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3 コミュニティ活性化に向けた方針
(1)時代をリードする産業の育成
 時代をリードする産業に関する考え方は、従来企業が単に商品販売等を目的に行う商品生産販売による「もの」を売る目的から、生活者の視点で住民、企業、団体、行政が、「情報」や「ひと」を付加価値として、地域の暮らしに根ざしたサービス産業を創り出すことが目的である。
 このまちに育つ企業のあるべき姿、地域の暮らしを支える新規事業の開発や育成を通して、明日の地域社会を支える朝日町型サービス産業の育成を目指した協働のまちづくりを進める。
 
(1)時代をリードする産業の育成に関する基本的な考え方
 生活者の発想や生活の実態に着目し、住民が安心し、健康で、楽しく暮らせる社会を支える産業の育成を進める。
 そのために、小さな市場を育て、個々の産業が連鎖することで、大きな市場を形成する産業のネットワークづくりを目指し、地産(域内生産)、地消(域内消費)の流通体制を確立し、住民の要請(消費)に応える、サービス産業の創出に取り組む。また、各地域の生活実態や就業構造の変化、高度情報化技術など技術革新の流れに呼応した地域産業の育成を進める。
 
(2)時代をリードする産業の育成に向けた施策
ア 住民の暮らしを支えるサービス産業の育成
 これまで地域の福祉活動や環境問題などについては、主として住民のボランティア活動などによって対応を図ってきたが、少子高齢化などの社会環境の変化によって、ボランティア活動だけでは補いきれないサービス産業への要請が高まっている。
 また、既存商業や地場産業が果たしてきた地域の役割として、住民間の交流や口コミ情報といった付加的な要素があったことに着目し、既存商業の活性化に向けた対策も必要となっている。
 そうした住民の要請や支え合いの精神を基盤として、地域に密着した産業形成を目指すのものである。
 
【育成方策】
○地域福祉を支える産業の育成
 朝日町では、介護保険事業並びに介護予防生活支援事業等における給食サービス、外出支援サービス、寝具洗濯乾燥消毒サービスなどによって、高齢社会の支援サービスを展開しているが、今後より多くの民間事業者参入によって、サービスの量と高質なサービス提供基盤づくりが求められている。
 また、高度情報通信技術を活用した高齢者への安否確認や、日常の話し相手など、高齢者が安心して暮らすための支援産業の育成を検討する。
 
○既存立地産業や商業のあり方に対する再考
 既存商業は、大規模店などにはない付加価値の高い商業振興や、高度情報化に伴う電子商取引などの基盤づくりを進め、消費者の求めるサービスを付加価値とした商業振興を目指す。また、宅配サービスや、ご用聞き型セールスなど、消費者に無意識のうちに利便性を提供する仕組みづくりを検討する。
 さらに、これまで「道の駅」などを通して、地場産品のPRと販売を行ってきたが、今後さらなる地場産業の振興を進めるために、関係住民や各種団体などの連携、協議を進める。
 
○地域通貨制度導入等の検討
 地域通貨制度は、ボランティア活動の促進や商業の付加価値づくりを目指し、多様な住民活動の促進を図る目的から、導入の検討を行う。
 地域通貨制度の導入に際しては、NPO団体等民間促進団体による運営を念頭に、その機構づくりを検討する。
 
【協働による展開の方向】
○社会福祉協議会や福祉法人などの既存の団体の参画をも視野に入れた検討
 地域福祉を支える産業の育成に際し、現在保健福祉サービスを行っている民間団体等との連携や協力体制のもとで、住民が自主的に取り組む福祉産業の育成に向けた検討を行う。
 
○まちづくりTMOの設立に向けた検討
 既存商業の活性化や地場産業の育成に向け、TMO(タウンマネージメント機関)の設立を検討し、住民が主体的に運営する機構づくりを検討する。
 
○活動の中心となるNPO法人の設立の検討
 これらの施策を具体化するために、活動の中心となるNPO法人の設立を検討し、中心となって活動を促進する機構づくりへの検討を行う。
 
図表4−2 住民の暮らしを支えるサービス産業の育成のまとめ
方策 展開のイメージ例 協働による展開の方向
地域福祉を支える産業の育成 ○給食産業 ○社会福祉協議会や福祉法人などの既存の団体の参画をも視野に入れた検討
○移送サービス産業
○寝具乾燥サービス産業
○子育て支援産業
○高齢者への電話サービス産業など
既存立地産業や商業のあり方に対する再考 ○宅配サービス事業 ○まちづくりTMOの設立に向けた検討
○電子商取引
○地場産品の開発
○地場産品販売など
地域通貨制度導入等の検討 ○地域商品券制度 ○活動の中心となるNPO法人の設立の検討(まちづくりTMOによる検討も可能)
○ボランティア得点制度
○リサイクル用品換金制度など
 
イ 新しいビジネス創出に挑戦する環境づくり
 地域と一体感のもてるサービス産業の育成は、形ある『もの』、形のない『もの』づくりへの基盤づくりとして位置づけ、さまざまな分野における起業化、新しい商品の開発、住民の要請に応えるサービス産業などを生み出していくために、互いに研鑽し合う環境づくりを進める。
 
【育成方策】
○環境産業の育成
 環境汚染や地球温暖化などの環境問題が、日常生活のより身近な問題として取り上げられる今日、安全で楽しく暮らすことのできるまちづくりに向けた環境産業の育成を進める。
 
○SOHO型産業立地促進
 高度情報通信技術が進むなかで、在宅型の就労の場づくりに向け、SOHO型の産業育成を進める。
 
○伝統的な技術の継承マイスター制度
 伝統的な技術や技を持つ人々を登録し、知識財としてまちの産業活性化に資する活動展開を促進するため、マイスター制度の制定について検討を進める。
 
【協働による展開の方向】
○育成に向けた協議体制作り
 環境産業の育成に向け、プラントピアや関連団体等を含めた協議体制をつくり、実現可能な取り組みについて検討を進める。
 
○町外における既存NPO団体などへとの情報交換
 SOHO型産業の育成に向け、町外で活動するNPOなどの団体の連絡体制を図り、立地環境の整備や住民へのPR活動を含めた展開を進める。
 
○マイスター制度づくりへの検討
 町民技術や技を継承し、さまざまな住民活動の支援体制をつくるために、マイスター制度の設立を検討する。
 
図表4−3 新しいビジネス創出に挑戦する環境づくりのまとめ
方策 展開のイメージ例 協働による展開の方向
環境産業の育成 ○ガーデニング関連産業 ○育成に向けた協議体制づくり
○リサイクル商品販売
○環境浄化関連産業
○地域緑化産業
SOHO型産業立地 ○資格事務所(建築・税理士など) ○町外における既存NPO 団体などへとの情報交換
○学習塾
○工芸家
○開業医など
伝統的な技術の継承マイスター制度 ○工芸マイスター ○マイスター制度づくりへの検討
○農業マイスター
○芸能マイスター
○観光ガイドマイスター
○郷土食伝承マイスターなど
 
ウ 住民主体の産業振興
 産業振興策は、行政が主導的に構想、計画したシナリオにのるのではなく、住民が自らの生活感や、住民の欲するサービス育成を目指し、地域密着型産業の育成を進める。
 
【育成方策】
○生活を支援する産業のネットワーク機構の構築検討
 生活に密着したサービス産業を育成していくために、他市町村における取り組みなどと連携するとともに、町内における分野を超えた各種産業の連携機構体制づくりを進める。
 
○インキュベータ(産業育成)機関
 住民の生活を支援するサービス産業が、地域に密着した産業として育っていくまでの一定期間、これを支援育成する体制づくりを進める。







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