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(2)主要生産物
a 椎茸
 本村の椎茸農林家は、平成14年現在、乾椎茸生産者380戸、生椎茸生産者55戸、栽培方法は、伝統的な原木栽培が中心となっている。椎茸は、村を代表する伝統的主要作目として、村内外から高い評価を受けており、本村の特産品として位置づけられる地域産品の一つである。
 村内には、国・県の品評会などで入選を果たす高品質の椎茸(乾椎茸上質冬?)を産出する農林家がある一方で、十分な品質を担保できない農林家もあって、村では生産体制の底上げを図り、品質の均質化を優先させることとしている。このため、ほだ木1万本を収容できる散水施設榾場造成施設(人工ほだ場)の設置など基盤整備を進めている。
 
村内の散水施設榾場造成施設(人工ほだ場)
 
 月別の生産量をみると、生椎茸は通年で生産されているが、主要な生産期は秋冬となっている。乾椎茸は春子、秋子と呼ばれるように秋冬期と春期に生産時期が分かれるが、特に4月に生産量が多い。
 
図表6−8 月別椎茸生産量(平成13年)
(拡大画面:37KB)
資料:椎葉村資料
 
 乾椎茸の品柄をみると、香信(こうしん)が40.7%、香?(こうこ)2.2%、冬?(どんこ)17.2%、特用24.0%となっている。このうち、冬?については、寒期に栽培されたもので、カサの表面が亀の子のようにひび割れたものは、「花どんこ」として高額で取引されている。
 
図表6−9 乾椎茸の品柄別比率(平成13年)
資料:椎葉村資料
 
 椎葉村椎茸部会が作成した「ふるさと販売員募集」関係資料から、各品別の販売単価をみると、100グラム当たり単価では、上冬?が約2,000円と最も高額で、以下、上香信の約1,700円、並冬?の約1,500円が続く。
 しかし、近年、中国産をはじめとする輸入椎茸の台頭によって、価格の低迷など市場環境の変化が著しくなっている。
 また、山間部における原木栽培が重労働であることや、近年の温暖化の進行などによって、高齢の農林家の作業が困難になったり、適性地区の変更の必要性が生じたりなど、新たな課題も生まれている。
 
図表6−10 品柄別にみた100グラム当たりの単価(包装費等を含む)
(拡大画面:43KB)
資料:椎葉村椎茸部会チラシより作成
 
b ホウレンソウ
 本村のホウレンソウ栽培は、低迷が続いていた大根栽培にかわって、平成10年からの本格的に導入され、生産が開始した。
 ホウレンソウは、本村の高冷地の特性を活かし高品質な商品出荷が可能なことに加え、経費が比較的低廉、所得率が高い、作業が分散できるなどの理由から、近年、順調に作付けが増えている。
 現在では、矢立団地を中心に1.7ヘクタールの作付が行われ、平成13年度は50トンの生産があった。今後は栽培ハウスが増設されることもあり、村では平成14年度以降の収穫量として65トンを見込むとともに、将来的には作付面積は5ヘクタールまで拡大することを計画している。
 現在は、「サンパワー」種など、高品質のものについては、福岡、熊本へ出荷され、一定の市場を確保している。また、矢立地区では若い生産者が中心となって「矢立ホウレンソウ生産者組合」が組織化され、産直などの取組も模索され始めている。
 しかし、生鮮野菜のため、出荷先が九州圏域に限られること、村への導入から日が浅く市場での認知度が不足していること、村の伝統や文化との関係が希薄であることなどから、特産品化に向けた課題は多い。
 特に、生産者によって単位面積あたりの収穫量の格差があること、品質に差がみられ、一日あたりの出荷量が把握できず、市場で相対取引ができないことなどの課題の解決が必要とされている。
 
図表6−11 ホウレンソウの生産の推移
(拡大画面:76KB)
資料:椎葉村
 
c トルコキキョウ
 トルコキキョウについては、平成2年頃から作付けがはじまり、10年以上の生産実績を有している。作付面積は、近年の花卉ブームにより、1.7ヘクタールまで増大した。
 近年、景気低迷の影響から花卉全体の単価が低下し、トルコキキョウについても、単位面積当たりの販売金額が年次によって高下がみられ、価格の安定性が見通せない状況になっている。このため、生産者の生産意欲の低下が懸念されている。また、産地間の競争が激化しており、今後の市場性の確保についても予断を許さない状況にある。
 今後の課題は、生産者同士の栽培・出荷の連携強化、共同出荷体制の確立、栽培技術の見直しなどが必要となっている。
 
図表6−12 トルコキキョウの販売面積・販売戸教
資料:椎葉村
 
図表6−13 トルコキキョウの販売金額
資料:椎葉村







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