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SC9/09.19
提案予定国際規格の調査・分析結果
項目タイトル IMO規則又は議題
RORO旅客船の安全関連
DE小委員会:高速救助艇及び遭難者揚収措置の見直し
(高速救助艇関連)
IMO−LINK−No.
又は審議報告
ISO/TC8提案規格名:
高速救助艇及び進水装置
規格の種類:製品規格、操作方法ガイドライン
審議番号
又は担当部会
TC8/SC9及びSC1
IMO規則内容
又は審議事項
 高速救助艇は、従来の救助艇では荒天時の救助活動にはパワーが不十分とされ、RORO旅客船の安全向上手段の一つとして、すべてのRORO旅客船に搭載されている。しかしながら、荒天時の使用を想定し、通常のダビット要件に加えて、波による上下運動補正装置や高速ワイヤーゆるみ取り装置等複雑な機能を要求され、技術的に困難な問題や、事故発生の危険性を抱えている。
 また、パワーが大きく操縦や操作に習熟を要するため、担当船員はSTCWコード及び総会決議A.771(18)に従った定期的な教育・訓練を受ける必要があるが、訓練のためのコストや複雑な操作を敬遠する船員・船主側も問題点を感じている。
 これらの状況を打開するべく、注意喚起のためのMSC/Circ.1016発行と共に、DE45より性能要件の見直し作業が行われている。
ISO規格内容
又は提案事項
1. 国際規格の必要性
 性能要件及び試験基準等の枠組みについては、今後、IMOにおいて見直しが行われる予定であるが、既に製品が船舶に搭載され、不十分ながら使用されている状況から、製造者が中心になってISOの場で本来の性能が生かせるような製品規格及び使用方法に関するガイドライン等の検討に着手し、IMOの審議をリードすべきであると考える。

2. 国際規格の市場適合性
 進水装置を含んだ高速救助艇の基本的な構造や操作方法を国際的に統一することにより、船員の教育・訓練の負担が減少し、また、操作方法等について人間工学的な見直しを行い、分かり易くすることで安全性の向上も期待できる。

3. 国際規格の内容
 a. 高速救助艇の製品規格
 b. 高速救助艇用進水装置の製品規格
 c. 試験方法
 d. 操作ガイドライン

4. 優先順位
 IMOの審議状況によるが、同時並行的に作業を進めても良いと考える。
関連資料 1. MSC/Circ.809:Recommendation for canopied reversible liferafts, automatically self-righting liferafts and fast rescue boats,including testing, on Ro-Ro passenger ships
2. DE45/20/1:Specification of requirements for fast rescue boats by UK
3. DE45/20/2:Equipment for fast rescue boats by UK
4. DE45/20/3:Launching appliances for fast rescue boats by UK
5. DE45/20/5:Survey and testing of fast rescue boats by UK
6. DE45/20/6:Fast rescue boats as means of rescue by UK
7. DE45/20/7:Ro-Ro passenger ship operators concerns at hazardous occurrences with fast rescue boats
8. MSC/Circ.1016:Application of SOLAS regulation III/26 concerning fast rescue boats and means of rescue systems in Ro-Ro passenger ships
9. DE45/INF.6:Report of United Kingdom Fast Rescue Boats Working Group
関連国際規格として提案すべき項目と恩恵:

その他意見:

備考:

 
高速救助艇関連DE45提案文書概要
 
DE45/20/1(UK)
 高速救助艇は、もともと北海油田のスタンバイ用として開発されたもので、乾舷の高いRORO旅客船にそのまま使用することには無理がある。
 現在の救助艇の要件は救命艇の要件の一部を引用されているが、それらは2度の改正を経て、わかりにくくなっている。そのため、高速救助艇の設計、製造、試験及び整備を含んだ単一の要件規格があれば分かりやすい。
 
要件の追加提案
1.足固定ベルトの取り付け。
2.エンジンキルスイッチの強制について検討する。
3.エンジンは救命艇の要件から、5分間の無冷却水試験が要求されているが、高速救助艇のエンジンはハイパワーのため、この要件にそぐわない。
4.ボートと進水装置のインターフェース(離脱フック等)を再検討する必要あり。
 
DE45/20/2(UK)
 高速救助艇の備品としてヘルメット内蔵式の無線装置及び火工品が必要との提案。
 
DE45/20β(UK)
進水装置の問題点:
 従来の救命艇、救助艇、いかだ用進水装置の要件を満足しながら、荒天時進水、回収要件を満たすのは困難である。波補正装置やたるみ防止装置を装備しながら、従来の進水装置の要件を満たすのは技術的に困難である。
 進水装置の要件を見直すと共に、高速救助艇用進水装置としての単一規則が必要(試験方法も含み)。
 
DE45/20/5(UK)
 荒天時進水・回収試験の方法が明確でないので、英国は安全に実施できる手順及び内容を提案している。
 
DE45/20/6(UK)
 高速救助艇はMean of Rescue(遭難者揚収装置)の代わりに使用することができ、以下の理由からその方が合理的である。MSC/Circ.810を改正して、救助艇に代えても良いとする。
1.人員の移動が最小限ですむ。
2.波補正装置等のため、回収時の動きがスムーズで負傷者等の回収に適する。
(遭難者揚収装置には、そのような機能は要求されていない)
 
DE45/20/7(ICS)
 現在船に高速救助艇をレトロフィットした時に、多くのニアミスや事故が報告されている。
 高速救助艇(FRB)はもともと、専用操縦者用に使用されたもので、普通の船員にそれらの操作をさせるとことには無理がある。船員は、FRBに慣れていないため訓練をいやがる。また、専門のクルーを訓練して準備する場合、1隻に6名程度必要になる。
 外洋船のクルーはFRBの実際の使用に自信がなく、内海のクルーは、FRBが本当に必要だとは思えない。そのための費用や訓練に費やすものに見合っていないと感じている。
 STWにおける審議では、FRBシステムの複雑性が問題であり、操作等がもっと簡単な統一されたものであれば、一度訓練すれば、他の船舶でも共通に使用できる等の方向性が示されている。
 現在の要件は、現実的ではなく過大な要求という認識。→将来の新技術に期待するとしても、性能要件について、実行可能な範囲まで緩和する方向で見直しすべき。







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