わが国では、これからの高齢社会、障害者の自立と社会参加の進展に伴い高齢者や障害のある方々の活動を支える社会整備が重要かつ緊急な課題となっている。一昨年11月には、「高齢者・身体障害者等の公共交通機関を利用した移動円滑化の促進に関する法律（交通バリアフリー法）」が施行され、駅、駅前広場、車両等の移動円滑化が促進されることとなった。

　しかしながら、現状としてはわが国のバリアフリー化は欧米諸国に比べ、かなり立ち後れ、充分な検討もなされていない分野も多数残されている。その一つとして視覚障害者・聴覚障害者等の情報制約者に対する鉄道利用に関わる交通情報の提供があげられる。

　このため、「視覚障害者・聴覚障害者等交通情報提供マニュアル作成のための調査報告書」として、異なる障害をお持ちの方々からの様々なニーズをまとめ、鉄道利用における情報提供装置を整備する際の留意点、接遇のあり方についてまとめることができた。今後は、交通事業者の方々に情報提供装置の整備等にあたっての参考としてお使い頂くべく、この情報提供に関する分野を少しずつ前進させる基礎となれば幸いである。

　

　今後とも、皆様のご協力により、関係者に広く周知され、視覚障害者・聴覚障害者の移動円滑化に大きく貢献できれば、この上ない喜びである。

　

　最後に本研究の実施にあたって、委員会の委員長としてこの取り纏めの労をお取り頂いた東洋大学の高橋儀平助教授をはじめ、終始熱心にご討議いただいた各委員の皆様、調査等にご協力頂いた視覚障害者の方々、聴覚障害者の方々、鉄道事業者の方々、作業協力して頂いた（株）オリエンタルコンサルタンツの方々に厚く感謝する次第である。