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ノンラインズ造船システムの可能性に関する研究の調査部会
 
氏名 所属 役職 住所
E−mail
松岡 一祥 海技研 研究統括主幹
(外部資金民間担当)
統括主幹 181−0004 三鷹市新川6−38−1
shoal@nmri.go.jp
砂川 祐一 (株)エスエス・テクノロジー 代表取締役 111−0053 台東区浅草橋1-21-6宝山ビル1F
sst@blue.ocn.ne.jp
吉田 康彦 サイテック(株) 代表取締役社長 171−0031 安城市二本木町二ツ池28番地1 東洋ビル4F
yoshida@citec.co.jp
三浦 正美 三菱重工業(株)長崎研究所
船舶・海洋研究推進室
主任 100−8315 長崎市深堀町5丁目717−1
miuram@ngsrdc.mhi.co.jp
田中 義照 海技研 海上安全研究領域
構造安全性研究グループ
  181−0004 三鷹市新川6−38−1
terry@nmri.go.jp
 
ノンラインズ造船システムの可能性に関する調査研究
 
1. 緒言
 造船生産システムは基本的には昭和40年代に確立され、以後はOSの更新に伴う変更を除けばほとんど変更されていない。その結果、外板展開等のプログラムモジュールのブラックボックス化、幾つものCADソフトの混在による非能率化等が進行した。そして、システムは作動時には重く、更新しようにも手を着けることができる人間がいないような状況になっており、抜本的なシステム更新の必要性が認識されている。
 NAPA、TRIBON等の海外システムが日本の造船界を席巻しようとしていることや、国際汎用CADソフトを国際標準プラットフォームとする動きは、造船生産システムの陳腐化の現れである。この状況は、新たな発展を妨げ、技術、技能の継承問題の原因となっている。
 現行の造船生産システムを更新しようとする場合、生産システムそのものの改良と、これからのシステム更新に対応できる、メンテナンス・サポートの容易なCADプラットフォームの採用が不可欠である。
 現行の造船システムでは、船型開発における船体曲面は3D−CADで曲面パッチの集合体として形成され、表現された曲面を2Dラインズに変換している場合が多い。これは現行の生産システムがラインズを基準としているからにすぎず、生産現場の生産性を阻害している面がある。すなわち、造船生産現場での技能伝承問題の多くが、外板曲げ、条材の曲げ捻り、組立、搭載等の3D形状・寸法の認識方法に依存する工程で生じており、現行の2Dシステムの限界を示すものと判断される。
 また、フェアリング工の高齢化、若年労働者の資質の低下等により、ラインズの精度が低下し、それ以降の工程に障害を生じさせている。基本設計からのラインズを生産設計でフェアリングし直す工数は、概ね200ないし300人時であるが、1000時間に及ぶ造船所もある。フェアリングは、1船を1人で行う場合が多く、工程短縮が困難である。
 一方、造船業の現状に対して、自動車、鉄道車両、航空機等の他産業では3D−CADが設計から生産まで一貫して用いられている。特に、自動車は昭和40年代まではラインズを用いていたにもかかわらず生産性向上の要求によりラインズを用いないシステムになっている。
 そこで、ラインズを用いない、3D−CADデータに基づく生産システムであれば、中間作業の省略ができフェアリング工の不足、生産現場での技能継承等の問題にも終止符を打てる可能性がある。本調査は、以上の認識に基づき、今後の造船生産システムの根幹とすべき新たな要素を抽出し、その要素を実現できるCAD及びシステムの要件を定めようとするものである。
 まず、現行システムの問題点、他分野、特に自動車業界の生産システムについて調査し、次に、新しい造船システムの提案を行う。最後に、提案した造船システムの波及分野について述べる。







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