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第4章 他都市における高等教育機聞との連携・協働の取組事例の特徴
1. 他都市における連携・協働事例の取組の概要
 本章では、他都市への取材や郵送調査などの結果から、連携・協働の取組事例の特徴についてまとめていく。
 
(1)全体動向
 近年、地域と高等教育機関の連携・協働事業は、全国各地で盛んになっており、特に公開講座や施設開放、教員の委員会などへの委員としての参加については、程度の差はあるものの、数多く実施され、地域との共同研究や共同イベントを開催する高等教育機関も増えている。
 この背景には、地域ニーズの多様化により、行政と高等教育機関や地域が協働して解決すべき課題が増えてきたことや、生涯学習などの進展により、教養・実務・リカレント教育への関心が高まったことなどがある。また、高等教育機関の側でも、少子化による学生数の減少により、将来を見据えての経営を意識するようになってきたため、地域開放や地域貢献の要望に積極的に応えようとする気運が高まってきたことも一因である。
 近年の「地域と高等教育機関の連携・協働」事業は、既往調査研究事例を参照すると、以下のように分類できる。
 
I. 高等教育機関の地域への参画
(1)地域の生涯学習機能(授業のオープンユニバーシティー化/公開講座、社会人入学、社会人大学院等)
(1)職業人のリカレント教育・研修・支援
(2)資格取得養成教育
(3)一般市民向け文化・教養・健康学習・専門情報提供
(2)地域住民のいきがい・社会参加支援機能
(3)行政への支援・専門家機能
(1)各種委員としての参加
(2)各種講師としての参加や派遣
(3)関連調査研究プロジェクト参加者、共同研究者
(4)地域経済社会組織の担い手機能(教員、学生)
(1)地域事業者の経営・事業化アドバイザリー・コンサルティング、試験研究支援
(2)ボランティア、実習活動、アルバイト活動
(5)大学図書館やグラウンド等の開放
(6)教育研究機関の共同利用
(7)教材や教育・研究に関する原材料の仕入れ元
 
II. 地域の高等教育機関への支援・連携・協働
(1)寄付講座の委託
(2)留学生等への奨学金制度
(3)インターンシップの受入れ
(4)高等教育機関との委託・共同研究事業
(5)各種情報の提供
(1)地域の伝統文化等の情報・ノウハウ・知恵の提供
(2)地域の就職や各種社会活動情報等の提供
(3)実習・研修の受入れ先の情報
 
 以上のように、地域と高等教育機関との連携・協働事業は、分野も手法も多様であり、連携・協働事業をする高等教育機関が増えてくるとともに、その内容や方法も工夫されてきている。また、積極的に地域活動を進めていき、参加したいと考える市民層の存在も増えており、行政機関や高等教育機関、市民団体などの多様な主体を巻き込んだ、まちづくりや連携・協働のメニューが新たに生まれ続けている。
 
(参考文献)
財団法人 中小企業総合研究機構 研究部「地域づくり・まちづくりの推進体制および今後の新たな展開に関する調査研究」平成13年3月31日
文部科学省生涯学習政策局政策課地域政策室ホームページ「地域政策文庫」
  http://chiiki-www.mext.go.jp/index.html







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