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Royal Caribbean
 
 Holland Americaと同様、Royal Caribbeanも、アクセシビリティに関する方針を確実に運用するために、正式な責任者を置いている。責任者の連絡先は次のとおりである。
 
Laura Amor
Access Specialist
Royal Caribbean Cruises Ltd.
1050 Caribbean Way
Miami, FL 33132 USA
電話番号:800−722−5472 内線34492
電子メール:lamor@rccl.com
 
 Royal Caribbeanは、2000年にAmor氏を雇った後2002年3月に、障害を持つ人々のアクセシビリティを高めるために同社の船舶を改造する目的で数百万ドル規模のプログラムを実施すると発表した。Amor氏は、「障害を持つ乗客それぞれに適した個別化サービスを提供することが目標であり、桟橋での手助け、早期乗船オリエンテーション、手話通訳者、特別食、船舶内医療サービスなどが計画されている。お客様がそれぞれのニーズに応じて最適な旅程、旅客船、寄港地観光を選択できるように、高度な教育訓練を受けた専門スタッフが手助けする。」と述べている。
 
 次の表は、現在Royal Caribbeanが障害を持つ乗客に提供している各種のサービスをまとめたものである。
 
障害 提供サービス
移動 ・早期乗船手続き
・リフト付きの特別バンを使用したクルーズへの移動
・乗船および下船の手助け
・スクーターの利用
・船舶内に油圧式リフトを装備したプールとジャグジーが各1
・バリアフリーテンダーシステム(2003年10月)
・カジノにバリアフリー対応のブラックジャックテーブルを装備
・バリアフリーのゲストリレーションズデスク
・バリアフリーのプールラウンジ
・バリアフリールートを示した船舶内案内図
視覚 ・点字および大きい文字のメニュー
・盲導犬の乗船が可能な木屑の入った4’×4’の木箱を提供
・点字または触知できる標識
・点字のエレベーターボタン/呼び出し音
・Royal Caribbeanのオンラインインターネットカフェでは音声認識ソフトウェアを使用可能
・点字および大きな文字の船舶内報
・点字の船舶内サービス案内
・早期乗船とオリエンテーションツアー
聴覚 ・要求すれば携帯用キットを利用可能TTY(文字電話)/TDD
(聴覚障害者用通信装置)、Alertmaster(聴覚障害者用信号装置)、ストロボ警報器など客室内のTTYとゲストリレーションズデスクのTTYを接続時の音によってAlertmasterのモニタが点灯している間、マットレスの下または枕の下のAlertmaster目覚ましバイブレーターが作動:ドアベル、電話呼び出し音、警報音およびその他の音
・客室および公共エリアで音声増幅式電話機を使用可能
・Voyagerクラスの旅客船のメインショーラウンジおよびRoyal Promenadeには赤外線システムを設置
・主なコミュニケーション手段としてアメリカ手話を使用しているすべての乗客に対し、要求により手話通訳を提供
・船舶内のすべての客室でクローズドキャプション対応テレビを利用可能
・Royal Caribbean International制作のビデオはすべてクローズドキャプション付き
その他 ・透析−持続的携帯型腹膜透析を必要とする乗客もRoyal Caribbean Internationalのすべての旅客船に乗船可能。ただし、Royal Caribbeanには人工透析治療の支援または提供能力はない。
・酸素−すべての種類の酸素を船舶内で使用可能
・妊娠−Royal Caribbeanは出発時または旅行中に妊娠第三期(27週)に入る乗客の乗船を認めない。
 
 Royal Caribbeanの旅客船はすべて、バリアフリー対応の客室を備えている。旧型の旅客船のバリアフリー客室は4室のみだが、新しい旅客船ではバリアフリー客室の数が増えている。たとえば、2001年に航行を開始したExplorer of the Seaは、各種(有窓、無窓、バルコニー付き、ミニスイート)のバリアフリー対応客室を26室装備している。これらのバリアフリー対応客室には、32〜34インチの幅のドア、傾斜路付きバスルーム、ロールインシャワー、手すり、昇降便座、高さの低い洗面所と化粧台が装備され、その寝室部分、バスルーム、居間部分に5フィートの車椅子回転スペースが設けられている。
 
Princess Cruises
 
 Princessは、旅客船のアクセシビリティの監視および拡大を職務とするバリアフリー管理者を初めて雇用したクルーズ会社である。管理者の連絡先は次のとおりである。
 
Janice Tuck
Access Specialist
Princess Cruises
24844 Avenue Rockefeller
Santa Clarita, CA 91355
電話番号:1−800−PRINCESS、内線32749
 
 Princessは、1984年からバリアフリー対応客室を備えていたが、アクセシビリティに関する基準と方法を向上するためのプログラム(Love Boat Access)を正式に確立したのは1992年であった。
 
 現在、同社で最もバリアフリー化が進んだ船舶は1998年建造のGrand Princessであるが、この船舶は、有窓、無窓、バルコニー付き、ミニスイートなど、各種のバリアフリー対応客室を28室装備している(同社によると、現在設計中または建造中の新しい旅客船が航行するようになる2004年末には、同社の旅客船のバリアフリー客室数は154室増えるとのことである)。バリアフリー対応の客室は、車椅子で利用できるように設計されており、客室やバスルームへの出入口の幅が広く、車椅子で入れるシャワー、ハンドヘルド式シャワーヘッド、バスルームの非常アラームが装備されている。また、クローゼットのレールや洗面台、手すりが手の届くように低い位置に設置され、車椅子で楽に移動できるように敷居はすべて取り外せるか傾斜路になっている。その他にも、要求すれば、昇降便座、シャワースツール、ベッドボード、さらに聴覚障害者用オールインワンキット(TDD文字電話、可視安全/煙警報器、ドアノックセンサー、枕の下のセンサー、その他の補助具が入っている)なども利用できる。
 
 
 PrincessのWebサイトでは、特別なソフトウェアプラグインを使用することによって、Grand Princessのバリアフリー対応客室を様々な角度から見ることができる(http://www.princess.com/onboard/answer/access.html)。
 
D. 小型旅客船
 
 Passenger Vessel Association (PVA)のEd Welch氏は、PVAのメンバー(小型クルーズ船、ディナー/観光/遊覧船、鯨観察/エコツアー船、ギャンブル船、フェリーなどの事業者)は、公共性のある施設としてADAの対象であり、障害を持つ顧客のニーズに対応する義務があると述べている。したがって、PVAの代表者はPVAACに参加している。
 
 Welch氏によると、PVAACは大型旅客船よりも小型旅客船の方がバリアフリー化を進めやすいと考えているという。さらに、PVAACに参加しているPVAの代表者は、バリアフリー化を進める手法のなかには、船舶に適用すると、不適切であったり危険を伴うものもあると主張している。たとえば、船舶のバリアフリー化を妨げるもののなかには、沿岸警備隊によって義務づけられた安全機能もある。そのため、PVAの代表者は、多様な種類、規模、機能、運航区域の旅客船すべてに1種類のガイドラインを適用するのは不可能であり望ましくないと考えている。
 
 その結果、小型旅客船独自の限定されたガイドライン勧告を策定するためにPVAACに特別な「CおよびT小委員会」が組織された。
 
 Welch氏によると、PVAはまだメンバーの調査を実施しておらず、アクセス委員会が保留中の勧告(PVAACの『旅客船アクセシビリティガイドラインについての勧告:最終報告書』)に対する現在の対応状況を判断することはできないが、PVAは新しい船舶を設計するときには、設計者や建造者はこの勧告を十分に考慮しなければならないとメンバーに提案しているという。「メンバーと造船技術者には、船舶を設計する際にこれらの基準を考慮するように提案している。これらの基準が採択される保証はないが、これらの大部分は妥当な内容である。また、基準に従うことは、法を遵守する誠意を示すことにもなる。」と同氏は述べている。







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