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1−2 海事事情
1−2−1 港湾
 オマーンの主要港はMina Sultan Qaboos、Mina Fahel、Mina Qalhat、Mina Salalahの現在4港である。更に、首都マスカットの北西約200kmに位置するSohar市に大規模な新港を建設中であり、2004年の完成を待っている。また、首都マスカットの南約400kmに位置するMasirah島は人口約2万人(内オマーン人約7,000人、他は大半がインド人)を有し、オマーン国唯一のフェリー航路(Shenna〜Masirah)を持つ。
 
Mina Sultan Qaboos(スルタン・カブース港)
 同港は首都圏に位置し、商業港としての役割を果たしている。
 
港内パイロットのためのタグボート
 
対テロ特措法に基づきインド洋において活動中の我が国イージス艦、この日(2003.2.3)はスルタン・カブース港に休暇寄港中
 
Mina Fahel(ファヘル港)
 MinaFahelは、原油、石油製品の輸出専門港である。同港もオマーンの主要石油会社であるPDO(Petroleum Development Oman)の本社に近い首都圏に位置する。
 
Mina Qalhat(カルハット港)
 同港は首都マスカットの南スール市近郊に位置する港で、LNG専門の貿易港である。
 
<スールのLNGプラント>
 
Mina Salalah(サラーラ港)
 Mina Salalahはオマーンのショーウィンド的な港である。同港ではトランシップ・センターが1998年11月にオープンした。米・デンマークのコングロマリットSea-Land/Maersk社、およびオマーン政府、同国民間企業が出資するSalalah Port Services company(SPS)が、オマーンの港湾開発及び管理を行っている。同港では、近代的コンテナ船に対処するため浚渫工事が実施された。現在4つのコンテナバース(埠頭)が操業中で、SPSは今後更に2バースの建設を予定している。同港コンテナ取扱量は徐々に増えており、初年度の1999年は65万20−fTEUs3から2000年は100万20−fTEUsに、2001年は120万20−fTEUsに達する見通しである。
 Sea-Land/Maersk社は、港での積荷作業のほか、コンテナの中継港としての発展の可能性を探る一方、乾ドック建設のためドゥバイ(アラブ首長国連邦)の企業と交渉を進めている。
 
 政府は、Salalahに自由貿易地帯(Free trade zone:FTZ)を創設する計画で2000年にSPSおよび米Hillwood DevelopmentとFTZの市場化並びに管理に関する協定に調印した。2001年、政府は30年間の免税措置等を含むFTZ創設のためのコンソーシアムによるビジネス計画を承認、しかしその後、米Hillwood Developmentは同計画より撤退している。Salalah FTZが成功するためには、手続きが容易な近隣のドゥバイFTZに比較して、よりアトラクティブなインセンティブを投資家に提供する必要があろう。
 
Sohar新港の建設
 首都マスカットの北西約200kmに位置するSohar市で新港の建設工事が1999年後半より開始、総工費は2億5,000万米ドルで2003年6月に第一期工事が、2004年8月に第2期工事が完了予定である。設計は英国コンサルタント会社Halcrowが行い、浚渫工事は韓国大宇が、防波堤工事はトルコSTFA社がそれぞれ落札した。発電及び淡水化プラント、アルミ製錬、肥料工場、原油精製、同地の工業地帯で操業する企業を対象に建設される同港は、水深16メートルまで浚渫工事が行われ、完成時には全長1,700メートルの岸壁、6kmの防波堤を備えることになる。これにより、最大80,000DWTのパナマックス・コンテナが入港可能となる。
 オマーン政府は2002年3月Sohar Industrial Port Company(SIPC)創設のため、ロッテルダム産業港と覚書に調印し、このSIPC(50%オマーン政府出資、50%ロッテルダム産業港出資)が新港の管理にあたる。オマーン政府はSIPCに対し、50%の出資はするも新港管理は殆どSIPCに委ねるとのこと。
 
 このほかKhasab港もイランとの貿易及び巡航船の寄港を促進するため拡張工事が行われており、2004年11月に完成する予定である。
 
<Sohar新港完成予想図>
 
<Sohar新港空撮>
 
<完成時に全長6kmとなる防波堤>
 
<完成時に全長1,700mとなる岸壁>
 

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TEU(Twenty Foot Equivalent Units):20ftコンテナ換算のコンテナ取扱個数の単位







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