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挨拶
 
歓迎挨拶
彭珮云(ぺン・ペイユン) 全人代常任委員会副議長
 中華人民共和国全人代常任委員会を代表してAFPPD第七回大会を歓迎申し上げます。中国はまだ途上国。人口抑制は持続可能な開発の基礎。中国は過去努力して人口増加率の抑制を果たしてきた。貧困対策、女性の地位の向上、リプロダクティブ・ヘルスの普及。その成果は大きなものがあった。これから数十年間人口が増えつづける。したがって、今後も努力が必要。同時にまだ貧困や失業の問題がある。また高齢化も進んでいく。持続可能な開発のための様々な立法を行ってきた。
 過去数年間の間に、全人代の常任委員会は基本的な法律をいくつも成立させてきた。それは、人口、社会、経済、資源および環境の間の調整と持続可能な開発を法的に裏付けるものであり、「環境保護法」、「土地管理法」、「水に関する法律」、「森林法」、「鉱物資源法」、母子健康保護法」等が含まれている。特に、昨年十二月二十九日に採択された「中華人民共和国人口・家族計画法」は中国が過去数十年にわたって努力してきた人口・家族計画政策に法的な裏づけを与えるものであり、今後の家族計画実施を保証し、効率的にする大きな意味を持っている。
 「国民の利益を守り、国民の福利安寧を確保する」これが中国の基本的戦略であり、男女平等は基本戦略となっている。ジェンダーの問題も重視しており「女性の権利と利益保護法」が審議されている。男女の調和ある関係を構築することが重要である。
 しかしながら中国の女性は、開発の中で問題を抱えている。文化的な理由で政治への関与が少ないのが現状である。しかし大いなる前進が行われてきている。
 全人代は女性の権利の擁護を件としており「二〇〇一年から二〇一〇年における中国女性の開発大綱」が制定され、布告されている。女性の自助努力とそれを活用する環境の整備が重要である。
 中国はAFPPD副議長として、またAFPPDを誕生させた発起国の一つとして、AFPPD活動の中で役割を果たしてきた。今後も、しかるべき役割を果たしていきたい。この会議を成功に導きたいと思う。
 
歓迎挨拶
谷津義男 AFPPD議長挨拶
 AFPPDが二十年前、UNFPAのラファエル・M・サラス事務局長、福田赳夫首相、佐藤隆農林水産大臣、及び中国の当時の指導者の方々により構想された国へ戻ってくることができたことを、心より喜んでいます。
 AFPPDその後に続く国会議員の皆様のご尽力により、その創生期より大過なく発展して参りました。この発展を担ったのは各国の人口・開発に関わる国内委員会であり、UNFPAのナフィス・サディック博士、ジョティ・シンさん、安藤博文教授、和気邦夫さん、スターリング・スクルッグスさん、中山太郎先生、桜井新先生を初めとする数多くの日本の国会議員の先生方、またインドの故サット・ポール・ミッタール先生、タイのプラソップ・ラタナコーン先生、オーストラリアのコリン・ホリス先生、そのほか多くの運営委員会の委員の皆様です。
 AFPPDが今日の姿になるためにAFPPDの事務局も重要な役割を果たしました。現在二十ヶ国以上の正規会員国と常設事務局があります。現在、私たちの活動はCIS諸国にまで拡大しています。今後さらにアジア地域の隅々にまで拡大していきたいと念じています。
 また数多くの友好団体やNGOから数多くの国会議員にご参加いただいていますし、人口と開発問題に取り組む上で国会議員を動員する際にAFPPDが有効な手段であるとの認識が醸成されつつあります。
 近年、人口・開発活動は厳しい環境に晒されています。ある人たちは人口問題の解決なく世界の開発を成し遂げられると考えていますが、これは根拠のない神話に過ぎません。このような非現実的な考えを啓発する事も私達の仕事です。アジア人口の増加率は低下してきていますが、その増加数は非常に大きなものです。農業の生産性はこれまでのような上昇を期待できませんし、多くの国にとって食料安全保障は夢物語です。巨大な人口が天然資源を過剰消費することで気候変動が起こっています。その結果、それまで洪水や旱魃が起こらなかった地域で、深刻な洪水や旱魃が起こっています。
 これは地球がその限界をもっており、現在の人口やその増加率を持続できないということを示しています。水を例に取れば、水をめぐる紛争は既に発生しており、この問題を解決することは容易ではありません。
 AFPPDが懸命に働く理由も人口が様々な分野:食料安全保障、水、環境などの分野と関連しているからです。近年「持続可能な開発世界サミット(WSSD)で人口問題を議論の中心に置くべきだと指摘しました。もし本当に私たちの問題を解決しようと思うならば人口問題を無視することはできません。
 AFPPDの二十年間には数多くの成功がありました。日本の国会議員が日本政府に働きかけて設立した日本信託基金は毎年百万ドルの拠出を人口と開発に関する国会議員活動に行っています。この日本信託基金は世界の国会議員活動を大きく推進する原動力となっています。ヒューレット財団もAFPPDの特別事業に拠出をしてくださっていますし、UNAIDSもAFPPDのHIV/AIDSプログラムの支援機関となっています。AFPPDは日本信託基金の支援を得て、アフリカ−アジアの協力関係をはじめることができました。私達と致しましては、この活動をさらに推進していきたいと思っています。
 今日この席にAFFPDが今日の姿になるために、ご協力くださった皆様、数多くの支援者の皆様、他の地域議連の代表者の皆様、NGO代表者の皆様のご参列を得ることができ、たいへん喜んでいます。
 AFPPD活動は、各国の国会議員委員会による法律の見直しと言う面でも多大の成果をあげています。インドでは新しい人口政策の構築に寄与しましたし、フィリピンとカンボジアではHIV/AIDS新法が成立しました。AFPPD活動の結果、女性に対する暴力に関連する法律的な見直しが各国で行われました。また、来年の終わりまでにカンボジア、マレーシア、インドネシア、フィリピンの全ての国会議員との個人的な対話を終える予定です。
 この機会に彭珮云(ペン・ペイユン)全人代副議長、李鵬閣下がAFPPD大会をホストしてくださったこと、ならびに今日のAFPPDを支えてくださる皆様に感謝申し上げます。
 AFPPDの今後の発展と、アジア太平洋・CIS地域の議会に影響を与えていくことを確信いたしています。
 
歓迎の挨拶をする谷津義男・AFPPD議長
 
 
歓迎挨拶
和気邦夫 UNFPA事務局次長挨拶
 かつて国連の若いスタッフとしてインドでの会議に参加した。その会議には、岸信介先生、佐藤隆先生他が参加され、人口問題を議論した。これはAFPPD創生以前のできごとであるが、私と人口問題に関する国会議員活動とのかかわりの第一歩であった。
 これまでUNFPAとしてAFPPDの活動を支援してきた。アジア人口は世界人口の六〇%、アジアの多くの国では大きな努力を行い、出生率の安定化にその成果を上げてきた。また教育の普及が目覚しく、同時に経済的に奇跡とも言える成功が得られてきた。
 この分野で、国会議員が多くの貢献をなしてきた。なすべきことはまだまだあるが、まず二十周年を記念して、これまでの成功を喜びたい。この成功には、日本の国際人口問題議員懇談会(JPFP)、APDAの協力が大きな貢献を果たしてきた。
 しかし現在、私達の前には大きな問題が横たわっている。HIV/AIDSは深刻さを増している。私達の活動によって、今の子供達そして、その子供の子供達が幸せを享受できる未来を作ることが重要である。
 AFPPDの発展を考えるときに安藤博文、ジョティ・シンのお二人のUNFPA前事務局長と、松村昭雄AFPPD初代事務局長が大きく貢献されたことを忘れてはならない。
 未来を担う子供達の権利を奪わないことが重要である。現在、四〇%もの産婦が十分な医療的環境が得られない中で出産している。この問題に対応するためには、IPPFのようなNGO活動も大きな意味を持っている。
 現在、アメリカ合衆国からの資金拠出が停止された中で、十一月にはAFPPDを始め、FAAPPD、IEPFPD、FAAPPDの地域国会議員グループの代表がオタワに集まって、協議を行なう。この会議には、世界各地から百三十名以上の国会議員が集まるので、大幅な活動資金の不足をきたしている環境を変えることを期待している。
 この会議ではカイロ行動計画の実施にどのような進展がなされたのかについても協議をおこなう。AFPPD活動は過去二十年間にわたってUNFPAに刺激を与えてきた。今後も手を携えつつ努力していきたい。
 
AFPPD活動報告(一九九九年十一月〜二〇〇二年九月期)
ナフシア・ビンティ・オマール AFPPD事務総長代行
 AFPPD設立から二十年という記念すべき大会でAFPPD事務総長代行としてAFPPDの活動報告を行うことはたいへん幸福である。今回の大会にはAFPPD創設に直接関わった創始者の方々が多数参加している。
 この二十年間の活動の中でAFPPD設立時に理想として掲げていたものが現実となってきており、AFPPDはアジアの国会議員活動の母体として最も重要なものとなってきた。
 現在、AFPPDにはモンゴルからイランまで参加している。AFPPDの二十年間にわたる働きかけによって、各国が問題意識をもって活動することができるようになった。
 マレーシアもかつては人口問題に対する問題意識がなかった。しかし現在では国会内に常設の事務局を持って活動している。
 この発展には、谷津議長の努力、運営委員会の努力、十二国内委員会、専任スタッフ、そして特にシフ・カレー事務局長を初めとするAFPPD事務局の努力が大きく貢献してきた。現在、すべての正規加盟国には常任委員会があり、その活動範囲も拡大してきている。
 水問題、HIV/AIDS対策、ヒューレット財団事業、パーソン・トウ・パーソン対話事業(これは、国会議員が一対一で人口と開発に関わる問題を討議していこうというもの)など多彩な活動が実施されている。その中でAFPPDの活動事業規模も十二万ドルから百万ドルまで拡大してきた。これは日本がUNFPAを支えてくれたおかげである。現在、FAAPPD、GCPPD、PGA、世銀ネットワークなど他の地域議連や他分野の国会議員活動とも親しい付き合いをしている。今回の会議にこれらの組織の代表が参加されていることをAFPPDを代表して歓迎したい。またUNFPAの本部および各国で活動されている職員にもこの機会を利用して感謝申し上げたいと思う。







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