日本財団 図書館


中東地域造船需要動向調査
(オマーン、トルコ、シリア、レバノン、ヨルダン)
1. オマーン
1−1 概要
1−1−1 一般事情
(1)面積:31万km2
(2)人口:233万人
(3)首都:マスカット(62万人)
(4)言語:アラビア語
(5)宗教:イスラム教
 
1−1−2 政治体制
(1)政体:君主制
(2)元首:カブース・ビン・サイード国王
(3)議会:91年に諮問議会、97年に国家評議会が設置された
(4)政府:国王が首相、外相、蔵相、国防相を兼任
(5)内政:
・1970年の宮廷革命により即位した現カブース国王が前国王の進めていた鎖国政策の転換を図り、71年に国連加盟、石油収入を基盤とした経済建設、かつての反体制派からの人材登用による国内融和を推進。
・国王は絶対君主制を維持しつつも諮問議会設置などにより民心の掌握に努め、政権の基盤は安定。
・96年、憲法に相当する国家基本法が制定された。
(6)外交政策:
・非同盟中立、善隣外交を標榜
・現国王即位以後、積極的に諸外国との間に国交を開いて友好関係の促進を図りGCC(湾岸協力会議)諸国との協力を軸に、先進諸国との関係強化にも努めている。
・中東和平問題については、湾岸諸国中初めて中東和平多国間協議の1つである水資源作業部会をホストし、「中東淡水化協力センター」を誘致するなど積極的に貢献しており、イスラエルとも通商関係を有している。
・政府は米国の対イラク攻撃に強く反対していたが、国連安保理が武力行使を認めた場合は米軍によるオマーン国内の軍事基地の使用の可能性を保持している。
 
1−1−3 経済
 オマーン政府はインフラ整備、産業の多角化、農業・漁業及び中小企業の振興に努め、2001年から開始された第6次5カ年計画においては、財政均衡、人的資源開発(教育・訓練)、民間部門の育成、雇用創造等を目標としている。依然として、石油依存の経済構造にあるが、将来の主要外貨収入源として天然ガスに期待が寄せられており、また、製造業の拡充をはじめとする非石油産業の発展を目指している。
 
主要経済指標(E.I.U.2002年見通し)
(1)GDP:201億5,600万米ドル(石油・ガスが全体の約50%を占める1
(2)実質GDP成長率:2.2%
(3)物価上昇率:−0.55%
(4)失業率:未公表
(5)国際収支:
・輸出総額(商品):107億700万米ドル
・輸入総額(商品):55億2,400万米ドル
・経常収支:19億8,800万米ドル
(6)主要貿易品目(E.I.U、2001年)
・輸出:石油(69%)、LNG(11%)、ライム、小麦粉、デーツ
・輸入:輸送設備(23%)、機械機器、食料品
(7)主要貿易相手国(E.I.U、2001年)
・輸出:中国.(22.3%)、日本(18.7%)、韓国(17.6%〉、タイ(9.6%)、アラブ首長国連合(7.6%)
・輸入:アラブ首長国連合(28.4%)、日本(15.1%)、英国(8.2%)、米国(5.8%)、サウジアラビア(3.8%)
(8)外貨準備高:33億6,500万米ドル(金を除く)
(9)対外債務:56億6,400万米ドル
(10)債務返済比率:8.8%
(11)通貨:オマーン・リアル(RO)、1米ドル=0.385RO
 
 石油部門は技術的問題により2003年は2002年に引き続き原油減産2が予想され、減収そして経済成長の鈍化が見込まれている。政府はこのため、ガスをベースとした産業、およびLNGの生産拡大を中心に、経済開発プログラムを引き続き推進する見通しで、LNG用新タンカー(最高4隻)購入のため企業への入札を実施した。
 
日本との経済関係
(1)対日貿易(1999年)
対日輸出:1,928億円
対日輸入:762.4億円
(2)主要品目
対日輸出:原油、インゲン豆
対日輸入:自動車、家庭用電気器具
 
 日本にとってオマーンは第6位の原油供給国であり(99年のシェアは6.4%)、ホルムズ海峡を経由せずに輸入出来るメリットがある。
 
(3)日本からの直接投資
総額20億円(3件)
 
エネルギー関連
(1)石油関係
・オマーンの石油開発は、オマーン石油開発公社(PDO=Petroleum Development Oman:政府60%、シェル34%、CFP4%、PARTEX2%)が中心となって実施。日本企業はJAPEXが探鉱・開発活動を行っていたが、2002年夏に撤退。現在は三井物産と三井石油開発の合弁会社が当国原油生産鉱区権益をオキシデンタル社と共有していたフォータム社(フィンランド)の権益を買収し原油生産(約45,000BD、同社権益35%)を行っていたところ、2002年10月に2つ目のブロックとなるオキシデンタル社未探鉱ブロック(推定埋蔵量5千万バレル)の35%を取得し、現在F/S調査を実施している。
・オマーンの確認埋蔵量は、約52.8億バレルと推定されでおり、可採年数は20年程度と見られている。なお、油井数は2,525基(2000年)である。
 
・オマーンの原油生産及び輸出量
2000年 生産量 95.5万バレル/日 輸出量 3.27億バレル/年
2001年 生産量 95.6万バレル/日 輸出量 3.32億バレル/年
・なお、2002年8月末生産高は2.45億バレル(昨年同期2.24億バレル)であり、油田の老朽化等により最近の石油生産量は伸び悩んでいる。これに関連し、オマーン政府は2002年から3ヵ年間の老朽化設備更新計画を実施中である。
(2)天然ガス関係
・生産・販売は、石油同様PDOが統括している。国内用途は、発電、淡水化プラント、銅精錬所等の産業用が中心であり、最近は工業団地が建設されているソハール(北部)とサラーラ(南部)にそれぞれ2本のパイプラインが開通した。
・LNG輸出については、オマーンLNG社(政府51%、シェル34%、トタール6%、PARTEX2%、三菱商事3%、三井物産3%、伊藤忠商事1%)が担当し、総額60億米ドルの生産輸出を計画している。
・LNG輸出拡大及びガス関連産業拡張計画の一環として第3基地の建設を予定(2006年)、380万トン/年の増産を見込んでおり、投資総額は6億米ドルと見られている。
・更に政府は、2001年後半、グリーンフィールド社(商船三井、印SCI社も資本参加)へ40%出資し、LNG船を所有し、LNGのスポット取引に使用している。また、2002年初めにプレスティージ社(政府75%、商船三井20%、三井物産5%)を設立し、LNG船(14.5万トン)を建造中(川崎造船:2004年就航予定)であるほか、第3基地輸出用として新たに4隻のLNG船購入を計画しており、2002年12月2日に入札が行われた。(我が国からは三菱重工業・川崎造船コンソーシアムが参画している。)
・オマーン天然ガスの生産量及び確認埋蔵量
生産量(2001年) 6.308億cf.(Cubic Feet)
確認埋蔵量 24.4兆cf.(6.900億m3)(世界生産量の0.6%:2002年時点)
 

1
2001年の数字
2
2002年10月の日産量は87万バレルで2001年の95.5万バレルを9%下回っている。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION