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4.5 保守点検
1)回転体
 回転体各部の寿命は処理油の性状、運転条件などが関連して一概に決める事は出来ないが、一応の目安として補修可能範囲、新替を必要とする使用限度を次に示す。
 なお、腐食に対する限界を明確な数値で表すことは出来ない。元来腐食は使用する環境、使用条件により大きく左右され、舶用の場合においても処理油の性状により、その程度は千差万別である。特に燃料油を処理する場合は、海水の混入も起こり得るので、腐食環境は過酷と考え注意深く保守、点検を行なう。
(1)点検箇所
(イ)腐食はスラッジの付着、堆積する箇所に発生し易いので腐食を避けるためには、スラッジを堆積させないよう適正な排出間隔に設定すると共に、開放時は清掃を励行する。
(ロ)回転体部品は一部を除きステンレス鋼であるが、過酷な条件下では必ずしも腐食しない訳ではなく、ピッチングとして発生する。また、回転体は高応力下にさらされているので、このピッチングを起点とした微細割れを起こす可能性があり、特に注意して点検する。
(2)点検の手順
(イ)十分に清掃を行ない、付着物を取除く。
(ロ)目視検査
(ハ)カラーチェック検査
(3)腐食に対する処置
(イ)ピッチングは、グラインダにて腐食部分を除去し、目視、カラーチェック検査で確認して異常なければ継続して使用できる。
 グラインダによる除去代は0.5m/m以内とし、グラインダをかけた後、バフ研磨(#250以上)を行なう。
(ロ)線状欠陥(割れ)の発生及び多量にグラインダ仕上げを行なった場合は、部品の新替、バランス調整を行なう必要がある。
 何れにしても亀裂、ピンホール、腐食等の箇所を決して補修してはならない。
 
2)竪軸部
 竪軸部は高速回転で、しかも重量物である回転体を竪軸頂部円錐面の摩擦力で駆動している。従って、その保守の良否は回転体のバランス、フレームとの接触、振動、各部の損傷等に直接関係してくるので重要である。
 竪軸部の寿命は、回転体各部の寿命と違って、処理油の性状等に直接左右されることなく、或る一定時間の運転によって新替を必要とする部品が多い。
 
3)横軸部
 横軸部は電動機の動力をギヤポンプヘ、また竪軸を介して回転体へ伝えるもので、その構造は特に複雑なものではなく、保守間隔も他の部分に比較して長期となっているが、保守の如何によっては運転不可能となるので、充分留意する必要がある。
 横軸部各部の寿命は竪軸部と同じく処理油の性状等に直接左右されることなく、或る一定時間の運転によって新替を必要とする部品が多い。
 
4)ギヤポンプ部
 一般には、定期点検以外は分解して点検する必要はないが、異常音を生じたり容量不足となった場合、油洩れがあった場合など分解して調査し、異常が発見されたら新替する。
 
5)潤滑油
 潤滑油の取扱いは以下の点を注意して行なう。
(1)潤滑油を新替する場合は機械を停止後、潤滑油を抜き、ギヤケース内壁に付着しているものは掃除する。
(2)乳化等の異常現象のために潤滑油を新替する際は、古い油を少量サンプリングしておき、調査する際の資料とすると良い。
(3)給油の際は、異物が混入しないよう充分注意し、必要ならこし網を通して行なう。
 
6)ブレーキ装置
 ブレーキ装置は特に早く停止させたい場合以外はできるだけ使用しないことが望ましい。
 ブレーキを使用して停止した場合は、再始動に際して電動機に過負荷をかけないよう必ずブレーキの開放を行なわなければならない。
 
7)給水装置
 給水装置は回転体内に堆積したスラッジを自動的に排出させる回転体の開閉機構へ作動水を供給させるための装置である。
 従って、水垢の詰まり、あるいはシートパッキン、Oリングの損傷等が水圧の低下、水量不足の原因となり回転体開閉動作の不能につながるものであるから、その点検及び清掃には充分な注意が必要である。







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