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第5章 まとめと今後の課題(次年度への論点整理)
 平成14年度は、地域福祉交通計画サービスの実態把握、検討する上での視点整理等を行った。本章に取り上げた課題は、平成15年度に必ずしも取り組めるものではないが、平成15年度調査に向けての論点を整理した。
 
表5−1−1 地域福祉交通サービス推進方策の次年度への課題(1)
  推進方策例
利用者ニーズの把握 ・地域福祉交通サービスを検討する際の利用者ニーズ(どのような人がどのようなサービスを必要としているか)の把握
・利用意向と潜在需要の把握
・居住者分布(高齢者居住マップなど)と路線計画の対応
・利用者トレーニングの検討(使う側の心構え)
例:車いす使用者の乗降時の心構え
・移動制約者の特性、利用目的に対応したサービスの提供
注:利用者の介護の必要性、ヘルスプロモーションの視点
整備方策、運営主体の検討 ・計画手法の検討(第4章参照)
・事業手続きのマニュアル的な資料整備の検討(地域の交通計画の策定方法、財源等、基本的なことを網羅した、20ページ程度のSTS、コミュニティバスマニュアル、計画ガイダンス等)。
・利用者の移動実態調査の検討(高齢者・障害者パーソントリップ調査、NTS型調査、アクティビティダイヤリー等)
・シミュレーション、実証実験等を視野に入れた実施方法の検討
・ヒアリング調査の継続(本報告書に掲載事例とは異なったタイプのサービスの把握、本報告書に掲載事例の追跡調査等)
・運営方法の比較検討
例:利用者と運行主体をつなぐマネージメントセンターの創設、又は利用者への地域福祉交通利用券の配布等。
・運行主体、サービスの提供方法の比較分析
例:民間タクシー事業者とNPO等が同一財源、車両を前提として運行した際の諸特性を地域別に比較する。
行政による支援(資金の有効活用) ・現在使用できる財源の再整理を含む、補助、助成金の検討
・提供されるサービスに応じた予算の適正配分
・税制優遇措置の検討
・支援法創設の検討
 
表5−1−2 地域福祉交通サービス推進方策の次年度への課題(2)
  推進方策例
環境整備 ・社会的な合意形成と社会的な機運の醸成
・運行主体(NPO、ボランティア、タクシー事業者等)の合意形成、及び協同の事業推進
・安全確保のための統一的なルール整備(介助、車両等)
・効率的な運行の検討(街路環境整備、運行データの電子化、ソフト開発、相乗り、混乗、多目的、多主体、複数地域、及び複数運行主体の連携による運行等)
・公共交通機関と連携した移動を保障するための情報提供
例:携帯電話やパソコンから利用できる情報提供システムの整備
技術開発 ・予約システム、運行データの電子化等情報システムの開発
・利用目的に適した車両の開発
既存の社会基盤の活用例 ・一般交通と福祉交通の協同。
例:スウェーデンのフレックスバスの成功事例等を参考にして、コミュニティバスがよりドア・ツー・ドアに近い運行形態として福祉交通として活用する等。
・過疎地域の交通対策事業との協調。
例:地方部の市町村代替バスの運行回数は、1日3〜4回程度の生活路線であり、高齢者等の利用者が減少しても廃止しにくい現状がある。路線バスとSTSの総合的な計画が必要。マイカー、アワカー選択の視点も含む。
・高齢者・障害者施設整備計画との連携。
 
 国土交通省の次の通達は参考資料に掲載した。
・NPOによるボランティア輸送としての有償運送可能化事業
・交通機関空白の過疎地における有償運送可能化事業







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