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大東
背景
 大東造船は造船専業の未公開会社である。大東はタンカーとコンテナ船に特化しており、1996年76にオープンした鎮海造船所は3万DWTから8万DWTの中型船舶建造に特化した韓国唯一の造船所であるといわれている。
 
 1996年、大東の主要株主で株式を公開している小型会社である世洋船舶は9月に大東を買収したものの、その後間もなく資金難に陥った。周知のことであるが、世洋船舶は家族関係を通じて韓宝グループに属していた。韓宝グループは韓国有数の鉄鋼会社を中心とした財閥であったが、1997年1月に倒産した。世洋船舶も韓宝グループとの関係の影響を受け、同じく倒産した。
 
 鎮海造船所への巨額な投資による過剰な金融費用を負担する一方で、資金を調達できず、大東は1997年1月31日を支払期限とする手形を支払うことができなかった。そのような状況の下、大東は1997年2月10日に会社清算手続を申請し、暫定的な裁判所の保護を認められた。
 
 1997年2月から10月にかけ、大東は裁判所が任命した管財人の指示に基づいて操業を続けた。管財人は合意された期間を通じて大東が債権者に返済を行い、造船所が創業を続けられることを目的とした再編計画をまとめた。裁判所は1997年10月31日に清算手続の開始を認める決定を行った。債権者集会は1997年12月17日に初回が行われ、大東は1998年2月20日に会社精算計画を提出した。77
 
 同社の主要債権者―取引銀行―は1998年8月に債務繰延を最終的に承認した。
 
清算計画
 大東の清算計画に基づき、債権者は総合的返済計画に同意した。主な債務再編計画の大枠は以下のようなものである。
 
救済申請の日から4年間を支払い猶予期間とし、14年間にわたって整理後の有担保借入の元本を返済する債務繰延(返済の初年度は2003年、満期は2012年)
14年間で分割返済される整理後の有担保借入の未払い利息と延滞料の繰延
一定種類の債務の金利免除
 
 その結果、調査期間中の便益は免除された未払い利息、免除された延滞料、及び繰延された債務の累積利息が含まれている。得られたデータに基づくと、主要債権者が同意した清算計画を通じて大東に与えられた便益総額は1997年から2000年までの調査期間中で634億ウォン(4830万米ドル78)であると推定される。

76 1993年1月に着工、1996年7月に完成。
77 清算計画の最終版は1998年8月20日付である。
78 20001年3月26日現在の為替レート1米ドル=1310ウォンに基づく。







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