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交通エコロジー・モビリティー財団
平成14年度交通バリアフリー施設整備助成金の交付先を決定
 
 交通エコロジー・モビリティ財団では、本会報No.348(2002年6月号)で既報のとおり、競艇交付金による日本財団の助成金を受けて、公共交通における交通バリアフリー施設整備に対する助成を行っていますが、去る2月12日に平成14年度交通バリアフリー施設整備助成として次表のとおり海上交通事業者12事業者に対し、旅客船9隻5,100万円、旅客船ターミナル5箇所1,470万円、計6,570万円の交付を決定しました。
 同財団では平成6年度から日本財団の助成事業として鉄道駅を中心にバリアフリー施設整備のための助成を行ってきましたが、エレベーターやエスカレーターに対する国の補助制度が充実してきたことに伴い、今年度から陸上に比べ比較的バリアフリー化の遅れている海上交通に特化して助成を行うこととしています。
 今回の助成金交付にあたっては、(1)旅客船については交通バリアフリー法の義務基準のレベルを超えた施設・設備で、離島の通院、通学の足として日常的に利用する生活航路に就航するものを優先し、(2)旅客船ターミナルについては離島など高齢者、障害者等の利用が多い民間ターミナルを優先的に助成することとして交付先の選定が行われました。また、助成比率は通常20%となっていますが、同財団が作成した「バリアフリー化モデル船推奨基準」を満たした山陽商船(株)「はやぶさ1号」については波及効果の観点から50%の助成が行われています。
 
1. 助成金交付概要
 
区分 事業者数 隻・箇所 交付金額(万円) 交付先
旅客船 8 9 5,100 山陽商船(株)、芸備商船(株)、大島運輸(株) (株)テクノ・シー・ウエイズ、桜島町、(株)名門大洋フェリー、やまさ海運(株)、郷ノ浦町
旅客船ターミナル 5 5 1,470 南海フェリー(株)、明淡高速(株)、盛運汽船(株)、郷ノ浦町、島根県
合計 12※1 14 6,570  
 
2. 具体的な交付先
 
旅客船
No. 事業者数 船名 就航予定航路
()内は離島名
対象施設
1 山陽商船株式会社 はやぶさ1号※2 竹原〜大長(大崎下島) バリアフリー客席、車いすスペース、案内板、手すり、車いす対応トイレ、点字ブロック、タラップ、電光掲示板等
2 芸備商船株式会社 シャトルえーす 宇品〜三高(西能美島) バリアフリー客席(車いす対応トイレ含む) 
3 大島運輸株式会社 琉球エクスプレス 神戸〜那覇(奄美大島、沖永良部、与論島、徳之島) EV、トイレ、ES、点字案内板、手すり、客室設、滑りにくい床面、スロープ板等
4 (株)テクノ・シー・ウエイズ テクノスーパライナー 竹芝〜父島(父島) バリアフリー客席、EV、車いす対応トイレ、車いす対応シャワー室、警告ブロック、触地図案内板、点字案内、手すり、スロープ等
5 桜島町 第18櫻島丸 桜島〜鹿児島 EV、トイレ、自動扉、スロープ板、車いすスペース、バリアフリーいす、点字ブロック、点字案内板
6 株式会社名門大洋フェリー フェリーきょうと フェリーふくおか 大阪〜新門司 車いす対応トイレ、スロープ、誘導警告ブロック、触地図案内板、バリアフリー食堂
7 やまさ海運株式会 遊覧船マルベージャ2 長崎港周遊 車いす対応トィレ、客室設備、手すり、点字案内板、スロープ、点字ブロック
8 郷ノ浦町 フェリーみしま 郷ノ浦〜大島(壱岐島) バリアフリー客席、車いすスペース、点字案内板、手すり、車いす対応トイレ、点字ブロック、タラップ等
  全事業者(8事業者)      
 
旅客船ターミナル
No. 事業者数 ターミナル名 対象施設
1 南海フェリー株式会社 和歌山港フェリーターミナル 車いす対応EV、車いす対応トイレ、視覚障害者誘導用ブロック
2 明淡高速株式会社 明石船客待合所 スロープ、車いす対応トイレ、誘導ブロック等
3 盛運汽船株式会社 喜路定期船待合所 車いす対応トイレ
4 郷ノ浦町 原島船客待合所 車いす対応トイレ
5 島根県 西郷港旅客船ターミナルへの連絡通路 屋根付通路、車いす対応EV
  全事業者(5事業者)    
※1: 旅客船事業者、旅客船ターミナル事業者が重複のため、事業者数は1としてカウントした
※2: 本財団が作成したバリアフリー化モデル船推奨基準を満たした旅客船「はやぶさ1号(広島県の「竹原〜大長(大崎下島)」間を結ぶ離島航路)を交付決定
 
平成14年度〜18年度内航適正船腹量について
 
 国土交通省は、交通政策審議会海事分科会の答申を受けて、平成14年12月27日に「内航海運業の用に供する船舶の平成14年度以降5年間の各年度の適正な船腹量」を定め告示した。
 適正船腹量は、内航海運業の健全な発展を図るうえでの長期的指針とするため、内航海運業法に基づいて国内における貨物輸送の需給状況等を勘案して、油送船、セメント専用船、特殊タンク船、自動車専用船、土・砂利・石材専用船及びその他の貨物船の6船種について定められるものである。
 昨年度は全ての船種で船腹過剰状態となっていたが、内航海運暫定措置事業の進展に伴う減船等により、貨物船については14・15年度の若干の船腹過剰状態から16年度以降は船腹不足に転じる見通しとなった。国土交通省海事局国内貨物課ではこれについて次のとおり述べている。
(1)14年度の国内貨物の輸送需要は、景気の長引く低迷、荷主企業の物流効率化等により、全般的に低迷している。一方、現有船腹量も大幅に減少(対前年度6%減)している。
(2)貨物船については、鉄鋼、石灰石をはじめとする荷主産業の不況の影響等により輸送需要が減少することから、1%程度の船腹過剰状態にあると見込まれる。
(3)油送船については、中期的に輸送需要の減少が見込まれていることから、8%程度の船腹過剰状態にあると見込まれる。しかし、昨今の原子力発電の操業停止により重油の輸送需要が大幅に増加していることから、この船腹過剰状態は、短期的には解消されているものと見込まれる。
 なお、交通政策審議会海事分科会では今回も貨物船の一部を構成するコンテナ船とRORO船について適正船腹量の試算を行っており、これによるとこれら2船種については適正船腹量が前回策定値より若干上方修正されたにもかかわらず、15年度以降は船腹不足の状態が続く見通しとなった。同試算におけるコンテナ船及びRORO船の範囲は次のとおりである。
コンテナ船:コンテナの輸送に適した構造を有する船舶。
RORO船:ランプウェイを有し、自走により積載貨物を積み卸しする荷役方法の船舶で、構造上積み荷が特定の単一種類の貨物に限定される船舶(例:鋼材輸送のRORO船等)以外の船舶。
 
内航海運業の用に供する船舶の平成14年度以降5年間の各年度の適正な船腹量
船種 現有船腹量(H14.9.30) 適正船腹量
14年度 15年度 16年度 17年度 18年度
貨物船  1559千G/T 1,544
(15)
1,539
(20)
1,583
(▲24)
1,635
(▲76)
1,694
(▲135)
2,662千D/W 2,636
(26)
2,627
(35)
2,703
(▲41)
2,791
(▲129)
2,893
(▲231)
セメント専用船  427千G/T 410
(17)
410
(17)
410
(17)
410
(17)
410
(17)
693千D/W 665
(28)
665
(28)
665
(28)
665
(28)
665
(28)
自動車専用船  150千G/T 151
(▲1)
151
(▲1)
151
(▲1)
151
(▲1)
151
(▲1)
122千D/W 122
(0)
122
(0)
122
(0)
122
(0)
122
(0)
土・砂利・石材専用船  759千G/T 684
(75)
631
(128)
563
(196)
530
(229)
517
(242)
1,431千D/W 1,289
(142)
1,189
(242)
1,061
(370)
1,000
(431)
974
(457)
油送船  746千G/T 693
(53)
682
(64)
679
(67)
678
(68)
677
(69)
1,625千m3 1,509
(116)
1,486
(139)
1,480
(145)
1,478
(147)
1,475
(150)
特殊タンク船  209千G/T 204
(5)
204
(5)
204
(5)
204
(5)
204
(5)
325千D/W 317
(8)
317
(8)
317
(8)
317
(8)
317
(8)
小計(土・砂利・石材専用船を除く)  3,091千G/T 3,002
(89)
2,986
(105)
3,027
(64)
3,078
(13)
3,136
(▲45)
5427千D/W・千m3 5,249
(178)
5,217
(210)
5,287
(140)
5,373
(54)
5,472
(▲45)
1. ()内は現有船腹数に対する船腹過剰量である。
  2. 土・砂利・石材専用船については、平成15年度以降、関空2期工事・中部国際空港等の埋立工事がピークを過ぎることから、計算上、大幅な船腹過剰が予想されている。しいかし、現実には現有船腹量のうち、総トンの41%(310千G/T)、載貨重量トンの37%(536千D/W)は自家用船舶の臨時投入であり、工事終了と共にこれらが撤退することから、極端な船腹過剰は発生しないものと考えられる。
 
船種別輸送量の見通し
船種 品目 実績 推計
11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 
貨物船(百万トン) 鉄鋼 48.6 54.6 50.7 49.5 47.9 47.9 47.9 47.9
石灰石 57・1 59.1 57.6 54.7 54.4 54.4 54.4 54.4
その他貨物(注1) 111.6 109.4 103.7 104.5 104.5 110.8 118.1 126.4
小計 217.3 223.0 211.9 207.1 206.8 213.1 220.4 228.7
セメント専用船(百万トン) セメント 46.0 49.5 47.9 45.3 45.3 45.3 45.3 45.3
自動車専用船(百万トン) 自動車 3.6 4.0 4.1 3.9 3.9 3.9 3.9 3.9
土・砂利・石材専用船(百万トン) 土・砂利・石材 115.2 133.5 145.1
(実績見込)
239.8 186.9 139.0 121.5 114.7
沖送船(百万キロリットル) 黒油 70.5 68.6 60.0 57.3 54.9 54.5 54.2 53.9
白油 103.4 98.9 99.6 98.8 98.5 98.2 98.2 98.2
その他(注2) 20.5 20.3 19.1 19.1 19.1 19.1 19.1 19.1
小計 194.4 187.8 178.7 175.2 172.5 171.8 171.5 171.2
特殊タンク船(百万トン) 高圧ガス等 26.1 25.7 23.3 23.3. 23.3 23.3 23.3 23.3
1. 貨物船の「その他貨物」とは、鉄鋼・石灰石を除いた穀物、石灰製品等である。
  2. 油送船の「その他」とは、油脂、ケミカルである。
 
コンテナ船・RORO船の適正船腹量(試算)
現有船腹量(H14・9・30) 適正船腹量
14年度 15年度 16年度 17年度 18年度
393千G/T 382
(11)
407
(▲14)
433
(▲40)
457
(▲64)
481
(▲88)
303千D/W 295
(8)
314
(▲11)
334
(▲31)
352
(▲49)
371
(▲68)
(注)()内は、船腹過剰量で▲は船腹不足の状況を示す。
 
コンテナ船・RORO船の輸送量の見通し(試算)
輸送量(千トン) 実績 推計
11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度
10,864 12,467 12,443 13,794 14,760 15,793 16,725 17,712







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