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3S級舶用機関整備士指導書

 事業名 舶用機関整備士の資格検定事業
 団体名 日本舶用機関整備協会 注目度注目度5


3.4 潤滑装置
 潤滑装置はエンジン本体を構成している各摺動部や回転部に潤滑油を供給し、焼き付きを防止すると共に減摩、冷却、密封、防錆等の働きによりエンジンの性能を十分に発揮させるためのものである。
 
1)2サイクルガソリンエンジン
 2サイクルガソリンエンジンの潤滑方式には混合給油方式(小型船外機)と分離給油方式(中・大型船外機)とがある。
(1)混合給油方式
 50:1容積比でガソリンとオイルを良く攪拌、混合して混合燃料(2・309図)を作り、この混合燃料でエンジンを運転する。混合燃料はキャブレータによって霧化され混合気となってクランクケースヘ吸入される。混合気中の潤滑油成分はエンジン内の各回転、摺動部分の潤滑ヶ所に付着して潤滑の役目を果たし、最終的にガソリンと共に燃焼して水中に排出される。この混合給油方式は一般に小型船外機に採用されている。
 新しいエンジンの慣らし運転期間(最初の5〜10時間)中は摺動面に油膜が形成されやすいように、オイル量を2倍にし、25:1の混合燃料を使用する。
 
2・309図 混合ガソリンの作方
 
2・310図 インテークマニホールド内ヘオイル噴射
 
(2)分離給油方式
 エンジン出力が大きくなるほど燃料消費量は増大するため多量の混合燃料を必要とする。この混合燃料を準備するのは大変であり、このためガソリンとオイルを別々に供給する分離給油方式が中・大型船外機に採用されている。
 分離給油方式はパワーユニット上部に設けられたオイルタンクからオイルインジェクションポンプ(プランジャー式オイルポンプ)によって、エンジン回転速度とキャブレータのスロットル開度に応じて最適なオイル量をインテークマニホールド内に圧送し、噴射する方式(2・310、311図)で、噴射されたオイルはキャブレータによって作られたガソリンと空気の混合気と混ざり合ってクランクケースヘ吸入される。噴射された潤滑油成分は混合給油方式と同様に、エンジン内の各回転、摺動部分の潤滑ヶ所に付着して潤滑の役目を果たし、最終的にガソリンと共に燃焼して水中に排出される。
 
(拡大画面:19KB)
2・311図 分離給油方式
 
 オイルインジェクションポンプは2・312図に示すようにクランクシャフト下端に組み付けられたウオームギヤで駆動されるウオームシャフトは、またポンプ内でウオームギヤによりプランジャーを回転させる。ポンプ内のプランジャーはエンジン回転速度に比例して回転する。プランジャーの有効ストロークはポンプ内のカムによって変化し、プランジャーの1回転当たりの吐出量が変化する。カムはキャブレータのスロットルバルブとリンクによって連結されているため、ガソリンとオイルの混合比はトローリング運転時で200:1となり、フルスロットル運転時で100:1または50:1となる。
 
(拡大画面:27KB)
2・312図 オイルインジェクションポンプ
 
 中型機種では、2・311図に示すオイルタンク内のオイル残量はオイルレベルセンサによって検出され、パイロットランプで表示される。またオイル残量が最低レベルに達すると、ブザーが鳴って運転者に知らせると同時にエンジン回転速度を自動的に下げる。
 大型機種ではメインオイルタンク内のオイル残量が一定レベルまで下がると、船内に設置されたサブオイルタンク(2・311図、2・313図)から自動的にオイルを送り込む方式が採用されている。サブタンク内とメインタンク内のオイル残量はそれぞれのオイルレベルセンサによって検出され、パイロットランプで表示される。サブタンクの場合には黄ランプが点灯し、オイル補給の必要を知らせる。メインタンクの場合には赤ランプを点灯させ、同時に警報ブザーが鳴る。サブタンクにオイル補給ができない緊急時にはエマージェンシースイッチでサブタンク内に残っているオイルをメインタンクに送ることができる。
 
2・313図 サブオイルタンク
 
 尚、新しいエンジンの慣らし運転期間中は50:1の混合燃料を使用する。
 
2)4サイクルガソリンエンジン
 4サイクルガソリンエンジンの潤滑装置はオイルポンプ、オイルフィルタ、オイルギャラリ、リリーフバルブ、プレッシャスイッチ、オイルストレーナ及びオイルパンなどで構成され、オイルポンプによって潤滑油を圧送する強制給油方式が採用されている。その潤滑経路の一例を2・314図に示す。
 オイルパン内のオイルは、オイルストレーナで比較的大きな異物が取り除かれた後、オイルポンプで吸い上げられリリーフバルブで規定圧に調圧されると同時にオイルフィルタでさらにろ過されて、シリンダブロックやシリンダヘッドに設けられたオイルギャラリを通りクランクシャフト及びバルブ開閉機構に送られ、各部を強制的に潤滑してオイルパンに戻る。また、オイルギャラリ部に取り付けられているオイルプレッシャスイッチにより、オイルフィルタ以降の油圧が規定値に達しているかどうかを警告灯により運転者に知らせるようになっている。
 
(拡大画面:50KB)
2・314図 潤滑経路
 
(1)オイルポンプ
 オイルパン内のオイルを吸い上げ各部へ圧送するもので、主にトロコイドポンプが使用されている。一部にギヤポンプを使用しているものもある。トロコイドポンプは2・315図に示すようにケース内に歯数の異なるアウタロータとインナロータが偏心して組み込まれたものである。インナロータが回転するとアウタロータも同方向に回転するが、歯数及び中心が異なるため、歯と歯の間にできる空間が変化する。この変化によってオイルを吸入したり圧送したりする。駆動はカムシャフトの端で直接行っている場合が多い
 
2・315図 トロコイドポンプ
 
(2)オイルフィルタ
 オイルフィルタはオイルに混入している金属粉やスラッジをろ過するもので、小型で軽量なカートリッジ式を使用し、クランクケースに取り付けられている。エレメント(ろ紙)の形状はろ過面積を大きくするため、2・316図に示すようにひだを設けている。また、内部にバイパスバルブを設けて、万一エレメントが目詰まりを起こしたときにバルブが開いて、オイルはエレメントを通らずに各部に送られるようになっている。従って、決められた時間で定期的に交換することが重要である。
 カートリッジ式フィルタを取り付ける場合、相手側の取付面を清掃し、Oリングにオイルを塗って手で締め付ける。工具は使わない。
 
(拡大画面:44KB)
2・316図 カートリッジフィルタ
 
(3)オイルパン及びオイルストレーナ
 オイルパンは潤滑油をためるアルミニューム合金製でマウントケースを介してエンジン下部に取り付けられている。
 オイルストレーナは金属メッシュで比較的大きな異物を取り除いている。







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更新日: 2017年11月18日

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