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(2)成熟型社会のコミュニティづくり
 住民の要請を満たす成熟型コミュニティは、それぞれの分野において、地域に眠る人材発掘などより、多様な住民活動を促し、推進リーダーの育成などを進め、成熟型コミュニティ形成を進める。
 
(1)朝日町における成熟型社会のコミュニティ形成への基本的な考え方
 少子高齢化が進展する社会的な背景のもと、ものの豊かさから心の豊かさを実感できる生活環境づくりを目標とし、住民の主体的な取り組みを柱としたコミュニティ形成を目指す。このため、住民・団体・行政が一体となってまちづくりの芽を育てるとともに、一元的なグループ活動やサークル活動にとどまらず、さまざまな年齢層の住民が精力的に活動できる社会環境を築く。
 
(2)成熟型社会のコミュニティ形成に向けた施策
ア 年齢層や志向に応じたグループ活動などの展開
 住民の多様化する要請に対応したグループ活動の推進を目的に、多くの住民が参加しやすいグループ活動やサークル活動の場を提供する。また、情報化機器を活用し、いつでもどこでも自由に参加できる意見交換の場や、趣味などの情報交換を行える環境づくりを検討する。さらに、子どもたちを介したふれあい活動の展開を進め、多様な世代、さまざまな価値観に対応したふれあい活動を進める。
 
【育成方策】
○生涯学習活動メニューの拡大
 現実に参加し、活動する住民が限定されがちな生涯学習活動について、さらに広がりのある展開を図るため、子どもたちが参加できる生涯学習機会の提供や、コミュニティ・スクール(休耕田を利用した農作業体験など)の開催など、これまでの参加機会の少なかった年齢層の人々にも参加しやすい環境づくりを検討する。
 
○地域総合型スポーツの推進
 子どもの健全育成や地域交流の場となる競技スポーツの普及などを目標に、スポーツを通した明るいまちづくりを進める。
 子どもから高齢者まで、気軽にスポーツを楽しむ環境づくりを念頭に、休日などの学校施設の利用や、学校の完全週5日制に伴う子どもたちへのスポーツの機会の提供を図る。
 
○情報通信ネットワークを活用した語らいの場づくり
 勤務形態の違いなどから、住民間で集まって話をしたりする機会が少なくなりつつある現状から、インターネットなどを利用し、複数の住民が意見を交換したり、情報を提供しあえる「電子情報通信上の談話室」などを設置し、住民相互の交流やさまざまな活動意識の喚起につながる機構づくりを検討する。
 
【協働による展開の方向】
○住民の知識や技能を活用した学習環境づくり
 住民の知識や技術を活かし、生涯学習の講師や指導員などとしての参加を図り、多様な生涯学習活動の展開を図る。
 
○子どもを中心とした世代間交流学習機会の拡大
 子どもを介した世代間交流機会の拡大を図るため、子供会や少年スポーツクラブなどを通した交流機会の創出を検討する。
 
○体験活動ボランティアヘの参加
 体験ボランティア活動への更なる参加を促し、生涯学習メニューの拡大を検討するとともに、新しい年齢層の住民にとっても、魅力ある学習環境の整備を図る。
 
○町民スポーツ大会などとの連携
 地域総合型スポーツなどの活動の展開を図るために、体育協会などとの協議を進めるとともに、町民スポーツ大会などとのイベント内容との整合性ある活動内容を検討する。
 
○住民の自主企画によるスポーツイベントの開催
 住民の自主的な企画、運営によるスポーツイベント開催について検討を進めるとともに、スポーツ活動普及への体制づくりを進める。
 
図表4−4 年齢層や志向に応じたグループ活動などの展開のまとめ
方策 展開のイメージ例 協働による展開の方向
生涯学習活動メニューの拡大 ○コミュニティ・スクールなどによる地域特性を活かした学習環境づくり ○年齢階層別の需要に応じた生涯学習メニューや住民が講師となった学習環境づくり
○多様な学習ニーズに対応したメニューの検討 ○子どもを中心とした世代間交流学習機会の拡大
○子どもが先導する世代間交流の学習機会 ○体験活動ボランティアヘの参加
地域総合型スポーツの推進 ○住民が自主的に運営するスポーツクラブ ○町民スポーツ大会などとの連携
○少年スポーツ団との連携を考慮したスポーツ活動の展開 ○住民の自主企画によるスポーツイベントの開催
○健康づくりスポーツの普及とスポーツ交流
情報通信ネットワークを活用した語らいの場づくり ○電子情報通信上の談話室 ○町のホームページ活用
○インターネットを活用した生涯学習講座 ○住民が講師となったり、学習補助員ボランティアとして参加するインターネットやパソコン技術の講習会
○図書貸し出し電子予約
○ホームページ美術館
○地域情報掲示板
 
イ 住民自治活動や自治防災活動の促進
 住民自治活動への自主的な参加と、危機意識啓発に伴う自治意識の自覚を促すなどの対策を検討する。
 また、ボランティアの登録制度の創設により、潜在的なボランティア意識を持つ人々への呼びかけと参加を促し、多様なボランティア活動の展開を進める。
 さらに、アドプトシステム(住民が分担して公共施設や環境の保全管理にあたる仕組み)の導入等により、住民や地元企業が積極的に地域の環境管理関わる仕組みづくりを検討する。
 
【育成方策】
○住民のコミュニテイ活動意識の啓発
 住民の協働精神を啓発し、住民同士の交流と連帯感をさらに高めるために、広報活動や講演会、シンポジウムなど住民が直接考え、意見を交換する場や機会を提供する。また、まちづくり活動に主体性を持って取り組むための推進団体(前述)の設立などを検討する。
 
○ボランティア登録制度の活用促進
 現在行われているボランティア活動の登録制度(体験活動ボランティア制度)などを基礎として、今後新たに活動しようとするボランティアグループや、町が活動を奨励しようとするボランティアに参加しようとする人々の登録制度を拡大する。
 
○住民の暮らし方に応じた自主防災体制
 住民の就業構造や居住者の年齢構成などに合わせた自主防災体制について、自治体や消防が初期初動体制に至る過程で、自主的な避難行動や住民の安全確保を図れる体制を協議する。特に、高齢化が進む地区においては、日中独居の高齢者が今後増加するなど、地域の実情を考慮し、自治体などの公的な機関へ一義的に防災体制の強化を求めるだけではなく、自主防災体制への協議を進める。
 
○アドプトシステムの導入等による民間管理活動の推進
 朝日町のアドプトシステムは、住民が主体となった管理団体等を窓口とし、公園や道路などの清掃や美化を分担して実施できる仕組みづくりを検討する。
 今後、地方の行政改革が進むなかで、住民が主体性を持って地域が共有する資源や社会的な資産を管理することで、行政サービスの軽減化を図るとともに、地域の資産は住民の資産であるとの意識高揚を図る。
 
 アドプトシステム 「アドプト(adopt=養子縁組)システム」は、アメリカ生まれの地域活動の方式で、住民や企業が道路の維持管理など行政業務の一部を肩代わりする仕組み。
 徳島県神山町、愛媛県久万町などいくつかの自治体で導入されているほか、全国の自治体で導入について検討されている。
 
図表4−5 朝日町のアドプトシステム(地域の資源管理の養子縁組機構)の概念図
(拡大画面:17KB)
 
【協働による展開の方向】
○行政や消防などとの連携
 住民の自主的な避難や防災活動体制づくりに向けて、行政や消防などとの連携を図りつつ、住民が主体的に協議する場を設けるなど、自主防災に向けた意識啓発を図る。
 
○消防等による指導・相談体制
 自主防災体制支援に向け、消防や行政などの指導・相談体制づくりを進める。
 
○朝日町になじんだアドプトシステムの検討
 朝日町の立地環境や、住民の思考に応じたアドプトシステムとするために、住民が主体的に内容を検討する協議会などを設け、本町独自の仕組みを検討する。
 
図表4−6 住民自治活動や自治防災活動の促進のまとめ
方策 展開のイメージ例 協働による展開の方向
住民のコミュニティ活動意識の啓発 ○町の広報、住民のミニコミ誌による啓発 ○TMO(まちづくり管理機構)の設立(前述)
○シンポジウムや講演会の開催と参加
○各種住民活動のネットワークづくり
ボランティア登録制度の活用促進 ○ボランティア活動の情報公開 ○ボランティアバンク(ボランティア登録と活動要請の仲介)機構づくり(前述)
○体験ボランティア制度の活用促進
○地域通貨制度との連携
地域に住む人々の暮らし方に応じた住民主体の防災体制 ○自主防災に向けた地区ごとの話し合い ○行政や消防などとの連携
○自主防災・防犯体制の点検 ○消防等による指導・相談体制
アドプトシステムの導入等による民間管理活動の推進 ○公共資源管理活動への参加PR ○民間管理団体(NPO)の設立(前述)
○環境実化運動意識の醸成 ○朝日町になじんだアドプトシステムの検討
○管理委託制度の制定







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