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6. オーストラリア
<輸入超過と干ばつにより、空コンテナが増加>
 シッピング・オーストラリアは、輸入超過と干ばつによる空コンテナの海外輸送で総額7,000万豪ドルの損失が出ると予測し、外国からの海運料金が上昇するとみている。シドニーの港湾には昨年12月、前年同月の8万4,000個を大きく上回る10万4,000個のコンテナが荷揚げされ、倉庫の80%を占めたとのこと。クリスマス前に急増する輸入は、通常11月までに落ち着くが、今年は年が明けても増加傾向が続いているもよう。干ばつにより主な輸出産品である綿花、コメ、食肉、乳製品、野菜、果物、ワインなどの生産が落ち込んでいるため、コンテナを返すことができない状況が続いている。
 シッピング・オーストラリアのラッセル最高経営責任者(CEO)は、このまま干ばつが続けば、空コンテナ問題はこれまでになく業界に悪影響を与えると指摘。日本が牛肉への輸入緊急関税措置(セーフガード)を実施するような事態になれば、さらに事態は深刻化すると懸念している。
《23 Jan 2003, The Australian, Australia》
 
7. 台湾
<台プラグループ、国際複合一貫輸送に参入>
 台湾プラスチックグループは新会社を設立し、海運・陸運・航空を組み合わせた国際複合一貫輸送サービスを開始する。台プラグループ関係者は、新会社で取り扱う国際複合一貫輸送では、航空貨物及び宅配サービスを合わせて、グループ内部で月間100万台湾元、グループ外からの受託で同500万元の需要を見込んでいる。この中には海運の需要を含めていないとのこと。
 新会社は台北市の台プラ本社ビル内に、社員数約30人で設けられる予定。新会社の業務に関して、海運貨物の輸送はグループ傘下のフォルモサ・プラスチックス・マリン(台塑海運)が行う。航空貨物の輸送については外部の航空会社または航空貨物輸送会社と提携し、ドアツードアの配送サービスを実現させる構想を持っており、現在、内外の航空会社等と協議を行っている。
 台プラグループは、グループ企業の原料や製品の輸送を目的としてフォルモサ・プラスチックス・マリンを設立しているが、同社の所有船舶は、タンカーやバルクキャリアが中心で、これまで石油製品、石炭、プラスチック原料、化学品などの大口貨物を取り扱ってきた。今後は小口の貨物に対応するため、新しい船舶を建造する可能性がある。
《28 Jan 2002,『経済日報』, 台湾》
 
8. 韓国
<国内造船業界、売上高が過去最高に>
 世界的な造船不況にもかかわらず、国内造船業界は昨年、売上高で過去最高を記録したもよう。過去受注分の建造が集中したほか、造船工法や生産性が大きく向上したためとみられている。
 関連業界によると、昨年2月の系列分離と同時に統合重工業専門グループとして再出発した現代重工業は、昨年の売上高(推定値)が8兆1,400億ウォンとなった。当初の目標額(8兆4,350億ウォン)には達しなかったものの、前年実績の7兆2,000億ウォンを大きく上回る見込み。系列分離社に対する持ち株法評価損失を処理したことで、前年の781億ウォン赤字から800億ウォンの黒字に転換したもよう。
 2001年8月にワークアウト(企業改善作業)を終了した大宇造船海洋も、昨年の推定売上高は前年の3兆156億ウォンに比べ9.4%増の3兆3,000億ウォンと、過去最高を記録するとみられる。営業利益は前年比3.0%増の3,000億ウォン、経常利益は同50.9%増の3,500億ウォン、純利益は同55.5%増の2,500億ウォンの見通し。
 サムスン重工業も、売上高が同4兆1,105億ウォンから4兆2,638億ウォンに増加し、過去最高を更新する見込み。
 2001年末に法定管理(会社更生法に相当)を終了したSTX造船は、受注品目を付加価値が高いPC船中心にしたことで、売上高が過去最高の5,600億ウォンに達するとみられる。
 造船業界各社の実績が大きく改善しているのは、業界景気が最も良かった2000年の受注分の建造が昨年に集中し、建造と輸出量が過去最高を記録したほか、各社の造船工法や生性が大きく向上したためと分析されている。
《17 Jan 2003, The Daily NNA》
<昨年の船舶輸出、100億米ドル突破>
 産業資源部が発表した「2002年船舶輸出動向」によると、昨年の船舶輸出は前年比8.7%増の105億4,000万米ドル、建造量は同5.9%増682万CGT(標準貨物船換算トン)で、それぞれ過去最高を記録した。船舶の貿易黒字は101億1,200万米ドルだった。黒字額が100億米ドルを超えたのは1969年以来初めて。
 受注は、第3四半期まで前年同期比28.9%減と低調だったが、第4四半期に同322.1%増の346万7,000CGTと追い込んだ。12月の受注量は218万1,000CGTで、過去最高を記録した。年間受注量は、前年比18.5%増の759万CGT。輸出全体に占める船舶輸出の割合は8年連続で5位以内に入った。
 一方、産業資源部は、今年の船舶受注と建造量は昨年と同水準、輸出は約107億米ドルに増加すると予想している。
《24 Jan 2003, The Daily NNA》
<造船産業、今年は好調を予想>
 韓国造船工業協会は「造船産業動向」の中で、今年の受注実績は少なくとも昨年の759万CGTを上回るとの見通しを明らかにした。船舶の建造、輸出の見通しについては、高付加価値のLNG船12隻(1隻・1億6,000万米ドル)の建造が予定されていることから、採算性が大きく向上する見通し。建造量は合計700万CGT、輸出は107億米ドルに達すると予想されている。
 船種別では、バルクキャリアとコンテナ船の新規発注が予想されるほか、低公害エネルギーの需要が増えていることから、LNG船の受注も増える見通し。このほか、ダンカーの需要も小幅に増加するとみられる。2001年の中盤から下落傾向が続いていた船舶受注価格は、昨年11月からタンカーとバルクキャリアを中心に回復傾向を見せているという。
 一方、受注残量は、昨年末現在で前年(1,621万5,000CGT)比5.3%増の1,707万4,000CGTに達している。
《28 Jan 2003, The Daily NNA》
<大宇造船、米エクソンからプラント受注>
 大宇造船海洋はこのほど、米石油メジャー、エクソンモービル社から6億米ドル規模の海洋プラントを、購買・施工・設置などをすべて請け負う一括工事の形式で受注した。大宇造船が受注したフローティングプラントは、アンゴラ近海に造成され、水深1,051メートルの油田から1日平均25万バレルの原油を生産する。
 大宇造船は1990年代から本格的に開始した浮体式油田開発プラントの受注を強化していく考え。昨年は全体の売上高の約6%にとどまった海洋プラント部門の売上比率を、今年は20%程度まで引き上げる計画を立てている。
《13 Jan 2003, The Daily NNA》
(以上ASIA MARINE NEWS No.110(2003年2月13日付)より)







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