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第3章 明日へ羽ばたく 産業をおこし 生活を支えるまち
1 農の実りと豊かなまち
(1)現状と課題
 本町は、八ヶ岳山麓に立地する標高差のある地域であり、多様な気候を有していることから、多種多様な農産物の生産が可能な地域です。しかし、農業の基幹作物である米の過剰生産と安い農産物の大量輸入などにより、農業経営は厳しい状況におかれております。
 けれども、農業は、国民が日々口にする農産物の生産体制の維持という重要な役割を担っていますから、地域での農業生産体制の維持・向上を図っていかなければなりません。同時に、厳しい農業環境のもとで、農業経営者が生活できる経営へ向けた各種支援を農協などとの連携・協力のもとに図っていく必要があります。
 また、都市と農村との交流の場となる施設及び地域の寄りどころとなる集会、学習施設などの整備が必要です。
 
(2)施策の基本的考え方
 営農者の高齢化や農業後継者のサラリーマン化の進行などにより、農業の維持体制がじょじょに弱まってきているため、時代の趨勢を踏まえた新たな営農体制の構築へ向けて農協などとの連携・協力のもとに取り組むとともに、中核的な集会施設、交流施設の建設を図ります。
 
(3)施策の体系
 
 
(4)施策の方向
ア 農村環境の向上
(ア)誇れる農村景観の発見
 農村地域の活性化のために、農村地域の優れた景観や特徴の再発見事業を推進することにより、わがまちへの誇りと自信を高めていきます。
(イ)農業集落排水整備
 農村地域の生活環境の向上の一環として、農業集落排水整備事業を推進し、農村地域の生活環境の向上に努めます。
(ウ)農道の整備
 農村部における生活基盤及び農業の生産基盤の向上を図るため、引き続き農道の整備促進に努めます。
(エ)幹線農道の整備
 広域的な農業連携・協力による農業生産の向上の基盤の充実を図るため、幹線農道の整備に努めます。
(オ)集会・交流施設整備
 清春ふるさと学習館を建設し、農村環境の向上、農業後継者、担い手などの育成に努めます。
 また、新宿健康村、清春芸術村と連携・協力を図り、都市と農村との交流の場としての施設整備を行います。
 
イ 農産物の高付加価値化
(ア)チャレンジ農業支援
 生活できる農業へ向けて、米、野菜、花卉、果物などの生産にとどまらず、標高差のある地域特性を活かした付加価値の高い農産物生産へ向けた取組を農協などと連携・協力して支援していきます。
 なお、チャレンジ農業の推進のためには、農業や気象に関する専門技術が重要な役割を果たすため、本町に立地する農業試験場、酪農試験場及び農業大学校との連携・協力拡充に取り組みます。
(イ)地域農産物の付加価値化
 付加価値の高い農産物を生産するにとどまらず、地域でとれた農産物に付加価値をつけるために、農産物加工集団の育成を行うとともに、農産物生産加工施設の整備に努めます。
 なお、チャレンジ農業の推進のためには、農産加工に関する専門技術が重要な役割を果たすため、本町に立地する農業試験場、農業大学校及び生産設備を持つ企業と連携・協力を図ります。
(ウ)農産物販売体制の充実
 本町でとれた農産物を有利な条件で販売していくために、全国の市場の動向、中央市場の動向などを踏まえた有利な販売を農協などとの連携・協力のもとに推進します。
 また、本町を訪れる観光客への直接販売や本町の自然風土を気に入った消費者に農産物を直接販売する産直販売体制の構築強化を農協などとの連携・協力のもとに進めます。この一環として、現在設置されている長坂駅前の他にも、季節に応じてオオムラサキセンター、甲斐小泉駅付近、長坂インターチェンジ周辺など、観光客が往来する場所に農産物販売所を設置し、広く販売するように取り組みます。
(エ)地産地消運動の推進
 本町でとれた農産物や生産された食料品などを住民が自ら消費し、地域ぐるみで生産物の品質向上を図っていくために、地域の店舗などで生産物を販売し、住民が消費する地産地消運動を農協などとの連携・協力のもとに推進します。
(オ)まきばの郷(酪農)支援事業
 本町に立地するまきばの郷(酪農)事業を今後とも支援していきます。
(カ)三分一湧水館直売所(ファーマズマーケット)の育成
 地場産物の加工販売を通じて農家の収入を上げるため、三分一湧水館直売所への支援を図ります。
 
ウ 農業後継者・担い手の確保と育成
(ア)後継者育成事業
 農業のみで生活することが苦しいわが国の現実を背景に、農家に生まれた子どもにとっても、農業は、遠い存在であり、希望する職業ではなくなりつつあります。また、農家の後継者であっても農作業に関する知識や技術に乏しく、親の高齢化とともに農作業の維持体制が危機的状況になっています。
 このような状況を改善するため、農業後継者に対する農作業指導体制の構築及び農業経営に必要な知識を伝達する後継者育成事業を農協などとの連携・協力のもとに推進していきます。とくに、今後は男性にとどまらず女性への期待が高まることから、機械化と一体となった農業生産方式の普及啓発を行っていきます。
(イ)新規事業・新規就農への支援
 消費者ニーズに合った有機・低農薬農業、冷涼な気候を活かした花卉・果樹・野菜栽培など、新たな農業展開を農協や県の農業試験研究機関などと連携・協力して支援していきます。
 同時に、農家の離農者の発生の一方で、非農家から農業の希望者が出てきている社会情勢を踏まえ、非農家の新規事業・新規就農者への支援を農協との連携・協力のもとに推進します。
(ウ)農作業受託集団の育成
 営農者の高齢化及び後継者のサラリーマン化により、農作業の維持体制が揺らいでいる状況にあって、本町の各地で農作業受託集団が結成され、農業生産の補完的役割を担い農地の荒廃を防ぐうえで有効な役割を担っております。これらの農作業受託集団に対する支援体制を構築するとともに、農作業受委託のスムーズな運営に向けた受委託システムの構築へ向けた支援を行っていきます。
 
エ 農地の保全・活用
(ア)農地の保全・活用
 農地の周囲に荒廃地があると病害虫が発生するなど、農業生産に悪影響を及ぼします。このため、農地の保全・活用に向けての対応を充実する必要があります。しかし、農業後継者のサラリーマン化により、日常的な農地の保全・活用体制が弱まってきているため、荒廃地を出さないように地域での農作業の受委託体制の構築に向けた支援を農協などとの連携・協力のもとに取り組みます。
 
オ 山林の保全
(ア)全町公園化事業
 本町の恵まれた資源を活かした全町公園化事業の一環として、山林の保全・活用を図ります。
(イ)森林環境教育の推進
 本町の森林を可能な限りオオムラサキセンターのように環境教育の一環として活用する取組を充実します。
 同時に、町内の主要な観光施設間を結ぶルートの整備活用により、自然学習の場として森林を活用する取組を充実します。
(ウ)里山保全事業
 農村地域においては、農地、住宅地、里山が一体となって地域環境を維持しております。このような里山の果たす役割を踏まえ、里山保全事業を推進します。







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