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平成14年度海洋ビジョンに関する調査研究報告書?沿岸域管理・海洋教育・海上安全保障?

 事業名 海洋シンクタンク事業
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


3.2生活排水の処理
(1)市町村、都道府県、国の義務
 生活排水対策は、知事による生活排水対策重点地区の指定、市町村による生活排水対策推進計画の策定、指導、勧告、助言を通じて実施される。生活排水対策に関連する市町村、都道府県、国の一般的な義務として、
ア)市町村は、生活排水の排出による公共用水域の水質の汚濁の防止を図るための必要な対策(「生活排水対策」)として、公共用水域の水質に対する生活排水による汚濁の負荷を低減するために必要な施設(「生活排水処理施設」)の整備、生活排水対策の啓発に携わる指導員の育成その他の生活排水対策に係る施策の実施に努め、
イ)都道府県は、生活排水対策に係る広域にわたる施策の実施及び市町村が行う生活排水対策に係る施策の総合調整に努め、
ウ)国は、生活排水の排出による公共用水域の水質の汚濁に関する知識の普及を図るとともに、地方公共団体が行う生活排水対策に係る施策を推進するために必要な技術上及び財政上の援助に努めることとされている(14条の4)。
 
(2)生活排水対策重点地域指定
 都道府県知事は、水質環境基準が現に確保されておらず、又は確保されないこととなるおそれが著しい公共用水域等において、市町村長の意見を聴く等の手続を経て、生活排水の排出による当該公共用水域の水質の汚濁を防止するために生活排水対策の実施を推進することが特に必要であると認めるときは、当該公共用水域の水質の汚濁に関係がある当該都道府県の区域内に「生活排水対策重点地域」を指定しなければならない(14条の7)。
 
(3)生活排水対策推進計画
 その指定を受けた生活排水対策推進市町村は、生活排水対策重点地域における生活排水対策の実施を推進するための計画(「生活排水対策推進計画」)を定めなければならない。生活排水対策推進計画においては、以下の事項を定めなければならない。
ア)生活排水対策の実施の推進に関する基本的方針
イ)生活排水処理施設の整備に関する事項
ウ)生活排水対策に係る啓発に関する事項
エ)その他生活排水対策の実施の推進に関し必要な事項
 生活排水対策推進市町村が生活排水対策推進計画を定めようとするときは、当該生活排水対策重点地域内の他の生活排水対策推進市町村と連携を図らなければならない。
 生活排水対策推進市町村は、生活排水対策推進計画を定めようとするときは、あらかじめ、その生活排水対策重点地域を指定した都道府県知事に通知しなければならない。その通知を受けた都道府県知事は、当該市町村に対し、生活排水対策の推進に関し助言をし、その推進に関し特に必要があると認める場合にあっては勧告をすることができる(14条の8)。
 生活排水対策推進市町村は、当該生活排水対策重点地域内の他の生活排水対策推進市町村と連携を図りながら、生活排水対策推進計画に定められた生活排水対策の実施の推進に関する基本的方針に従い、生活排水処理施設の整備、生活排水対策に係る啓発その他生活排水対策の実施に必要な措置を講ずるように努めなければならない(14条の9)。
 生活排水対策推進市町村の長は、生活排水対策推進計画を推進するために必要と認める場合には、その生活排水対策重点地域において生活排水を排出する者に対し、指導、助言及び勧告をすることができる(14条の10)。
 
3.3 下水の処理
(1)流域別下水道整備総合計画
 都道府県は、水質環境基準が定められた河川その他の公共の水域又は海域で政令で定める要件に該当するものについて、その環境上の条件を当該水質環境基準に達せしめるため、それぞれの公共の水域又は海域ごとに、下水道の整備に関する総合的な基本計画(「流域別下水道整備総合計画」)を定めなければならない(下水道法2条の2)。
 流域別下水道整備総合計画は、当該地域における地形、降水量、河川の流量その他の自然的条件、当該地域における土地利用の見通し、当該公共の水域に係る水の利用の見通し、当該地域における汚水の量及び水質の見通し、下水の放流先の状況、下水道の整備に関する費用効果分析を勘案して定める。
 都道府県は、流域別下水道整備総合計画を定めようとするときは、あらかじめ、関係市町村の意見を聴かなければならない。
 都府県は、二以上の都府県の区域にわたる水系に係る河川その他の公共の水域又は二以上の都府県の区域における汚水により水質の汚濁が生じる海域の全部又は一部についての流域別下水道整備総合計画を定めようとするときは、あらかじめ、関係都府県及び関係市町村の意見を聴くとともに、国土交通大臣に協議し、その同意を得なければならない。国土交通大臣は、同意をしようとするときは、環境大臣に協議しなければならない。
 
(2)公共下水道の設置等
 公共下水道の設置、改築、修繕、維持その他の管理は、市町村が行う(法3条)。
 公共下水道から河川その他の公共の水域又は海域に放流される水(「公共下水道からの放流水」)の水質は、政令で定める技術上の基準に適合するものでなければならない(8条)11
 
11表 下水道法施行令 放流水の技術基準
(放流水の水質の技術上の基準)
第6条  法第8条(法第25条の10において準用する場合を含む。)に規定する技術上の基準は、次の表のとおりとする。
項目\区分 水素イオン
濃度

(水素指数)
生物化学的
酸素要求量

(単位1リットルにつき5日間にミリグラム)
浮遊物質量
(単位1リットルにつきミリグラム)
大腸菌群数
(単位1立方センチメートルにつき個)
活性汚泥法、標準散水濾床法その他これらと同程度に下水を処理することができる方法により下水を処理する場合 5.8以上8.6以下 20以下 70以下 3,000以下
高速散水濾床法、モデイファイド・エアレーション法その他これらと同程度に下水を処理することができる方法により下水を処理する場合 5.8以上8.6以下 60以下 120以下 3,000以下
沈殿法により下水を処理する場合 5.8以上8.6以下 120以下 150以下 3,000以下
その他の場合 5.8以上8.6以下 150以下 200以下 3,000以下
この表に掲げる数値は、国土交通省令・環境省令で定める方法により検定した場合における数値とする。
 
(3)流域下水道の設置等
 流域下水道の設置、改築、修繕、維持その他の管理は、都道府県が行なう(第25条の2)。流域下水道を管理する者(流域下水道管理者)は、流域下水道を設置しようとするときは、あらかじめ、事業計画を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならない(25条の3)。
 国土交通大臣は、認可をしようとするときは、あらかじめ、保健衛生上の観点からする環境大臣の意見をきかなければならない。
 流域下水道の放流水についても8条の規制がかかる。
 
3.4 農業排水の問題
(1)農用地の土壌の汚染防止等に関する法律
 農用地の土壌の汚染防止等に関する法律は、直接には農業排水や公共用水域の汚染を問題とする法制度ではない。その直接目的は、農用地の土壌のカドミュウム等の特定有害物質による汚染の防止及び除去並びにその汚染に係る農用地の利用の合理化を図るために必要な措置を講ずることにより、人の健康をそこなうおそれがある農畜産物が生産され、又は農作物等の生育が阻害されることを防止し、もって国民の健康の保護及び生活環境の保全に資すること(1条)にある。
 しかし、この法律の7条は、都道府県知事は、対策地域の区域内にある農用地の土壌の特定有害物質による汚染の程度、当該対策地域に係る対策計画の内容等を総合的に勘案して、人の健康をそこなうおそれがある農畜産物が生産され、又は農作物等の生育が阻害されることを防止するため必要があると認めるときは、水質汚濁防止法第三条第三項の規定により、当該農用地に水が流入する公共用水域に排出される排出水に係る排水基準を定めるものとしている。
 
(2)農薬取締法
i)全体構造
 農業に関するカドミニウム等の有害化学物質の規制に直接かかわるのは、農薬取締法と肥料取締法である。農薬取締法の海洋汚染関連規定としては、土壌残留性農薬の使用の規制と、水質汚濁性農薬の使用の規制、作物残留性農薬等の使用の指導、農薬安全使用基準、農林水産大臣及び都道府県知事の援助等の規程がある。
 土地残留性農薬の使用規制の制度は、政府が、政令をもって、当該種類の農薬が有する土壌についての残留性からみて、当該種類に該当する農薬が法定の容器又は包装の表示に係る法定の事項を遵守しないで使用される場合には、その使用に係る農地等の土壌の汚染が生じ、かつ、その汚染により汚染される農作物等の利用が原因となって人畜に被害を生ずるおそれがある種類の農薬を、土壌残留性農薬として指定し、その指定があった場合における当該土壌残留性農薬に該当する農薬の使用について、使用者が遵守すべき基準を定め、使用者はそれに従う義務を負う(12条の3)というものである。
ii)水質汚濁性農薬の規制
 水質汚濁性農薬の規制は以下のようにして行われる。
 政府は、政令をもって、(ア)当該種類の農薬が相当広範な地域においてまとまって使用されているか、又は当該種類の農薬の普及の状況からみて近くその状態に達する見込みが確実であり、かつ(イ)当該種類の農薬が相当広範な地域においてまとまって使用されるときは、一定の気象条件、地理的条件その他の自然的条件のもとでは、その使用に伴うと認められる水産動植物の被害が発生し、かつ、その被害が著しいものとなるおそれがあるか、又はその使用に伴うと認められる公共用水域の水質の汚濁が生じ、かつ、その汚濁に係る水の利用が原因となって人畜に被害を生ずるおそれがあるかのいずれかである種類の農薬を水質汚濁性農薬として指定する。
 都道府県知事は、水質汚濁性農薬に該当する農薬につき、当該都道府県の区域内における当該農薬の使用の見込み、その区域における自然的条件その他の条件を勘案して、その区域内におけるその使用に伴うと認められる水産動植物の被害が発生し、かつ、その被害が著しいものとなるおそれがあるか、又はその区域内におけるその使用に伴うと認められる公共用水域の水質の汚濁が生じ、かつ、その汚濁に係る水の利用が原因となって人畜に被害を生ずるおそれがあるときは、政令で定めるところにより、これらの事態の発生を防止するため必要な範囲内において、規則をもって、地域を限り、当該農薬の使用につきあらかじめ都道府県知事の許可を受けるべき旨を定めることができる(12条の4)。
 作物残留性農薬、土壌残留性農薬又は水質汚濁性農薬を使用する者は、その使用に当たっては、農業改良助長法第14条の2第1項に規定する改良普及員若しくは植物防疫法第33条第1項に規定する病害虫防除員又はこれらに準ずるものとして都道府県知事が指定する者の指導を受けるように努めるものとする(第12条の5)。
 農林水産大臣は、農薬の安全かつ適正な使用を確保するため必要があると認めるときは、農薬の種類ごとに、その使用の時期及び方法その他の事項について農薬を使用する者が遵守することが望ましい基準を定め、これを公表するものとする(第12条の6)。
 農林水産大臣及び都道府県知事は、農薬について、その使用に伴うと認められる人畜、農作物等若しくは水産動植物の被害、水質の汚濁又は土壌の汚染を防止するため必要な知識の普及、その生産、使用等に関する情報の提供その他その安全かつ適正な使用の確保と品質の適正化に関する助言、指導その他の援助を行なうように努めるものとする(12条の7)。
 
(3)肥料取締法
 農薬と並んで農業排水を経由して海水を汚染する可能性の高いのは肥料の使用である。肥料の使用に関しては肥料取締法がある。しかしこの法律は、肥料の品質を保全し、その公正な取引を確保するため、肥料の規格の公定、登録、検査等を行い、もって農業生産力の維持増進に寄与することを目的とする(1条)ものであり、環境の保全等の観点で肥料の使用について規制をかけるものではない。この点で農薬取締法とは異なる。
 現在、水質汚濁防止法によって事業所系の排水については窒素、燐の規制が行われ、生活排水についても下水道法により不十分ではあるが窒素、燐の低減が図られうる仕組みになっているが、農用地からの排水については肥料規正法が使用量等の規制をする体系にはなっておらず、農業者の自主規制に委ねられていることが、海水の富栄養化等につながるとの指摘も多い。







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更新日: 2019年8月10日

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