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2-5 発電会社
 
 このカテゴリーは住宅、商業、工業ユーザーに電力を提供する会社である。大手5社について次に概説する。どの会社も、石油、天然ガス、または原子力を動力源とする発電所を保有、運営している。
 
エジソン社(Edison)
 エジソン・インターナショナル社は、発電、配電、エネルギー・プロジェクトに対する構造的融資を提供する国際的な企業である。同社の系列会社は、世界中で発電システムを開発、購入、融資、所有、運転、保守している。エジソン・グループは、世界9カ国、全米4地域で約28,000メガワットの発電能力を保有しており、総資産は369億ドルを上回る。2000年のカリフォルニア州エネルギー危機の結果、過去2年間紙面を賑わしている公共電力会社、南カリフォルニア・エジソン社(Southern California Edison Company)は同社の子会社である。南カリフォルニア・エジソン社はカリフォルニア州中央、沿岸、南部(ロサンゼルス市を始めとする一部の都市を除く)の5万平方マイル(13万km2)の地域に電力を供給している。2000年にガスのスポット価格が高騰したため、エジソン社は債権者から会社を守るために破産申請寸前まで追い込まれた。同社のマーケット・キャップは現在350億ドルである。エジソン社は本社をカリフォルニア州ローズミードに置く。
 
ドミニオン・リソーシズ社(Dominion Resources)
 ドミニオン社は、主に電力を生産し、米国中西部、北東部、大西洋中部の卸売り、小売市場を対象とする完全統合電力、ガス会社に販売する電力・ガス持株会社から発展した。同社は原子力発電所を一基と天然ガス、石油探鉱・生産会社を保有している。2002年2月に、ドミニオン社はインディアナ州ハモンド近郊にある515メガワットの火力発電所を購入することに合意している。ドミニオン社は、電気及びガスサービスを統合する3つの主要事業ラインにそって事業を進めている。ドミニオン・エネジー部門は22,000メガワットの発電、7,600マイル(約12,200km)の送ガス・パイプライン、9,590億cf(271億5,000万m3)の天然ガス貯蔵ネットワークを管理している。ドミニオン・デリバリー部門は、約400万件を顧客とする地元の配電、配ガス・システムを運営している。ドミニオンE&P部門は、陸上、海洋のガス、石油の探鉱、開発、生産事業を担当しており、保有する天然ガス確認埋蔵量は4兆9,000億cf(1,388億m3)相当である。同部門はメキシコ湾の外洋大陸棚、大水深海域、カナダ西部、米国のアパラチア盆、ペルム盆、中部、その他の地域で事業を行っている。マーケット・キャップは現在138億ドル、2002年の資本支出予算は約30億ドルである。同社はバージニア州リッチモンドに本社を置く。
 
AESコポレーション(AES Corporation)
 同社は世界的な電力会社であり、総売上げの84%を占める最大の事業部門は、長期契約または、5年以上の初期使用権を保有する発電所からなる。AES社の発電資産には33カ国で59ギガワットの総発電能力を有する177の施設の所有権が含まれている。AESの送電ネットワークは727,000kmを超える送電線用地役権を保有し、1,600万件を超えるエンドユーザーに年間108,000ギガワット/時を販売している。同社は財政上大きな問題を抱えており、2年前には一株あたり75ドルであった株価が、現在3ドルまで暴落している。財政状態の悪化に対処するために、同社は「コスト節減部」を設け、2002年には総額約5,000万ドルのコスト節減を目標にしている。また、「ターン・アラウンド部」は営業成績のよくない事業を特定し、改善、売却、放棄するものである。同社はまた2002年に計画していた資本支出額12億ドルを約7億1,000万ドルに減額した。現在のマーケット・キャップは16億ドル。同社は本社をバージニア州アーリントンに置く。
 
エンタジー社(Entergy)
 同社は国内の電気・ガス事業、国内非ユーティリティ原子力、エネルギー商品サービスを手掛けている。2002年年頭に、同社の完全子会社である電気・ガス会社は、アラスカ州、ルイジアナ州、ミシシッピ州、テキサス州の一部で約260万件の顧客に電力小売サービスを提供している。さらに、同社はルイジアナ州バトンルージュ及びニューオリンズとその近郊で天然ガスサービスを行っている。同社の大口産業ユーザーは、ケミカル、石油精製、製紙産業である。国内電気・ガス部門が同社の売上げの約80%をしめている。エンタジー社は4基の原子力発電所を所有しており、他の電気・ガス会社が米国内に所有している原子力発電所の運転、管理サービスを提供している。同社はまた原子力発電所の退役事業も手掛けており、現在メイン・ヤンキー原子力発電所の退役のためのサービスを提供している。また2001年にはミルストーン第一号炉の退役サービスも行った。コッチ・インダストリーズ社との合弁事業で、エンタジー社は米国メキシコ湾岸沿いで、天然ガスを貯蔵、取引、配送している。また、同社は米国、ヨーロッパ、南米の電力開発プロジェクトにも関与している。2002年の資本支出予算は17億ドル、今後3年間の総資本支出予算は43億ドルである。同社のマーケット・キャップは現在89億ドル。同社はルイジアナ州ニューオリンズに本社を置く。
 
リライアント社(Reliant)
 同社は主に米国とオランダにおいて、電気及びエネルギーの卸売、小売を行っている。同社の事業戦略はコスト・べース規則の適用を受けない電力発電施設を買収、開発、運営し、市価で電力を販売するものである。リライアント社はまた、電力、天然ガス、その他のエネルギー商品の市場取引、マーケティングも行っている。2002年年頭に、同社は純発電能力あわせて14,585メガワットの発電施設を所有、またはリースしていた。そのうち米国が11,109メガワット、オランダが3,476メガワットであった。この部門の他社と同様に、ここ1年で同社の株は暴落した。2001年夏には1株当たり35ドルであったのが、現在3.5ドル水準となっている。2002年の資本支出予算は38億ドル、これにはオライオン電力の買収費用29億ドルが含まれている。マーケット・キャップは現在10億ドル。リライアント社の本社はテキサス州ヒューストンに置かれている。







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