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(2)券売機
 券売機については、障害者にとって使いにくい、わかりにくいことが問題となっており、券売機の使いやすさ、わかりやすさの向上や、駅員による接遇の向上などについて留意する必要がある。
 
<情報提供の現状と問題点>
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<券売機における情報提供にあたっての留意点>
■視覚障害者が使いやすい券売機の検討(ハード・ソフト両面で)
 視覚障害者が券売機を利用するにあたっては、一般の人に交じって列に並ぶのが難しい、様々な仕様があり使い方がわかりにくい、タッチパネル式など乗り換え切符等を購入することが難しいなど多くの問題点があり、実際は、Suicaやパスネットなどのカードを利用したり、初乗り運賃分だけ切符を購入して後で精算するなど、各自工夫しているのが現状である。
 そのため、視覚障害者が券売機を利用しやすくするため、障害者等優先の券売機の確保や券売機の機能・仕様の統一化、視覚障害者でも使いやすい新機種の開発(音声による購入等)などについて検討することが望まれる。
■駅員による接遇(障害者対応)の向上
 券売機の利用にあたっては、券売機の故障等の発生や使い方がわからないといったトラブルが発生する場合があり、その場合、券売機横のインターホンを通して駅員と会話できるようになっているところが多い。
 しかしながら、聴覚障害者の場合はインターホンを通して駅員と会話することは困難であり、また視覚障害者の場合もインターホンの位置がわからないといった問題がある。
 そのため、障害者用の呼び出しボタン等をわかりやすい位置に設置し、駅員が直接対応するような仕組みを検討することが望まれる。
■音・音声による視覚障害者の券売機への誘導の検討
 視覚障害者が券売機の位置を把握するためには、視覚障害者誘導用ブロックも重要な情報入手手段の一つであるが、実際は、視覚障害者誘導用ブロックだけでは具体的に券売機がどこにあるのか正確に把握することはできないため、お金の音などで券売機の大まかな位置を判断している人が多いようである。
 また、「公共交通機関旅客施設の移動円滑化ガイドライン」においても、視覚障害者の誘導として、視覚障害者誘導用ブロックとともに音響・音声による案内が有効であるとしている。
 したがって、端末を用いた音響・音声による誘導システムの導入など、音響・音声による券売機への誘導について検討することが望まれる。
■窓口での乗車券の発売
 前述したとおり、障害者の券売機の利用にあたっては様々な問題点があるため、発売機での切符購入が困難な障害者がいた場合に、窓口での販売を誘導するなど駅員による対応のルール化について検討することが望まれる。
■運賃表の見やすさの向上
 券売機で切符を購入する際に運賃表は必要不可欠なものであるが、実際は、券売機の上の高い位置に設置されていて障害者のみならず健常者にとっても読みにくい場合や、視覚障害者用の点字運賃表のある場所がわからない場合がある。
 そのため、運賃表、点字運賃表の設置位置については、できるだけ視線の高さに近い位置にする。もしくは、手元で見えるようなシートを用意するなど工夫が望まれる。
 
(3)改札口
 改札口については、改札口の違いの区別や無人駅等における駅員の対応などが問題となっているほか、改札口付近での運行情報、緊急時情報等の提供も求められており、改札口の識別性の向上、無人駅等における接遇の向上、改札口付近における運行情報の提供などについて留意する必要がある。
 
<情報提供の現状と問題点>
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<改札口における情報提供にあたっての留意点>
■視覚障害者が使いやすい改札口・精算機の検討
 視覚障害者が自動改札口を利用するにあたっては、自動改札口の入口・出口の区別がつかない、乗り継ぎ用の改札口の区別がつかないなどの問題があり、また、自動精算機については、タッチパネル式が多いため視覚障害者にとっては利用が困難である。
 そのため、視覚障害者が改札口や精算機を利用しやすくするため、改札口の入口・出口等の区別がわかる誘導方法の検討や、視覚障害者でも使いやすい新しい精算機の開発(音声による購入等)などについて検討することが望まれる。
■駅員による接遇(障害者対応)の向上
 有人改札口は、情報入手に制約のある視覚障害者・聴覚障害者にとって、列車の運行情報や事故等の緊急時の情報、その他総合的な案内など必要な情報を得るうえで重要な役割を果たす場所であり、特に、精算機での精算が困難な視覚障害者にとっては、有人改札口の必要性は高い。
 しかしながら、駅によっては、無人改札口や時間帯によって無人になる改札口もあり、そのような改札口では視覚障害者が精算を行うことは困難である。また、有人改札口でも、聴覚障害者に対する筆談にきちんと応じてくれない場合があるなど、障害者に対する対応という面でいくつか課題もみられる。
 そのため、社員教育の徹底を図るとともに、無人改札口における障害者対応を可能とする体制・システム等の検討有人改札口における筆談器の設置手話をできる駅員の配置FAXの設置等について検討することが望まれる。
■改札口付近への可変式情報表示装置の設置
 これまで、改札口付近では、列車の運行情報や緊急時の情報等については案内放送のみの場合が多く、文字による情報表示装置は改札口内やホーム上にのみ設置されている場合が多かったため、放送の内容を確認できない聴覚障害者にとっては、改札口内に入らない限り必要な情報が得られないという状況がみられた。
 そのため、改札口内に入らなくても列車の運行情報や緊急時の情報等を視覚情報として確認できるように、改札口付近に、列車の運行情報等を文字で表示する可変式情報表示装置を設置することが望まれる。
 
<課題>
□自動改札口への視覚障害者の誘導・案内方法(出入口併用の場合など)
 現在、自動改札口に対する視覚障害者の誘導は、視覚障害者誘導用ブロックや誘導チャイム等によって行われているが、基本的に有人改札口又は車いす用の拡幅改札口など1箇所のみ誘導されている。しかしながら、駅によっては、改札口が入口・出口併用の場合もあり、その場合、視覚障害者は入口・出口の区別を行うことが困難となる。そのため、出入口併用の自動改札口における視覚障害者の誘導・案内方法については検討が必要である。







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