日本財団 図書館


1 ストーンペインティング
石に絵を描く
●ねらい
 石の世界とのつながりを感じる。自分が感じたことを表現できるようになる。
●背景
 石は一番身近にあって、もっとも意識されにくいものである。科学的なアプローチばかりではなく、感性的なアプローチ(心で石に寄り添うような)から石を身近に感じられるように考えたプログラム。
 
●所要時間:30分〜1時間
●対象:幼児〜大人
●場所:河原、湖畔
●人数:5人(1セット)
●季節:いつでも
●時間帯:昼間
●科目:図画工作・理科
●技能:さがす・さわる・描く・感じる・見つける・表現する
●準備するもの:ポスターカラーマーカーペン・見本の石、発表会用シート
 
導入
 まず、以下の展開(3)、(4)の作業について、見本の石を使って確認する。
 
展開
(1)河原・湖畔に腰掛け、5分くらいのんびりする(このときあわてて石を探さないようにする)
(2)落ち着いてきたら自分に語りかけてくるような(気になる)石を1つさがす。石は形・色などにとらわれず、「自分の石」を見つけることに気持ちを向ける。
(3)石を手にしていろいろな角度から見てみる。
(4)石が何かの形に見えてきたら、その形がわかりやすく見えるようにポスターカラーマーカーペンで色をつける。(石に何かを描くのではなく、石の形を活かして色を添えるようなイメージで)
 
まとめ
(1)でき上がったものを並べて展覧会をする
(2)一つ一つに対する作品への作者の思いを発表する。
(3)それぞれの感じたことを、分かちあおう。
(4)それぞれの作品の良いところをほめあおう。
(5)どんなところが気に入ったのかなどをみんなで発表しあい紹介しあおう。
実施のポイント
●あまりのたくさん作らずに、1人1つとして、ていねいに作業をしよう(多くても2つぐらいまで)。
●冬などはだいぶ冷えるので時間帯や場所に気をつけたい(夏は暑さに気をつける)。
●作品を現地に置いて帰らないようにする(おみやげとして持ち帰る)。
発展
 「すべてのひとに石がひつよう」(河出書房新社)のアクティビティをそのまま実践してみよう。
評価
 絵のうまさではなく、白分の石が見つけられるかどうか、それはどのようにして感じられたのかに注目したい。そしてそれぞれの表現力や想像力、感性を評価してあげたい。
 
2 ともだちの石
学校近くの河原で石を観察する
●ねらい
 河原の石の特徴を知る。石の持つ属性に気づく。
●効果
 上流、下流の川の比較のための準備
●達成目標
 自分の石と他人の石との違いを言うことができる。川の石の調べ方について説明できる。中流域の河原の石の特徴を3つ指摘できる。
 
●所要時間:30分〜1時間
●対象:幼児〜大人
●場所:河原、湖畔
●人数:5人(1セット)
●季節:いつでも
●時間帯:昼間
●科目:図画工作・理科
●技能:さがす・さわる・描く・感じる・見つける・表現する
●準備するもの:4メートルのひも
 
導入
(1)自分の石(ともだちの石)を1つ拾う。(心惹かれる石など)
(2)その石の大きさや色や形、模様、拾った理由などをみんなに発表し見せる。
展開
(1)3人一組になって、ロープで1m四方の四角形区をつくる。
(2)自分の「ともだちの石」と同じ種類の石をいくつか拾い集めて、いろいろな順番に並べてみる(大きい順、形丸い順、色の濃い順など)。
(3)自分の石と他の人の石を比べてみる。
まとめ
(1)自分の石の特徴を発表しよう。
(2)グループごとに発表し、河原の石の特徴について話し合う。
 
実施のポイント
●石の種類を知るのではなく、それぞれの石が持つ特徴の違いに気づくことに焦点を当てたい。
発展
●場所を変えて「友達の石」をさがしてみる。それによって上流から下流へかけての河原の石の変化についての学習へつなげることができる。
評価
 感じたり、気づいたことを積極的に発言できたかどうかも評価したい。
 
3 好き?嫌い?
雨の中の自然観察
●ねらい
 雨の日ならではの自然の様子を知る。先入観で自然の姿を想像するのではなく、実際にその様子を確かめることの面白さに気づく
●背景
 雨は一般に嫌われがちだが生物にとってはなくてはならないものである。はたして生物たちは毎日の生活の中で、雨を好んでいるのだろうか、嫌っているのだろうか。自然を身近に感じるために、ある程度生物に感情移入して、「生き物の気持ち」になって見ることも意味があるだろう。
 
●所要時間:30分
●対象:小1〜大人
●場所:雨天時の野外
●人数:16人
●季節:いつでも
●時間帯:日中
●科目:国語・理科
●技能:さがす・想像する・観察する
●準備するもの:傘・あれば小道具の『意思棒』(しずくの形の紙を竹ひごの先端につけたもの。上の表面には「好き」、裏面には「嫌い」を書く。)
 
導入
(1)「皆さんの中で雨が好きな人はいますか?」その理由も尋ねる。
(2)「どうしてですか?」「それでは、木や石や土などの自然は、雨が降るのを喜んでいるのでしょうか?どう思いますか?」と考えてもらう。
(3)「それでは実際に確かめに行ってみましょう!」
 
展開
 範囲を決めて、各自に分かれて『雨を喜んでいるもの』『雨が苦手そうなもの』を1つずつ探してきてもらう。
まとめ
 全員で移動して実際の自然の様子を見に行く。「どこをみて雨を喜んでいる(苦手だ)と思いましたか?」自分の見つけたものを各自発表する。雨の日の自然観察の感想を聞くのもいい。「今のあなた自身は雨をどう思っていますか?」最初と意見が変わった参加者が居れば、理由を聞くと良い。
 
実施のポイント
●雨が自然界にとって大切であることにも参加者が取り上げたものを用いて具体的事例として少しふれると良い。
●グループワークにしても面白い。小道具『意思棒』(好き、きらいを示す柄付きの札)を作成、全員の意見が一度にわかり、よりプログラムを楽しむことができる。
発展
 「雨が好きなものリスト、苦手なものリスト」を作成したり、実際に確認したものを地図に落として「雨の好き嫌い分布図」等をプログラム終了後に室内で行うと視覚的になって楽しい。
評価
 好きか嫌いかの判断は、事実よりも、感覚的に参加者自身が感じることによって良い。どのように感じ取ることができたかに評価の焦点をあてたい。
 
4 水いでる森
水源林を歩き、水のある場所を地図に落とす
●ねらい
 水源林のどこに水があるのか。見える水、見えない水を意識できるようになる。
●効果
 水源林の水の豊富さを実感する。
●達成目標
 水がどういうところにあったか説明できる。目には見えづらい水の存在について考えを言える。地形的にどんな所があったか説明できる。
 
●所要時間:2時間半
●対象:小4〜小6
●場所:沢
●人数:15名
●季節:いつでも
●科目:国語・理科・社会・総合的な学習
●技能:歩く・見つける・推理する
●準備するもの:筆記用具・クリップボード・白地図・白紙
 
導入
(1)森に降った雨はどこに行くのだろう。森の中のどんなところに水があるのか、想像して出し合ってみる。
(2)地図をみて調査コースを決める
展開
(1)登山道を歩き、沢や水のしみ出ているところを白地図上に落とす。
(2)目に見えない水についても想像を働かせて、どこにあるのか考えてみる。
まとめ
(1)記入した地図を見せ合って、どんな所に水があったか、感じたこと、気がついたことを述べあう。
(2)さらに広域の地図を配布し、森に降った水がどこに行くか考えてみよう。
 
実施のポイント
●水に着目して森を歩くことの動機付けが重要。
発展
 街で同様の活動を行うなどして、都市に降った雨がどこに行くか考えてみる。
評価
●積極的に取り組めたか。
●観察したものから、見えないものを想像してみることができたかどうか。
 
5 川の合唱団
川の音を良く聞いて、みんなで川の音まねをする
●ねらい
 川の音を題材にグループで楽しく遊ぶ。意外なところに意外な発見があることを知る。
●効果
 川を題材にした自然体験や学習のきっかけをつくる。
●達成目標
 川がいろいろな音を出して流れていることを知る。川の音についての発見を言える。音を言葉にすることの難しさに気づく。グループの協力関係をつくる。
 
●所要時間:30分
●対象:小4〜小6
●場所:渓流沿い
●人数:15人
●季節:いつでも
●科目:国語・理科・音楽・総合的な学習
●技能:聴く・聞き分ける・表現する・覚える
●準備するもの:細かい枝(指揮棒の代わり)
 
導入
(1)川の音がどんなふうに聞こえるか、口に出して言ってもらう(ザーザー、ぴちゃぴちゃなど)。
(2)「春の小川」の歌や洪水の時の川の音など例に出す。
展開
(1)川辺に各自散らばって、耳を川に近づけて音を聞く。
(2)特徴のある音や気になった音などを各自記録し、口で表現できるようにしてくる。
(3)1人ずつ、記録してきた音を再生してみる。口に出してみる。
(4)全員一斉に音を表現して、川の音を再現してみる。
まとめ
 以上の体験をしてみての感想、感じたこと、気づいたことを1人ずつ紙に書いたあとで発表しあう。学校近くの川はどんな音がするか想像してみる(紙に書いておく)。
 
実施のポイント
●川の音を口で表現してみることの動機付けが重要。
評価
 特になし。







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