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付録6 排ガス質量流量の計算(炭素バランス法)
(NOxテクニカルコード5章参照)
 
1 緒言
1.1  本付録は、排ガス質量流量及び燃焼空気消費量又はそのどちらかの計算について述べる。以下に示す2つの方法は、排ガスの濃度計測及び燃料消費量の把握に基づくものである。炭素バランス計測法の式に使用する記号、用語及び変数の説明は、本コードの表4の「略語、添字及び記号」に要約されている。
1.2  本付録には、以下に示す2つの排ガス質量流量の計算法が述べられている。方法1(炭素バランス)は、酸素も窒素も含まない燃料を使用するときにのみ有効である。方法2(ユニバーサル、炭素/酸素バランス)は、H、C、S、O、Nの成分が既知の場合の燃料について適用できる。
1.3  方法2は、容易に理解できるが、すべての式がすべて定数を含む一般的な誘導である。この方法が与えられているのは、基本的なパラメータを無視して、そのとき利用できる定数を使い、避けることができる誤差を含んだ結果をもたらすような場合が多くあるからである。方法2の式を使用すると、標準状態から逸脱した状態における基本的なパラメータを計算できる可能性もある。
1.4 選択したいくつかの燃料のパラメータの例を表1に示す。燃料成分の値は参考に示すだけで、実際に使用する燃料油の成分値の代わりに使用してはならない。
 
表1. 選択したいくつかの燃料のパラメータ(例)
燃料 C% H% S% O% I FFH FFW FFD EXHDENS
ディーゼル 86.2 13.6 0.17 0 1 1.835 0.749 -0.767 1.294
          1.35 1.865     1.293
          3.5 1.920     1.292
RME 77.2 12.0   10.8 1 1.600 0.734 -0.599 1.296
          1.35 1.63     1.295
          3.5 1.685     1.292
メタノール 37.5 12.6 0 50.0 1 1.495 1.046 -0.354 1.233
          1.35 1.565     1.246
          3.5 1.705     1.272
エタノール 52.1 13.1 0 34.7 1 1.65 0.965 -0.49 1.26
          1.35 1.704     1.265
          3.5 1.807     1.281
天然ガス 60.6 19.3 0 1.9 1 2.509 1.078 -1.065 1.257
          1.35 2.572     1.265
          3.5 2.689     1.28
プロパン 81.7 18.3 0 0 1 2.423 1.007 -1.025 1.268
          1.35 2.473     1.273
          3.5 2.564     1.284
ブタン 82.7 17.3 0 0 1 2.298 0.952 -0.97 1.273
          1.35 2.343     1.277
          3.5 2.426     1.285
体積成分
CO2
1.10%;
N2
12.10%;
CH4
84.20%;
C2H6
3.42%;
   
C3H8
0.66%;
C4H10
0.22%;
C5H12
0.05%;
C6H14
0.05%;
 
1.5 他に規定のない限り、本付録で要求される計算結果をすべて、本コードの5.10節に従って、エンジンの試験報告書に記録しなければならない。
 
2 方法1、炭素バランス法
2.1  この方法は6段階あり、燃料性状に関する排ガス濃度の計算において使用しなければならない。
2.2  方法1で与えられる式は、燃料中に酸素がない場合にのみ有効である。
2.3  第1段階:化学量論的必要空気量の計算
2.3.1  完全燃焼の過程
CO2CO2 (1−1)
4HO2→2H2O (1−2)
S02SO2 (1−3)
STOLAR=(BET/12.011+ALF/(4・1.00794)+GAM/32.060)・31.9988/23.15 (1−4)
2.4  第2段階:完全燃焼及びCO2濃度に基づいた空気過剰率の計算
    
EAFCDO=
((BET・10・22.262/(12.011・1000))/(CO2D/100)+STOIAR・0.2315/
1.42895−BET・10・22.262/(12.011・1000)−GAM・10・21.891/
(32.060・1000))/(STOIAR・(0.7685/1.2505+0.2315/1.42895)) (1−5)
2.5  第3段階:水素一炭素比の計算
HTCRAT=ALF・12.011/(1.00794・BET) (1−6)
2.6  第4段階:燃料性状及び空燃比に関するECE R49手順に基づく乾き炭化水素濃度の計算
 
2.6.1  乾き濃度を湿り濃度に変換するには、次式による。
 
 
   
全湿り排ガス量=
燃焼空気中の窒素+
過剰空気+
燃焼空気中のアルゴン+
燃焼空気中の水分+
燃焼過程のCO2
燃焼過程のSO2 (1−9)
 
 
   
ここで、
MVH2O
=22.401 dm3/mol
   
MVCO
=22.262 dm3/mol
   
MVSO2
=21.891 dm3/mol
 
2.6.2  上式の結果:
 
 
 及び
   
FFH
(0.111127・ALF)/(0.773329+(0.0555583・ALF−0.000109・
BET
−0.000157・GAM)・(GFUELGAIRD)) (1−12)
 
2.6.3  空気過剰率は、次のように定義される。
lv=空気消費量/(燃料消費量・化学量論的必要空気量) (1−13)
EAFCDO
=GAIRD/(GFUEL・STOIAR) (1−14)
GAIRD
=EAFCDO・GFUEL・STOIAR (1−15)
CWET
=CDRY・(1−FFH・GFUEL/GAIRD)
=CDRY・(1−FFH・GFUEL/(EAFCDO・GFUEL・STOIAR))
=CDRY・(1−FFH/EAFCDO・STOIAR)) (1.16)
CDRY
=CWET・(1−FFH/(EAFCDO・STOIAR))
=CWET・EAFCDO・STOIAR/(EAFCDO・STOIAR−FFH) (1−17)
HCD
=HCW・EAFCDO・STOIAR/(EAFCDO・STOIAR−FFH) (1−18)
 
2.7  第5段階:米国連邦規則40(40CFR86.345−79)の手順に基づく空気過剰率の計算
EXHCPN=(CO2D/100)+(COD/106)+(HCD/106) (1−19)
lv=EAFEXH=(1/EXHCPN−COD/(106・2・EXHCPN)−HCD/(106・EXHCPN)+
HTCRAT/4・(1−HCD/(106・EXHCPN))−0.75・HTCRAT/
(3.5/(COD/(106・EXHCPN))+((1−3.5)/(1−HCD/
(106・EXHCPN)))))/(4.77・(1+HTCRAT/4)) (1−20)
2.8  第6段階:排ガス質量の計算
排ガス質量流量=燃料消費量+燃焼空気消費量 (1−21)
(第4段階で定義された空気過剰率を使用)
空気消費量=lv・燃料消費量・化学量論的必要空気量 (1−22)
排ガス質量流量=燃料消費量・(1+lv・化学量論的必要空気量)(1−23)
GEXHW=GFUEL・(1+EAFEXH・STOIAR) (1−24)







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