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1 米国のエネルギー需給トレンド
 
 2001年の米国のエネルギー総生産量は72,500兆BTU(約18億2,700万石油換算トン)1であった。同年の米国のエネルギー総消費量は96,300兆BTU(約24億2,700万石油換算トン)であり、生産量を23,800兆BTU(約6億石油換算トン)上回っている。1973年のOPEC資源主権時代の幕開け以降、米国のエネルギー生産量が14%増加したのに対して、消費量は27%増加している。消費量の増加率が生産量の増加率を上回った結果、1973年に19%であったエネルギー生産と消費のギャップは2001年には33%に拡大した。さらに2002年上半期には35%まで拡大している。需給不均衡によるエネルギー不足のため、エネルギー輸入の需要がますます拡大する一方で、米国のエネルギー輸入依存体質が問題となっている。
 
米国のエネルギー需給トレンド
(拡大画面:28KB)
出典:米国エネルギー省
 
1-1 米国のエネルギー生産
 
 石炭は米国のエネルギー生産の主要源であり、2001年にはエネルギー総生産量の32.6%を占めた。第2位は天然ガスであり、2001年のエネルギー総生産量の27.5%を占めた。原油は第3位であり、16.9%、原子力が11.6%でこれに続く。
 
 過去30年間に米国のエネルギー生産源には大幅な変化が見られた。最大の変化は、石炭生産量が増加し、エネルギー源としての石炭の割合が拡大したことである。1973年から2001年のあいだに、石炭の生産量は14,000兆BTU(約3億5,300万石油換算トン)から23,600兆BTU(約5億9,500万石油換算トン)へと33%近く成長した。
 
2001年の米国エネルギー生産
(1000兆 BTU)
エネルギー源 生産量 割合(%)
石炭 23.629 32.6
天然ガス(ドライ) 19.920 27.5
原油 12.282 16.9
液化天然ガス製品 2.547 3.5
原子力 8.167 11.3
水力 2.154 3.0
木材、廃物、アルコール 3.342 4.6
地熱 0.312 0.4
太陽熱、風力 0.131 0.2
合計 72.484 100.0
出典: 米国エネルギー省
 
 同じ時期に、石炭を除く化石燃料の割合は減少している。天然ガス(ドライ)の生産量は1973年の22,200兆BTU(約5億5,900万石油換算トン)から2001年には19,900兆BTU(約5億100万石油換算トン)へと10%減少した。原油生産量はさらに大幅に減少し、1973年の19,500兆BTU(4億9,100万石油換算トン)から2001年の12,300兆BTU(約3億1,000万石油換算トン)へと37%減となった。その結果、天然ガスの総エネルギー生産量に占める割合は1973年の35%から2001年の27.5%へ、原油は31%から17%足らずへと落ち込んだ。
 非化石燃料によるエネルギー生産量は1973年以来、3倍近くに増加し、これらのエネルギー源が米国のエネルギー生産に占める割合は大幅に拡大している。1973年に原子力、水力、及び回復可能なエネルギー源は5,300兆BTU(約1億3,400万石油換算トン)を生産し、エネルギー生産量全体の8.3%を占めた。2001年にはこれらのエネルギー源は14,200兆BTU(約3億5,800万石油換算トン)を生産し、全体の19.5%を占めている。しかしながら、このデータの裏には、重要な展開が隠されている。1973年から2001年の期間の非化石燃料源からのエネルギー生産量の拡大の大部分は原子力発電の成長によるものである。原子力発電によるエネルギー生産量は、1973年の900兆BTU(約2,300万石油換算トン)から2001年には8,200兆BTU(約2億700万石油換算トン)と飛躍的な増加を遂げた。原子力発電量の増加の大部分は1990年以前のものであり、1979年にスリーマイル島の原発事故が発生する以前に発注された原子力発電所が完成し、生産を開始したことに起因する。米国では最近は、原子力発電所の新設は行われていない。米国では現在103ヵ所の商用原子力発電所が稼動しているが、そのうち最も新しいものは1996年に運転を開始したものであり、1990年代半ば以降、既存の発電所の運転効率を改善することにより原子力発電量は緩やかな成長を見せている。新たな原子力発電所の建設が認可されない限り、既存の発電所が引退するにしたがって、原子力発電が米国のエネルギー生産に占める割合は低下し始めるであろう。
 
米国エネルギー生産のエネルギー源別変化
  総生産量(BTUに占める割合(%)
エネルギー源 1973 2001 変化率
増加      
石炭 22 32.6 10.6
原子力1/ 1.4 11.3 9.9
木材、廃物、アルコール 2.4 4.6 2.2
地熱 2/ 0.4 4
太陽熱、風力 2/ 0.2 0.2
減少      
原油 30.7 16.9 -13.8
天然ガス(ドライ) 34.9 27.5 -7.4
水力発電 4.5 3 -1.5
液化天然ガス製品 4 3.5 -0.5
合計 100 100  
出典: 米国エネルギー省
 

1
発熱量換算は1BTU=2.52×10-8TOE(石油換算トン)として計算
注:
1/
原子力発電量は増加しているが、近年新たな発電所は建設されていない。
 
2/
0.1%未満







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