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2. ベトナムの経済と海事産業
<ベトナム全図>
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(1)ベトナムの経済
国名 ベトナム社会主義共和国 Socialist Republic VietNam
国土面積 331,688km2(日本の約87%)
気候 北部は亜熱帯に属し、夏季は高温多湿で冬季はかなり寒くなる。南部は熱帯モンスーン型気候である。
人口 7,633万人(1999年4月1日時点)
民族 キン族が人口の約9割
主要言語 ベトナム語、ほかに4種の山岳民族語
公用語 ベトナム語
宗教 仏教55%、カトリック7.4%、カオダイ教2.5%、オアハオ教2.5%等
首都 ハノイ(人口267万2,000人、1999年4月1日時点)
通貨 ドン
対米ドルレート 99年2月より固定相場制を改め、前日の銀行間取引き平均レートの上下0.1%以内での変動を認める市場連動型の為替制度を導入。
    1USドル=1万4,514ドン(2000年期末レート)
 
【2】政治
 91年にドイモイ(刷新)政策を導入して以来、共産党一党独裁のもとで、政治は極めて安定している。外交面でも91年11月に中国との国交正常化を達成、95年7月にASEAN正式加盟、95年8月には米国との国交正常化条約に調印、98年11月にAPEC加盟が決定、2001年12月に米越2国間通商協定締結に合意するなどかなりの進展が見られる。
 2001年4月の第9回共産党全国代表者大会では、ノン・ドク・マイン新書記長が誕生するとともに、中央委員会・政治局の定員削減など共産党指導部のスリム化が行われた。さらに、2002年5月に国会(定員450、任期5年)選挙を行う。ファン・バン・カイ首相(68)の去就が焦点で、引退の場合はグエン・タン・ズン第1副首相の昇格が有力視されている。
 
政体 社会主義共和制
元首 チャン・ドク・ルオン(Tran Duc Luong)大統領(国家主席)1997年就任。1937年5月5日生まれ。
議会 一院制 一党(ベトナム共産党、書記長:ノン・ドク・マイン)議員数450名(97.7.20.総選挙実施)任期5年
政党 共産党一党独裁
内閣
(2001年12月末現在)
ファン・バン・カイ(Rhan Van Khai)
首相グエン・タン・ズン(Nguyen Tan Dung)
第一副首相グエン・マイン・カム(Nguyen Manh Cam)
副首相兼外相グエン・コン・タン(Nguyen Cong Tan)
副首相ファム・ザー・キエム(Pham Gia Khiem)
副首相ファム・バン・チャ(Pham Van Tra)
国防相レー・ミン・フォン(Le Minh Huong)
公安相グエン・ディン・ロク(Nguyen Dinh Loc)
司法相チャン・スアン・ザー(Tran Xuan Gia)
計画投資相グエン・シン・フン(Nguyen Sinh Hung)
財政相ダン・ヴゥ・チュウ(Dan Vu chu)
工業相レー・ゴク・ホアン(Le Ngoc Hoan)
交通運輸相ヴー・コアン(Vu khoan)商業相
【3】経済
 2000年の基礎的経済指標
実質GDP総額 313億4,870万USドル(1ドル=14167.7ドン、年平均)
2001年は322億9,946万USドル(見込み)
1人当たりGDP 376USドル、2001年は410USドル(見込み)
実質GDP成長率 6.9%
消費者物価上昇率 −0.6%、12月末比
失業率 6.4%
経常収支 5億6,300万USドル
貿易収支 5億USドル
外貨準備高 34億1,651万USドル
対外債務残高 N.A
 
 ベトナムにおいては、資本市場、証券市場等が存在しなかったため、アジア通貨危機の直接的影響は受けなかったが、アジア通貨の下落により、97年以降、主要輸出品の競争力が大きく低下した。図1のごとく、97年には成長率こそ9.0%と高成長を維持したが、その後の成長率は98年5.8%、99年4.8%と低迷した。2000年は鉱工業部門の拡大などにより6.7%と上向いている。
 2001年の実質GDP成長率は6.8%と、政府目標値の7.1%を下回った。だが、前年実績の6.7%を僅かながら上回り、他のASEAN諸国の経済がIT不況の影響などで減速感を強める中にあって堅調さを示した。成長の牽引車は鉱工業部門で10.4%増を記録した。具体的な生産品目では、自動車の生産台数が41.0%増の1万9,000台と大幅増を記録した。背景には、2000年1月の民間企業設立手続きの簡素化を契機とした起業ブームによる民需の拡大などが挙げられる。
 2001年4月の第9回共産党全国代表者大会では、2020年までの工業国入りを果たすため、2010年までにGDPを2000年比で2倍にするとの目標が示された。また、2001年12月に発効された米越通商協定では、ベトナム側に、金融・通信などのサービス市場開放のほか、知的所有権保護の強化、現地調達義務付けなどのパフォーマンス要求の撤廃などを求めるもので、将来のWTO加盟を目指す上での布石となる内容になっている。一方、米国は一年ごとにベトナムに対し通常貿易関係(NTR)を供与する。これにより、米国のベトナム製品に対する輸入関税が一気に低減され、対米輸出を狙った投資増が期待される。
 
図1 実質GDP成長率と1人あたりGDPの推移
(出所) ベトナム「Statistical Yearbook」より。
 
【4】貿易
 ベトナム統計局によると、2001年の同国の輸出額は前年比4.5%増の151億USドル、輸入額は同2.3%増の160億USドルで、貿易赤字は9億US米ドルとなった。
 輸出では、伸び率が前年の24.0%増から大きく減速したが、果物(同43.0%増、3億500万USドル)、海産物(同21.7%増、18億USドル)、石炭(同15.3%増、1億800万USドル)などが高い伸びを記録した。ただ最大の輸出品で全輸出額の21.0%を占めた原油が原油価格低迷の影響で前年から9.3%減り32億USドルにとどまった。コメ輸出も輸出量微増ながら金額べースでは1割減った。コーヒーなども世界的な価格下落で振るわなかった。輸出額第2位の衣類、同3位の水産物は、それぞれ5.7%増(20億USドル)、21.7%増(18億USドル)であった。
 輸入では自動車が同84.4%増の4万9,600台、4億2,700万USドルと急増。化学品(同2割増)、鉄鋼製品(同15.0%増)、機械設備(同5.2%増)などが伸びた。
 過去10年間のベトナムの輸出入額推移を図2に示す。
 
図2 ベトナムの輸出入推移
(出所) ベトナム「Statistical Yearbook」より。







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