスの本数が少ない」と答えたところは、全体で55.2%となっており、人口の少ない自治体ほど割合が高くなっており、10万人未満の自治体では、半数以上が問題点としてあげられている。
・「路線バスの定時性が悪い」については、人口の多い自治体ほど割合は高くなっており、30〜100万人の自治体では63.2%が問題点としてあげられている。
・「その他」の事項としては「公共交通の利用者が少ない」や、人口の少ない自治体では、「鉄道がない」や「バス路線がない」、人口の多い自治体では「バリアフリーの整った施設がない」といった問題点が多くとしてあげられている。
 
表II−1−1 人口別にみた「公共交通に関する問題点」(有効回答数=672)
  5千〜1万人 1万〜3万人 3万〜10万人 10万〜30万人 30万〜100万人 100万人以上 総計
高齢者・障害者対応の鉄道車両がない 30.1% 24.5% 26.0% 25.3% 21.1% 0.0% 26.2%
路線バスの路線数が少ない 29.0% 32.1% 43.5% 26.6% 21.1% 0.0% 32.1%
路線バスの本数が少ない 64.5% 56.1% 59.5% 36.7% 28.9% 0.0% 55.2%
近々既存のバス路線が廃止される 7.5% 9.7% 13.0% 16.5% 10.5% 0.0% 10.6%
路線バスの定時性が悪い 11.3% 15.2% 14.5% 34.2% 63.2% 100.0% 19.0%
高齢者・障害者対応のバスがない 39.2% 40.1% 36.6% 26.6% 18.4% 0.0% 36.3%
その他 20.4% 19.8% 26.7% 29.1% 34.2% 100.0% 23.4%
自治体数 186 237 131 79 38 1 672
 
ロ. 自動車交通に関する問題点
・自動車交通に関する問題点としては、「渋滞がよくおこる」、「路上駐車が多い」について、10万人以上の自治体の半数以上が問題としてあげており、とくに「渋滞がよくおこる」については、30万〜100万人の自治体では、86.8%が問題点としてあげられている。
・「その他」の事項としては「マイカー利用が多い」があげられている。
 
表II−1−2 人口別にみた「自動車交通に関する問題点」(有効回答数=672)
  5千〜1万人 1万〜3万人 3万〜10万人 10万〜30万人 30万〜100万人 100万人以上 総計
渋滞がよくおこる 8.6% 20.3% 38.9% 63.3% 86.8% 0.0% 29.5%
交通事故が多い 17.2% 22.4% 27.5% 27.8% 34.2% 0.0% 23.2%
大気汚染がひどい 1.1% 0.4% 2.3% 10.1% 21.1% 0.0% 3.3%
騒音問題がおこっている 2.2% 3.4% 4.6% 5.1% 5.3% 0.0% 3.6%
路上駐車が多い 18.3% 25.3% 36.6% 51.9% 60.5% 100.0% 30.8%
その他 18.3% 13.5% 9.9% 12.7% 15.8% 100.0% 14.3%
自治体数 186 237 131 79 38 1 672
 
ハ. その他のことに関する問題点
・「商店街が閑散としている」について、全体で59.2%の割合で問題としてあげられており、人口30万人未満の自治体では半数以上の自治体で問題点としてあげられている。
・「歩道が狭い」について、人口30万〜100万人の自治体では60.5%のところが問題点としてあげられている。
 
表II−1−3 人口別にみた「その他のことに関する問題点」(有効回答数=672)
  5千〜1万人 1万〜3万人 3万〜10万人 10万〜30万人 30万〜100万人 100万人以上 総計
商店街が閑散としている 53.2% 59.9% 70.2% 65.8% 34.2% 0.0% 59.2%
自転車道がない 30.1% 33.3% 33.6% 43.0% 50.0% 100.0% 34.7%
歩道がない 36.6% 29.1% 19.8% 19.0% 26.3% 0.0% 28.0%
歩道が狭い 22.6% 30.8% 45.0% 43.0% 60.5% 0.0% 34.4%
その他 6.5% 5.5% 5.3% 15.2% 21.1% 100.0% 7.9%
自治体数 186 237 131 79 38 1 672







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