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環境保護
・ 地球温暖化の研究継続を支持し、この問題に対処するために市場メカニズムやインセンティブを使用するコスト効率のよい方法を特定する。
・ 公共交通用バス用燃料電池発電所の可能性を実証する運輸省のプログラムに出資する。
・ 先進バス推進技術の導入を加速するクリーン・バス・プログラムに出資する。
・ 削減目標の達成を助けるために、排出権取引クレジットの利用を含め、発電所からの亜硫酸ガス、窒素酸化物、水銀の排出量を大幅に削減する柔軟な、市場ベースのプログラムを制定する。
 
エネルギー安全保障
・ 戦略的石油備蓄を価格調整のためではなく、石油供給の乱れ(切迫した場合、実際に発生した場合)に対処するために使用する。
・ 200万バレルの北東部燃料油備蓄を維持するために800万ドルを配算する。
・ 主要石油消費国に、供給の乱れがあった場合に備えて戦略的備蓄を確立するように奨励する。
・ 余剰の戦略的石油備蓄施設を、現状では備蓄施設を建造しなかったり、十分な戦略備蓄を行わない国にリースする。
 
国際協力
・ サウジアラビア、クエート、アルジェリア、カタール、アラブ首長国連邦を始めとする石油供給国の、自国のエネルギー部門分野を外国投資家に解放するイニシアティブを支援する。
・ カナダ、メキシコ、米国の間でより密接なエネルギー統合を進める
・ ベネズエラ及びブラジルと米国とのあいだのエネルギー投資の流れの成長を奨励する二国間投資協定を結ぶ。
・ アフリカの石油輸出国と、米国の石油及びガス投資をより受け入れやすい環境を促進するための二国間及び多国間協定を深める。
・ BTC20パイプライン経由でカザフスタン産石油を輸出するオプションを支援する。
 
・ トルコとグルジアが天然ガス供給源を多様化するのを助け、アゼルバイジャンのガス輸出を助ける手段として、Shah Denizガスパイプライン21開発を支援する。
・ ギリシャとトルコがガス・パイプライン・システムを連結するよう奨励し、ヨーロッパの消費者がカスピ海諸国産のガスを購入できるようにする。
・ エネルギー問題についてロシアとの対話を深め、米国エネルギー企業の対ロシア投資の拡大を支援する。
・ インドの石油・天然ガス省と協力して、インドが国内石油・ガス生産を最大限に拡大できるよう助ける。
・ 代替エネルギー及びエネルギー効率化技術に関する研究開発、特に運輸部門における石油に代るエネルギー源の開発で国際協力。
・ 年に一回、G-8諸国エネルギー相会議を開催することにより、エネルギー安全保障に対する協調的アプローチを促進する。
 
 51件の主要提案の約半数がエネルギー供給の拡大に向けられているのは注目に値する。省エネに関するものは約15%にすぎない。全米エネルギー政策が供給に焦点をあてているという批判は的を得ている。
 
米国エネルギー政策における アクション提案の内訳
  提案数 割合(%)
エネルギー供給増 24 47
省エネ 8 16
環境改善 4 8
エネルギー安全保障強化 4 8
国際協力 11 22
合計 51 100
出典:米国エネルギー政策作成グループ報告書
 
 しかし、ブッシュ大統領は新エネルギー計画は今後のエネルギー問題を解決するための正しい青写真だと信じている。大統領は当該計画発表の際のスピーチで次のように述べた。
 
 本エネルギー計画は現代の市場の力と新たなテクノロジーの可能牲を利用するものである。今日のエネルギー問題に目をむけ、明日のエネルギー機会を見出すものである。今日のエネルギー不足に対処し、明日のエネルギーを満たす道を示すものである。
 
 不幸なことに、党派間の争いにより新エネルギー政策の実施への焦点はぼやけてしまった。エネルギー政策報告書の発表直後に、ディンゲル下院議員とワックスマン下院議員が率いる民主党議員は、エネルギー政策の検討中に委員会に助言を行った者全員のリストを要求した。新エネルギー計画を作成中に委員会は、150社から400人とミーティングを実施している。そのなかには、2001年のエンロン関係者との会合も含まれていた。民主党は、委員会は個々の企業に恩恵を与えるアクションを安請け合いしているだけだと非難している。委員会にアドバイスを行った人物のリストを提出するかどうかは、連邦裁判所の判断に任されることになった。連邦裁判所は、大統領府が委員会ミーティングの記録を会計監査局に提出する義務があるかどうかについて、判断を下すよう求められている。そうしているうちにも、ミーティングと参加者の記録についての綱引きのおかげで、エネルギー政策を行動に移すはずみが失われた。
 

20
バクー・トビリシ・ジェイハン(Baku-Tiblisi-Ceyhan)パイプライン。アゼルバイジャンのバクーからグルジアのトビリシを経由しトルコ領地中海沿岸のジェイハンを結ぶ全長1700kmの原油パイプライン。ロシア領内を経ずに原油を直接、欧州に積み出せる。
21
アゼルバイジャンの天然ガスを、トルコ、グルジアを経由するパイプラインで欧州に積み出すプロジェクト。
注:
重要と考えられる提案のみ







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