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2級舶用機関整備士指導書

 事業名 舶用機関整備士の資格検定事業
 団体名 日本舶用機関整備協会 注目度注目度5


4.2 ディーゼルエンジンの出力(馬力)
1)出力とトルク
 平成11年10月1日よりSI単位への完全切り替えが実施された。従って本書もSI単位を主に著し、従来単位を参考値として( )書きするように改訂した。新旧の主な換算率は1・7表に記しているが、kWを用いる出力の換算式は次の通りである。
SI単位の場合;1出力(kW)=1.359622(PS)≒1.36(PS)
従来単位の場合;1馬力(PS)=75kg・m/sec=0.735(kW)
 それでは内燃機関に用いられている動力の従来単位について復習しておこう。
 動力の単位は馬力であり、一般にHorsepower(HP)又はPferde Starke(PS)で表し、75kgの重さの物を1秒間に1m移動させる動力を1馬力(PS)としてきた。
 馬力だけでは、どの程度のプロペラや発電機などを廻すことが可能なのか判らないため、一般にトルク(回転力)に換算して比較している。
 トルク(回転力)と軸馬力(PS)及び回転数(rpm)の関係は次の式で示される。
これをSI単位に置き換えると、次のようになる。
 中高速機関では、低速形機関に比較して機関出力は大きくてもトルクが小さいため大径のプロペラを回せない。そのために減速機を用いてプロペラ軸の回転数を小さくし、大きなトルクを得るようにしている。
(例題)機関出力331kW/2,500min-1、減速比3.25の場合の機関トルク及び減速軸トルクを求めよ。
 
2)図示出力(馬力)と軸出力(馬力)
 シリンダ内で実際に発生する仕事を動力の単位(出力)で表した物が図示出力(IkW)であり、下記にて算出する。
 インジケータ線図(PV線図)と図示平均有効圧力
 4サイクル機関において、吸入、圧縮、燃焼、排気の各々作動行程において、シリンダ内の圧力はピストンの位置と共に刻々変化することが想像できるでしょう。このような状況を図示したものをPV線図(Pは圧力、Vは容積の意味)と称し、エンジン熱力学理論の基本となっている。(1・10図参照)
 
1・10図
(拡大画面:25KB)
 
 PV線図は別の見方で云えばエンジンの1サイクル中に行われた仕事を表わしています。燃焼と膨脹行程はプラスの仕事であり、吸入、圧縮、排気の各行程はマイナスの仕事ですから、PV線図上でそれらを差引きした残りの図形(タビ形図)が仕事を表わすことになる。
 1・11図はタビ形図の一例で、縦軸に指圧器から換算された圧力の値を目盛ってあり、横軸の長さ(行程容積に相当)を10等分し、タビ形内の矢印の長さを以ってその位置の圧力値を示している。いまこれらの圧力値を全部加算して、合計値を10で割れば圧力の平均値0.7MPa(7.14kgf/cm2)を求めることが出来る。この平均の圧力を膨脹行程中に一定に作用させたと考えると、結局タビ形の面積で得られた仕事と同一の仕事をしたことになるので、この理由からこれを図示平均有効圧力と称し、一般に記号Pmiで表示している。
 
1・11図
(拡大画面:25KB)
 
 軸出力(SkW)は、制動出力(BkW)又は正味出力とも呼ばれ、クランク軸から実際の動力として取り出され、プロペラや発電機などを動かす動力であり、動力計で計測される出力である。
 動力計として摩擦式(プロニ・ブレーキ式など)水動力計、電気動力計などが用いられ、まれにファンブレーキ式なども使われる。
 水動力計による計測は1・12図に示すように装置し、回転数と秤の腕の長さL(m)と、秤の荷重W(N)を測定し次式により算出する。
 
1・12図
 
 なお、下記の条件を与えれば非常に簡単な式になる。
(例題)水動力計における秤の腕の長さが0.89525m、秤の荷重1,000N、回転数2,000min-1の時、軸出力を求めよ。
 図示出力と軸出力の関係は1・13図で表されるように次の関係がある。
軸出力=図示出力−機械摩擦損失
(SkW)=(IkW)−(Pf)
 
1・13図
 
3)正味平均有効圧力
 正味平均有効圧力(Pme)は、機関性能を比較する重要な要素の一つであり、軸出力(SkW)との関係は次式の通りである。
 最近の舶用ディーゼル機関においては出力性能向上が著しく、無過給機関で0.6〜0.7MPa(6〜7kgf/cm2)、過給機付機関にあっては1.6〜2.0MPa(16〜20kgf/cm2)、なかには2.1MPa(21kgf/cm2)を越える物もある。
 
(例題)最大出力257.3kW/2,800min-1、シリンダボア105mm、ストローク130mm、6気筒4サイクルディーゼル機関における最大出力時の正味平均有効圧力及びピストンスピードを求めよ。
 
4)定格出力と最大出力
 定格出力とは、機関銘板に打刻されている出力及び回転数であり、一般に何kWの機関などと呼んでいる。舶用ディーゼル機関においては、これを連続最大出力及び回転数と云い、それ以上の出力及び回転数を過負荷出力及び回転数と呼んでいる。
 但し、小形漁船主機関(シリンダ径150mm以下)の場合は水産庁登録済みの出力及び回転数で表示される場合が殆んどであり、連続最大出力及び回転数に当てはまらぬことが多い。
 連続最大出力は、JISによれば定められた状態と運転条件のもとで定められた回転数にて長時間連続して運転できる出力とし(連続)定格出力とも云っている。
 最大出力とは、その機関が出しうる瞬間的な最大出力を云うが、一般的には定格時間の取り方によって異なっている。舶用主機ディーゼル機関の場合は通常1時間(連続)定格出力をもってその機関の最大出力としていることが多い。
 負荷許容最大出力とは、メーカが製品の品質保証をする限界の許容しうる過負荷出力及び回転数であり、許容限度以上の出力及び回転数で運転できぬように燃料噴射量ならびに回転数を封印セットしている。又小形主機関の場合、その機関の使用環境条件を加味して軽作業、中作業、重作業に区分して封印セットしている場合もある。作業区分の考え方の一例を1・10表に示す。
 
1・10表 作業区分
船種(用途別) L:軽作業用 M:中作業用 H:重作業用
遊漁船、レジャボート、通船、採介藻船、定置網船、一本釣船(沿岸)、客船等の軽作業船 一本釣(近海)、まき網船、刺網船、もじゃこ船(10トン以上)、運搬船等の中作業船 いか漁(集魚灯発電機駆動)五智網漁等の引網漁で連続使用時間が24時間以内のもの
使


年間総使用時間 1,500時間/1年 2,500時間/1年 3,500時間/1年
最大出力の
連続使用時間
2時間以内 10時間以内 24時間以内
 
 検査船に用いられる舶用ディーゼル機関の過負荷出力及び回転数は通常連続定格出力を100%負荷とし、110%過負荷出力をもって燃料噴射量の制限をしなければならない。
 さらに過速度最大回転数は100%負荷回転数の120%を超えぬような制限装置を持つよう義務付けられている。







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