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1級舶用機関整備士指導書

 事業名 舶用機関整備士の資格検定事業
 団体名 日本舶用機関整備協会 注目度注目度5


4. 清浄機(分離板形)
 遠心分離機の一種で、液体−液体−固体の三相分離を行うものを清浄機(ピュリファイア)と言う。これに対して、液体−固体の二相分離を行うものを清澄機(クラリファイア)と言うが、基本的な原理・構造は変わらない。また、円筒形と分離板形の2種に大別されるが、ここでは最近の主流となっている分離板形について説明する。
 
4.1 基本原理
 比重の異なる液体や固形物の混ざった混合液を容器に静置すれば、その比重差によって重いものが沈殿し液を分離することが出来る。これを4・5図に示す。これを重力沈降と称するならば全く同じことを遠心力を利用して強制的に行なおうとするのが遠心沈降である。遠心沈降は重力に比べて数千倍の遠心力が作用するので、重力沈降より分離度、分離清浄度は極めて大きなものとなる。遠心分離機は沈殿による分離を遠心力の場で行わせる遠心沈降機の一種であると言ってよい。これを4・6図に示す。
 
4・5図 重力沈降
 
 
4・6図 遠心沈降
 
4.2 基本構造
 代表的な清浄機の回転体の構造を4・7図に示す。
 回転体は回転胴、回転体蓋及び回転体ナットにより容器が構成され、回転体内部には分離板、水取板からなる分離室と原液を回転体入口から分離室に均等に分配する案内筒が組み込まれている。更に、回転体内壁には分離、堆積されたスラッジを運転中に排出させるため水圧により上、下方向に摺動する弁シリンダがある。
 また、回転胴の外周2ヶ所に弁シリンダの摺動を制御するパイロットバルブアッセンブリが組み込まれている。
 原液入口から案内板をとおり分離室に導かれた原液は分離板の間隙を通過するが、その途中にて固形分及び水が分離され、清浄油となって回転体上部の求心ポンプ(軽液インペラ)により外部へ連続的に吐出される一方、分離された水はトラップより連続的にオーバフローする。
 
4・7図 清浄機の回転体
(拡大画面:65KB)
 
4.3 運転上の注意事項
 清浄機の回転体は高速回転により大きな遠心力が働くので取扱いを誤ると大変危険である。従って、運転、分解、組立及び保守点検等、各機器の取扱説明書に従い十分注意して取扱うこと。
 
1)通油量
 清浄機を効率よく稼働させるためには適切な通油量とする必要がある。燃料油の場合は、機関MCR時における燃料消費量より15%程度多い量を、清浄機の処理容量とし、それ以上の実容量をもつ清浄機を選定するのが通常の方法である。また、潤滑油の場合は、相当絞って通油しているのが実状である。
 
2)処理温度
 清浄機の処理量は粘度により左右されるので、効率よく活用するためには処理油を加熱して粘度を下げる必要がある。
 しかし、経済性、加熱による油の劣化及び加熱による清浄機への悪影響等の理由により最適粘度を24mm2/s(cSt)、最高加熱温度を98℃(100℃以下)としている。参考までに各油種における処理温度を4・6表に示す。
 
4・6表 各油種における処理温度
油種  処理温度(℃)
A重油 13mm2/s(cSt)/40℃ 40℃
20mm2/s(cSt)/50℃ 46℃
C重油 180〜600mm2/s(cSt)/50℃ 98℃
潤滑油 150mm2/s(cSt)/40℃(VG150) 83〜90℃
100mm2/s(cSt)/40℃(VG100) 74〜90℃
 
3)調節板
 ピュリファイア運転の場合、回転体内の軽液と重液との分離境界面をある一定範囲内に保持する必要があるが、分離水出口径を変える(径の異なる調節板を使用する)ことによって、その調節を行っている。
 径の大きな調節板を組込むと分離境界面は外側に移動し、径の小さな調節板を組込むと内側に移動する。
 適切な調節板を選定することは清浄機を使用するにあたっての最も重要な項目の1つであるので誤りのないよう、十分な注意を払う必要がある。
 
4)潤滑油
 潤滑油は堅軸と横軸の各軸受及びギヤの潤滑を行なうためのもので、その方式は油浴とスパイラルギヤによる飛沫潤滑である。
 潤滑油の保守管理は直接、動力伝達各部の寿命に関係するのでその取扱いには細心の注意が必要である。
 油種はギヤ油またはタービン油で酸化安定性にすぐれた良質のものを使用する。また、水が混入してもエマルジョンが生成しにくいものを使用する。
 
5)スラッジ排出間隔
 スラッジ排出間隔が適切であれば、効率よく運転できるが、その間隔は、清浄機の型式は勿論のこと運転方法あるいは処理油の性状やその他種々の条件(例えば、潤滑油であれば、主機の型式、馬力及びサンプタンクの大きさ等)により大きく異なるので一概に決定することはできない。
 間隔が長過ぎると、スラッジの固着等により排出性が悪くなり、短ければ、運転効率が悪くなる。
 清浄機の選定にあたってはスラッジ排出間隔について基本的な考慮がなされているものの、実際の排出間隔は試運転を行ない、処理油のスラッジ濃度に合わせた適正な排出間隔を、決定することが好ましい。
 
6)封水、置換水量
 封水はピュリファイア運転を行う場合、あらかじめ回転体内に水の相を作り原液を給液した時、重液側から油が流出することを防ぐためのものであり、また置換水はスラッジ排出前、回転体内の油を回収し、ロスを最少限におさえる為のものである。
 従って、これらの水量は適正に設定しないと運転上支障をきたすので、各機器の取扱説明書に従いその水量を規定すること。
 
7)始動時・停止時
(1)異常音がする時は直ちに停止し、点検する。
(2)始動から所定の時間経過しても回転速度が定格に達しない時は、直ちに停止し、フリクションクラッチ部及びギヤケース内の油の漏れ等を点検する。
(3)その他、通液を開始した後、各部の圧力、電流値の異常及び回転体及び配管の締付部から油や水が漏洩していないことを確認する。
(4)異常振動がする時は直ちに停止し、点検する。但し、回転体が定格回転速度に達する前に危険速度(CRITICAL SPEED)を通過する際、一時的に振動が生じるが、これは異常ではない。
(5)回転体が停止する際にも危険速度を通過するが、始動時と異なり通過時間は比較的長いので、振動が若干大きくなる場合もあるが、これは異常振動ではない。
 
4.4 分解組立て上の注意事項
1)停止の確認
 回転体の回転が完全に停止したことを確認してから各部を緩め、分解する。なお、回転が完全に停止したかどうかは、ギヤポンプと横軸の連結部(安全接手)で確認できる。
 
2)部品の取扱
 清浄機は、精密機械なので部品等は衝撃や高熱を避けるよう、取扱いに注意する。
 
3)回転体の部品の交換
 回転体はバランス調整しているので同一機種であっても回転体の部品(分離板を除く)の入れ換えは絶対に避けること。







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