日本財団 図書館


【6】日本との関係
(1)日本との貿易
 ベトナムにとって日本は最大の輸出相手国で、シンガポールに次ぐ第2の輸入相手国である。日本は原油、石炭、エビを買って、工業製品を売っており、日本側の大幅な入超となっている。日本企業のアジア投資が進んでいるので、日本からの消費財輸出は増えないと予想される。表3に日本との貿易推移を示す。
 
表3 日本との貿易推移(通関ベース)
(単位:億USドル)
日本の輸出(A) 日本の輸入(B) 収支(A−B) 
1995年 9.2 17.2 −8.0
1996年 11.4 20.2 −8.8
1997年 12.8 22.0 −9.2
1998年 13.3 17.4 −4.1
1999年 16.3 19.6 −3.3
2000年 19.8 26.5 −6.7
 
(2)日本の主要輸出入品目
日本の主要輸出品目 工業用機械(ガスタービン、製紙など)、建設機械、繊維製品、肥料
日本の主要輸入品目 衣類、原油、エビ、カニ、タコ、冷凍魚介類、木製家具、コーヒー、履物
 
(3)対日貿易上の特徴及び問題点
ライセンス取得義務による貿易業務参入制限、
クオータ(輸入割当制)による輸入数量規制、
LC(信用状)発行規制による消費財輸入規制、
設備・パーツ類の輸入に際して煩雑なぺ一パーワークを要すマスターリスト(輸入予定機材の関税、付加価値税免除の特典を受けるために、既定の申請書に機材のリスト、価格、説明等を記入し、またパンフレット/写真、工場内での設置図面、フローチャート等を添付)提出義務など
 
(4)日系企業進出状況
進出企業名 三菱自動車、ソニー、トヨタ、ホンダ、富士通、花王、ワコールなど
商工会議所会員 ベトナム日本商工会(ハノイ)115社(2000.4)、ホーチミン市 日本商工会会員数214社(2000.4)
在留邦人 2,585人(99年10月時点、外務省調べ)
 
(5)投資(進出)に関連した特長、問題点
(1)現地部品調達の困難さ、
(2)土地、税務、送金、輸入などの煩雑な行政手続、
(3)インフラの未整備、
(4)外資関連法の改変、運用幅大
 
(6)政府ベース資金・技術協力
 1992年に対越ODAが再開されて以来、人造り、インフラ整備、農業、教育、保健、環境を重点分野とした経済協力を推進しており、対越ODA実績額は表4のごとく着実に増加している。
 
表4 政府ベース資金・技術協力
(単位:億円)
年度 有償協力 無償協力 技術協力
1996年 810 80 34
1997年 850 73 42
1998年 880 82 46
1999年 1,013 51 27
(出所) 外務省
 
 DAC諸国、国際機関のODA実績(1998年純支出ベース)
二国間計 7億1,260万ドル
国際機関計 4億5,190万ドル
総計 11億6,450万ドル
 
【7】投資環境
(1)投資促進機関
投資促進を行う機関 ベトナム商工会議所日本代表事務所:東京都港区赤坂6−4−20/ベトナム商業省管轄日越貿易投資推進局日本支部(BTD JAPAN):東京都中央区日本橋茅場町1−6−12共同ビル6F
 
(2)外資に関する規制
規制業種・禁止業種 プロジェクトによって、【1】合弁または事業協力契約に限られる、【2】輸出比率を求められる、【3】国内原材料の開発が求められるなど条件が付与される。禁止業種として、4分野が定められている。
出資比率 原則上限なし。最低出資比率は30%(政府承認があれば20%)。
外国企業の土地所有 土地使用権賃貸料は、財務省が単位価格を設定し、これに係数化した周辺インフラの整備状況、係数化した業種を乗数計算して算出する。
資本金に関する規制 合併、100%外資の法定資本は、原則として、総投資資本の30%を下回ってはならない。
その他規制 国産化率:バイクは2年目で5〜10%、5〜6年目で60%、エレクトロニクスは2年間で20%、自動車は5年目で5%、10年目で30%。
 
(3)外資に対する奨励
奨励業種 外資法に定められた奨励分野。
各種優遇措置 投資内容により、3段階に分けて法人税の優遇措置。
 
(4)税制
法人税 標準税率25%(優遇措置については「各種優遇措置」参照)。
二国間租税条約 有。
その他税制 利益送金税(出資金額などに応じ3%、5%、7%の三段階)、付加価値税、個人所得税など。
 
(5)外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用
外国人就業規制 外資企業、駐在員事務所などで働く外国人は、労働許可を取得する義務がある(ただし、取締役、駐在員事務所の代表者などは除かれる)。
在留許可 1年以上滞在する場合には、人民委員会公安局が発給する最大3年間の滞在許可証を取得することで、当該滞在許可証の有効期間内はビザ取得が免除される。
現地人の雇用義務 ベトナム人の雇用を優先する。(ベトナム人では対応できない場合は例外あり。)最低賃金はハノイ・ホーチミン市では626千ドン/月。
 
(6)現地での資金調達制度
現地での資金調達 土地使用権を担保に、外国銀行を含む国内金融機関から借入れが可能。
 
(7)為替管理と外貨交換制度
為替管理と外貨交換制度 ベトナムの銀行やベトナムに設立された合弁銀行、外国銀行の支店にベトナム通貨または外国通貨で口座を開設できる。中央銀行の許可に基づき、国外の銀行に口座を開設することができる。
 
(8)技術・工業および知的財産権供与に関わる制度
技術・工業および知的財産権供与にかかわる制度 技術移転は、資本金の拠出として認められる。
 
(9)外国企業の会杜設立手続き・必要書類
外国企業の会社設立手続き・必要書類 事業設立には投資許可証の発給を受ける必要がある。投資許可証の発給手続きには[1]発給登録と[2]発給申請の2つがある。前者の場合、15日以内、後者の場合、30日あるいは45日以内に許可証が発給される。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION