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No.20/36
海をまもる〜日本海軍と海上自衛隊〜
1. 日本海軍
 明治2年(1869)、軍艦3隻、輸送船4隻で発足した近代日本の海軍は、明治38年(1905)5月に起こった「日本海海戦(にほんかいかいせん)」時には、戦艦(せんかん)“三笠(みかさ)”(15,140排水トン)を始めとする戦艦6隻と、10,000排水トン級の装甲巡洋艦(そうこうじゅんようかん)6隻を中心とする、いわゆる「六六艦隊(かんたい)」を作り上げ、ロシアの「バルチック艦隊」を撃退し「日露戦争(にちろせんそう)」をわが国の勝利に導きました。その後逐次(ちくじ)隻数は増加し、昭和16年(1941)の「太平洋戦争」開戦直後には、世界最大の戦艦“大和(やまと)”を始めとする戦艦11隻、巡洋艦(じゅんようかん)41隻、航空母艦(こうくうぼかん)10隻を中心とする大艦隊に成長し、開戦後の建造数を加えると約1,600隻にまで達しましたが、敗戦によりそのほとんどを失い、日本海軍は消滅しました。
 しかしこれら艦艇の建造は、今日世界有数となったわが国造船技術の貴重な基盤(きばん)となったのです。
 
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戦艦“大和”
史上最大の戦艦として歴史に名をとどめるのが、日本海軍が建造した“大和”です。昭和15年(1940)8月に広島県呉(くれ)市にある呉海軍工廠(こうしょう)にて進水し、太平洋戦争が始まった直後の昭和16年(1941)12月16日竣工(しゅんこう)しました。 大艦巨砲主義(だいかんきょほうしゅぎ)を象徴する不沈鑑(ふちんかん)として最大・最強の軍艦を目標に極秘に建造が進められ、9門搭載された主砲は世界最大の46センチあり、装甲も同じ46センチの砲弾に耐えうるものとして、厚さ最大65センチ(砲塔全面)もありました。 しかし、太平洋戦争末期の昭和20年(1945)4月、沖縄特攻作戦に出撃中、九州南方洋上でアメリカの空母艦載機による攻撃を受け沈没しました。(展示されている模型及び本図は、“大和”の最終状態を再現しています)
【性能・要目】 大きさ 64,000基準排水トン
  全長 263.0メートル
  38.9メートル
  喫水 10.4メートル
  速力 27.0ノット
  乗員 約2,500名
  主機関 蒸気タービン(15,000馬力)
  主要装備 46センチ(45口径)主砲×9門、15.5センチ副砲×6門、12.7センチ高角砲×24門
 
竣工を目前に控えた昭和16年(1941)10月30日、宿毛湾(すくもわん)外で全力公試運転を行う戦艦“大和”
 
2. 海上自衛隊(かいじょうじえいたい)
 昭和20年(1945)8月15日、太平洋戦争の終結したこの日をもって、日本海軍は消滅(しょうめつ)しました。
 その後、昭和26年(1951)「サンフランシスコ平和条約」が締結されると海上保安庁の予備隊として「海上警備隊(かいじょうけいびたい)」が創設され、昭和29年(1954)になって、「わが国周辺海域の防衛と海上交通の安全確保」を目的として海上自衛隊が誕生しました。
 設立当初の海上自衛隊は、アメリカ海軍より貸与された艦艇が主な装備でしたが、昭和31年(1956)には、早くも戦後初の国産護衛艦(ごえいかん)“はるかぜ”(1,700排水トン)が誕生、昭和48年(1973)には対潜ヘリ3機を搭載するヘリコプター護衛艦の1番艦“はるな”(4,700排水トン)も竣工(しゅんこう)し、4個の護衛隊群(ごえいたいぐん)も整備されて海上防衛能力は飛躍的に向上しました。
 現在では、最新の防空システムを取り入れたイージス護衛艦“こんごう”(7,250排水トン)も完成し、海の安全をまもるだけでなく、大規模災害などへの対応、国際的な貢献(こうけん)、南極観測の支援など、さまざまな業務に従事し、その役割はますます重要なものとなりつつあります。
 
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イージス護衛艦“こんごう”
海上自衛隊に所属する最大の護衛艦が、この最新のイージス防空システムを搭載した護衛艦“こんごう”です。平成3年(1991)9月に三菱重工業(株)長崎造船所で進水し、平成5年(1993)3月に竣工しました。イージスとはギリシア神話に登場する無敵の盾(たて)のことで、航空機による攻撃に対し、高性能レーダーによる情報をコンピュータ等で処理し、垂直発射される対空ミサイル・システムと組み合わせて、同時に10以上の目標に対応することが可能となっています。
【性能・要目】 大きさ 7,250排水トン
  全長 161.0メートル
  21.0メートル
  喫水 6.2メートル
  速力 30ノット
  乗員 約300名
  主機関 ガスタービン(100,000馬力)
  主要装備 イージス装置×一式、VSL(垂直発射装置)×2基、ハープーンSSM(対艦ミサイル)4連装発射筒×2基、127ミリ単装砲×1門、高性能20ミリ機関砲×2基、3連装短魚雷発射管×2基
 
平成14年(2002)10月、横須賀を出港し浦賀水道を南下する、イージス護衛艦“こんごう”型の2番艦の“きりしま”







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