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私はこう考える【イラク戦争について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2003/03/25 読売新聞朝刊
イラク戦争と日本 北の脅威、危機感浸透/読売新聞社全国世論調査
◆政府与党「首相の姿勢に好感」 消えぬ経済懸念
 日本国民はイラク戦争をどのように受け止めているのだろうか。読売新聞社が二十二、二十三両日に実施した全国世論調査では、日本政府が米国を支持したことに対し、八割近い人が容認する姿勢を示した。与党内にも根強かった「戦争を支持すれば、内閣支持率は10ポイント以上下がる」との予想を覆す調査結果は、北朝鮮の核・ミサイル危機への懸念も背景に、日米同盟の必要性が国民の間に予想以上に認識されていることを浮き彫りにした。<本文記事1面>
 小泉首相は二十四日、記者団に対し、政府が米国を支持したことに理解を示す世論が多いことについて、「支持率がどうあろうとも、政府の決定に対して国民の理解が得られるよう努力したい」と淡々と答えた。
 今回の世論調査結果について、首相周辺には「あえて世論に抗して国益を説いた首相の姿勢が国民に好感された」と自画自賛する声も聞かれた。
 自民党の山崎幹事長も「戦争開始の影響を受け、支持率が大きく下がるのではないかという予測もあったが、踏みとどまっており、小泉内閣への期待の底堅さを感じる」と語った。
 与党内は、「北朝鮮問題に対する危機感が国民に相当、浸透している」(堀内自民党総務会長)などと、北朝鮮の核開発や弾道ミサイルに対する国民の懸念が米国支持への理解につながったとの見方が多い。政府・与党内からは、「予算成立後は有事関連法案とイラク復興支援法案を一気に成立させるべきだ」(政府関係者)と、強気の国会運営を求める声も出始めた。
 もっとも、戦争の早期終結を見込んで、原油価格や株価が安定して推移していることも世論に好感されたと見られ、神崎公明党代表は「戦争が長期化して経済に影響が出た時に支持率がどうなるかが問題だ」と指摘した。
 市場関係者の間では「戦争が長期化した場合、原油価格が高騰、世界経済は同時不況に突入し、輸出頼みで脆弱(ぜいじゃく)な日本経済はマイナス成長に陥る」との観測もある。今回の世論調査結果でも、八割近い人が小泉内閣に優先的に取り組んでほしい課題として景気対策をあげており、小泉内閣に景気対策重視の政策転換を求める動きは今後も続きそうだ。
 一方、野党各党は、「意外だ。もう少し納得できない人が多いかと思っていた」(共産党の市田書記局長)などと、イラク戦争支持の政府決定に理解を示す世論に戸惑っている。
 民主党の菅代表は「イラク問題にも北朝鮮に対する不安感、脅威が強く反映している。内閣支持率(が下がらなかったの)も北朝鮮の脅威が表に出たからで、経済失政が陰に隠れた」と感想を語った。
 自由党内には「民主党がイラク戦争批判に傾斜しすぎ、政権担当能力を疑われた」(幹部)と指摘する声もある。
◆容認派 民主支持層で65%
 イラク戦争を支持する政府方針について、「当然」「やむをえない」と答えた「容認派」は全体の76%に達した。年代が高くなるほど容認派は増え、五十歳代、六十歳代ではほぼ八割に達した。支持政党別にみると、与党では、自民党支持層が89%と高率で、戦争反対論が根強い公明党の支持層でも七割を超えた。
 民主党支持層では容認派が65%に達し、イラク戦争に反対の同党の立場とのねじれが見られた。無党派層でも容認派は70%に達するなど、米国支持への理解の広がりをうかがわせた。北朝鮮のミサイル発射や核開発問題について、「大いに不安を感じる」と答えた人は61%で、「多少は感じる」を合わせると92%に達した。
 このところ、北朝鮮は核施設再稼働や地対艦ミサイル発射など、「瀬戸際外交」を加速させている。こうした北朝鮮脅威論の広がりが、同じ大量破壊兵器を持つとされるイラクに対する戦争に踏み切った米国の判断を受け入れる素地になったと見られる。
 内閣支持率は前月調査の49.1%と比べて0.1ポイント減で、ほとんど横ばい。不支持も前月調査と同じ39.6%だった。
 小泉内閣に期待する政策(複数回答)は、景気対策が78%、雇用対策が42%と上位を占め、構造改革を重視する小泉内閣の経済政策への不満は強い。その中で、支持率が横ばいだったことは「経済政策への不満を安保対応が補ってくれた」(自民党幹部)とも言える。首相がイラク戦争を支持する理由として北朝鮮の脅威に言及するなど、国民への説明を積極的に行ったことが評価されたとの見方も自民党内には出ている。
◆日本人の安保意識変化
 ■中西輝政京大教授
 様々なメディアで反戦のトーンが強かっただけに、米国を支持した政府を肯定的に評価した人が76%に達したことは一見驚きだ。日本人の安全保障意識が変わりつつある流れを象徴している。北朝鮮の核やミサイルに不安を感じる人が九割を超えたのは当然で、国民が危機感を持ち、独裁国家による大量破壊兵器の開発や保有に反発があることを示している。北朝鮮の脅威は日米同盟によってしか押しとどめることはできないことを理解し、抑止力を低下させてはならないという意識が強く出ている。
◆消極的選択での賛同も
 ■曽根泰教慶大教授
 国民は戦争の早期終結を望んでおり、戦争が始まった以上、米国とそれを支持する日本に賛同するしかないという消極的選択ではないか。「やむを得ない」の割合が多いのはそれを裏付ける。国連憲章や国際法の厳密性を追求すれば、米国支持の方針には異論があると思う。しかし、開戦後は日米関係や北東アジア情勢などから、米国を支持せざるを得ないとする国民が増えている。北朝鮮のミサイルや核の問題に不安を感じる人が多いのは、北朝鮮との関係でイラク問題を理解する人が増えている表れだ。
◇国連憲章
 1945年6月のサンフランシスコ会議で採択された。国連の組織と活動の基本原則を定めている文書。国連の目的として、戦争防止、国際紛争の平和的解決などを掲げている。
 
 図=日本政府がイラク問題でアメリカを支持していることへの評価
 写真=小泉首相(左)とブッシュ米大統領(右)(ロイター)。今回の世論調査では日米同盟の必要性が国民の間で予想以上に認識されていることが浮き彫りになった
 
 
 
 
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