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8.2.2 フェーズB:船の購入
 適切な船舶の購入に、ODA融資を申請する
 国有企業であるTMN社は、以下のような状況で適切な船舶を購入する際、ODA融資を受けることができる。
1. 日本製のRO−RO船を輸入するために、RO−RO船を使った沿岸輸送サービスの導入を提案する。
2. 日本国内の価格要因やファイナンスの仕組みなどプロジェクトが遭遇する可能性のある問題点について精査する。
3. RO−RO船の建造は、いくつかのフェーズを経て長期にわたって行われるが、その間に船舶価格が上昇する可能性があるので、それを加味して提案する。
4. RO−RO船を日本から調達することを条件とした、タイドローンとしてこのプロジェクトを分類する。
5. 信用状の入れ替えあるいは還付のいずれかによって、貸付金の払出しを行う。
6. ローンの種類に従って覚書を取り交わす。以下の事柄を含むブロジェクトローン用の基本フォーマットがある。
6.1 貸付限度額、貸し手及び借り手の借入れの身元
6.2 金利、返済期間、据置期間、及び支払い期間を含むローンの基本的条件
6.3 融資の使用方法と目的
6.4 融資借受けと金利に対する税金控除
6.5 融資借受けに際しての政府からの保証(中央銀行、あるいは他の政府関係機関による)
6.6 規定の施設の支給
6.7 貨物の輸送
6.8 融資の適切な使用
6.9 相談
 
 RO−RO船を導入するためのプロジェクトコストには、表40に示したように、船舶価格とオペレーションコストが含まれる。
 
RO−RO船の大きさ 船舶
の数
経費
(円/船)
トータル
コスト(円)
正味資産/
純資産20%(円)
ローン/
ローン合計85%(円)
運転資金
(バーツ/年/船)
新造小型船
(1,000DWT)
1 1,200,000,000 1,200,000,000 240,000,000/
240,000,000
960,000,000/
960,000,000
9,980,000
新造中型船
(2,OOODWT)
14 1,600,000,000 22,400,000,000 320,000,000/
4,480,000,000
1,280,000,000/
17,920,000,000
14,960,000
新造大型船
(4,000DWT数)
6 2,400,000,000 14,400,000,000 480,000,000/
2,880,000,000
1,720,000,000/
11,520,000,000
23,820,000
 
 新造船の価格が変更した場合の資本費用予測は、上記の提案に従って適宜調整する。従って、運賃収入、変動費、固定費、償却前純利益及び1年目の支払利息の予測は表41の通りである。
 
航路 大きさ 貨物輸送収入 変動費 固定費 純益
1 小型 55,221 24,206 8,966 19,049
3 大型 126,926 66,896 20,554 39,481
4 中型 83,702 43,812 13,648 26,206
4 大型 112,239 54,885 18,645 38,709
5 中型 75,494 37,103 12,617 25,774
5 大型 118,098 55,674 19,406 39,017
 
 ここでは全てケースについて、25年間のネット・キャッシュ・フローのIRR(内部収益率)として10%、25年間の償却前純利益のIRRとして2.62%を適用している。従って、異なる大きさ及び航路を運航する船舶の償却前純利益、支払利息及び所得税は、ほぼ同じとなる。
 
 ODAのローンの獲得プロセスとタイにおけるRO−RO船運航サーピスの導入の成功には、次の政府機関が関連している。
 
目標
 運輸通信省は、陸上、水上、および航空輸送を網羅した政策や計画の策定、実施を任務とする機関である。同省の目標は、環境に対する影響を考慮しながら、快適かつ高速で安全な輸送システムを構築することである。さらに、効率的な輸送システムを開発することにより、同省は生活の質の向上に貢献するとともに、タイ国の経済及び社会開発を促進し、タイ国が域内の運輸のハブになる計画を支援し、世界市場におけるタイの競争力拡大に貢献することである。
 
船舶輸送に関する計画及びプロジェクト
輸送計画
 運輸通信省では国家経済社会開発計画の輸送に関する条項を実現させる責務も担っている。第8次計画では、政府および民間部門と協力し、水上輸送能力を最大限まで伸ばすことである。第9次計画では、タイのインフラストラクチャーを国際的水準まで引き上げ、同国の生産性及びサービス効率を向上させることである。
 
重要なプロジェクト
 運輸通信省では、タイの今後の海運業界の発展に重要な数多くのプロジェクトを請け負っている。
・レムチャバン港プロジェクト
・バンコク港の管理及びサービス効率の向上
・ソンクラーおよびプーケットの深水港の拡張
・観光用沿岸港の開発
・南部タイにおける深水港建設の可能性調査
・海運基金の設立
・タイ海運業の促進、発展に向けての研究
 
 最近実施された機構改革で、元の港湾局(Harbour Department)と海事産業振興委員会事務局(Office of the Maritime Promotion Commission〉が合併した。この2つの部門は、現在は、海事局(Marine Department)となった。
 
旧港湾局
目標
 港湾局は、水上輸送の振興、支援、促進、提供に重点をおいてきた。また、捜索および救出義務を含め、海上輸送の安全や快適性、そして高速輸送を実現するための、管理・点検業務も担当した。また港湾局は、世界規格に準じた水環境保護、及び船員の確保にも力をいれた。
 
義務および責務
 港湾局の義務と責務は、海運および輸送、航海チャネルの浚渫、所有権の宣言、船舶登録、船員の試験および養育、パイロットサービスの提供、荷積み線の確定と検査である。港湾局は、さらに、罪状および法律についての調査、データ調査、船舶、海運、水上貨物、水上旅客についての統計の収集、法律や規制の改正や改定も行う。
 
旧海事産業振興委員会事務局
目標
 タイ国が域内の玄関口となり、永久的に経済の発展を支えることができるよう、同国の海運業の効率を高め競争力を強化する。
 
責務
 かつての海事産業振興委員会事務局の責務は、プロジェクトや計画の調査、研究、分析を行い、海事関連の活動に関する施策を策定すること。
 
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