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私はこう考える【イラク戦争について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2003/03/21 産経新聞朝刊
【主張】イラク戦争 12年戦争終焉の始まり 日本は米支援で全力つくせ
 
 米英軍によるイラク攻撃は、ブッシュ米大統領の最後通告に従って、時計の針のようにきわめて正確に始まった。最初の一撃は巡航ミサイルの発射からスタートしたが、実はこの戦争が始まったのは、一九九〇年八月のイラクによるクウェート侵略からであった。その意味で三月二十日のDデーは、長い「十二年戦争」の終わりの始まりである。
◆35カ国が支持の攻撃
 米軍主導の攻撃作戦「イラクの自由」は、これら戦闘部隊の背後で日本をはじめ英国、スペイン、オーストラリアなど三十五カ国以上が支えている。イラク攻撃に反対したフランス、ロシアなどが突出してみえたのは、安保理の常任理事国であるがゆえの発言権の強さと、巧妙な反戦キャンペーンの欺瞞(ぎまん)性からである。
 そのフランスはブッシュ大統領がイラクに最後通告した翌日、ドビルパン外相名で声明を出し、「イラク軍が生物・化学兵器を使用した場合は米国の側に立つ」との変心ぶりをみせた。フランスがイラクに持つ石油利権を失うことを恐れたか、あるいは国連を舞台に米仏が決裂したままでは、戦後協調を支えた国連の存立が危ぶまれるためなのか。
 だが、フランスがとったイラク攻撃への反対行動を日本の一部勢力のように「純粋無垢(むく)な反戦、平和のため」などと考える国はなかった。フランスもドイツも空母などを地中海に派遣し、トルコに迎撃ミサイル、パトリオットを配備し、アフガニスタンでは対テロ戦争を戦っているからである。むしろ、フランスの反対行動が「米欧分裂」の誤ったメッセージをイラクに送り、独裁者を利する効果を生んでしまった罪は極めて重いといえる。
 これら権力政治の外交ゲームをにらみながら、米英軍は緒戦の段階でフセイン政権の司令部機能に限定して精密誘導爆弾を撃ち込んだ。ついで空爆と迅速な地上戦により拠点を制圧し、素早くバグダッド包囲戦に勝利する計画だ。米英軍が気にかけているのは、民間人、遺跡への攻撃を避けることと、戦後復興計画のカギを握る油田地帯を早期制圧することにある。
 フセイン大統領は九一年の湾岸戦争の際に、原油を流す「破壊命令」を出しており、イラク国民の資産を壊滅させることもいとわぬ狂気がある。パリ破壊命令を出した独裁者ヒトラーなみに手段を選ばず、イラク軍が国際法に違反する化学兵器を公然と使用する可能性も高い。
 この対イラク攻撃に関する論評の中で、ブッシュ現大統領が父親のブッシュ氏が湾岸戦争でフセイン政権を倒せなかったことから、「親のかたき」ゆえに開戦を急いだとの見当はずれの批判があった。しかし、当時の米軍主導の多国籍軍は、イラク国内のクーデターを別として、フセイン政権の武力による打倒までは考えていなかった。
 むしろ米英軍には、国連容認のもとにクウェートの解放という明確な目的があり、かつ、周辺のアラブ各国が「フセイン後」のイラクに軍事的な真空ができることを恐れていた。従って、米軍は地上戦が開始されてちょうど百時間、「砂漠の嵐作戦」の開始から六週間で撤退しているのだ。
 このときの停戦条件が、安保理決議六八七による大量破壊兵器や弾道ミサイルの全廃受け入れとその査察であった。すでに明らかなように、イラクはこの決議を含めて過去十二年間に計十七もの決議を無視してきたのである。この間に、イラクが背後で糸を引いたブッシュ元大統領に対する暗殺計画まで発覚している。
◆兵力集中で早期終結を
 米国は二〇〇一年の米中枢同時テロにより、テロリストがあらゆる手法で米本土に攻め込んでくることに気づかされた。大量破壊兵器を温存するイラクが、テロ組織アルカーイダと結びつくことで「いまそこにある危機」であることが透かし出された。
 米国はいま、三十五カ国以上の支援を得て戦端を開いた。「フセイン排除」にはコストと危険が伴う。しかし不作為によって、より多くの人々が死の危険にさらされることを考えればやむを得ぬ兵力投入であろう。日本は難題である戦後処理を含め、対米支援に全力をあげるべきである。
 
 
 
 
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