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【5】投資
 外国投資を88年から導入し始め、94年以降は韓国や日本から製造業部門で多くの案件が認可された。しかし、その後は投資環境の未整備等のため鈍化し、97年は対前年比44.0%減、98年14.0%減、99年は60.0%減と3年連続で減少した(図3)。2000年は英国企業の大型天然ガスプロジェクトにより26.0%増と増加に転じている。なお、政府は二重価格の廃止・撤廃(99年7月)、外貨バランス義務の撤廃や許認可を必要としない事業登録制の導入(2000年7月)など投資環境改善に取組んでいる。
 ベトナム計画投資省によると、2001年の登録外国投資総額は30億1,600万USドルに達し、2000年の21億USドルから25.8%の増加となった。このうち新規に投資許可書が発給された外国直接投資プロジェクトは460件、投資総額は24億3,600万USドル、増資が行われたプロジェクトは210件、増資総額は5億8,000万USドルとなっている。実際に投下された外国投資総額は前年比3.0%増の23億USドルだった。
 分野別には、工業・建設分野への投資プロジェクト373件に投資許可書が発給され、登録投資額は20億6,600万USドルと、全体の84.8%を占めた。前年と比較すると、工業分野への投資件数は30.0%の増加となった。投資額の大きかった分野は電力開発(9億3,600万USドル)、繊維・衣料(8,750万USドル)、炭鉱(4,300万USドル)など。農林水産分野では20件のプロジェクトに投資許可書が発給され、登録投資額は2,526万USドル、投資額全体の1.0%を占めた。サービス分野では37件のプロジェクトに投資許可書が発給され、登録投資額は3億4,500万USドル、全体の14.0%を占めた。
 一方、88年から2001年までの累計数値で見ると、累計投資許可額は376億USドルとなり、地域別には北部が116億USドル(31.0%)、中部が45億USドル(11.0%)、南部が215億USドル(57.0%)となっている。投資国別の特徴を見ると、表1のごとく、日本は認可べースで第3位、実行べースでは第1位で、業種内訳は製造業が5割、不動産が2割、運輸通信が1割となっている。シンガポールや香港からの投資はホテル、アパート、オフィスなど不動産が中心で、台湾は食品加工、縫製、履物生産など軽工業が多く、中国(香港からの迂回投資も多い)は日用品製造、バイク部品、家電組立などが中心となっている。業種別の外国投資累計額を表2に示す。
 
表1 国・地域別の外国投資累計額
(単位:100万USドル、%)
投資国  累計(88年〜2001年)  
許可額 実行額 実行率
シンガポール 6,879 1,951 28.3
台湾 4,888 2,493 51.0
日本 4,063 3,029 74.5
韓国 3,242 2,005 61.8
香港 2,824 1,537 54.4
米国 1,072 485 45.2
中国 245 77 31.4
合計(その他含む) 37,603.7 18,632 49.5
(出所) ジェトロ・ハノイ事務所。
 
表2 業種別の外国投資累計額
(単位:100万USドル、%)
投資業種  累計(88年〜2001年12月20日)  
許可額 実行額 実行率
工業・建設業 20,565 11,725 57.0
オイル・ガス 3,176 2,839 89.3
建設業 3,168 1,767 55.7
農業・林業 1,977 1,034 52.3
水産業 173 99 57.2
サービス業 14,165.7 5,588 39.4
銀行・金融 553.2 503.4 90.9
健康・教育 560.5 159 28.3
オフィス・アパート 3,694 1,629 44.0
新都市建設 2,467 0.4 0.01
IPZ/EPZ建設 795 472 59.3
輸送・通信 2,785 916 32.8
ホテル・旅行 3,311 1,908 57.6
その他 723 186 25.7
合計 37,603.7 18,632 49.5
(出所) Vietnam Economic Times, January 2002。
 
図3 外国直接投資(FDI)の推移
(出所) ジェトロ・ハノイ事務所。
 
図4 日本からの直接投資の推移
(出所) ジェトロ・ハノイ事務所。







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