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船の科学館 もの知りシート

 事業名 海事科学知識の普及啓蒙活動
 団体名 日本海事科学振興財団 注目度注目度5


No.21/36
海をまもるII
1. 潜水艦の始め
 人間はいつから海に潜る道具を作り始めたのでしょう。古代ギリシア・ローマ時代の哲学者からルネッサンスのレオナルド・ダ・ヴィンチまで、古来より人が水中を自由に移動するための装置の考案例は多数残っています。紀元前356〜323年(孝安(こうあん)天皇時代)、アレキサンダー大王がガラスで造った潜水鐘(せんすいしょう)で海に潜ったとされるように、ダイバーが空気の入っている樽(たる)や鐘とともに潜るという装置は古代からあったのですが、水中を自由に動き回れる乗り物が登場したのは17世紀のことです。オランダ人ファン・ドレベルの造った手漕ぎ木製潜水艇は、水面下すれすれではありましたが、とりあえず人類初の水中散歩に成功します。水中を航行する船の条件としては以下の事柄が必要です。1)海面下の水圧に耐えうる構造であること。2)推進・操縦の手段があること。3)深度の調節ができること。4)自船の位置を知る手段があること。これに加え軍用としては、5)敵情を知る手段があること。6)攻撃の手段があること。があげられます。これだけの手段を備えて、はじめて軍用潜水艇として実用化されたものは、アメリカ人ブシュネルが1776年(安永(あんえい)5)につくった“タートル”であったといわれます。“タートル”のシステムは左右の操縦は後方に設けた舵によるもので、深度の調節には、近代の潜水艦のようにバラストタンクを有し、深く潜るときは足で注水弁を踏めば外圧で水が入ってきます。注水には手動ポンプを用いました。船の下底部には鉛バラストがあり、緊急の場合はこれを捨てて浮き上がることができる仕掛けになっていたようです。攻撃手段としては、錐(きり)が船体上部に取り付けられており、これで敵艦の船底に穴をあけて、錐の軸に環にはまった長い綱の先の火薬箱を、錐とともに敵艦の船底に残す仕組みになっています。“タートル”を離れると同時に、時計仕掛けの発火装置が動き出すといった次第でした。使用されたのは2回だけで、成果の方はというと1度目はハドソン河で英艦“イーグル”を襲撃したが錐が舵支えの金物に当たってうまく刺さらず退却する途中火薬箱を離脱したので突然の水中爆発で敵を脅かした(おびやかした)だけで終わりました。2度目はニュー・ロンドンで英艦“セルベラス”を襲ったときです。このときの仕掛けは多少改善されていたようですが、爆発前に火薬箱の綱が敵に発見されてしまいました。敵兵は苦労してこれを甲板上に引き揚げ、この異様な荷物を調べようとしたときに爆発して相当の被害を与えたということです。
 1850年(嘉永3)、プロシア軍砲兵隊伍長(ごちょう)のバウアーは、シュレウィヒ・ホルシュタイン紛争で、木材で骨組みを整え外側を鉄で覆った(おおった)38排水量トンの潜水艦を建造しました。潜航と浮上にはバラストタンクを使用し、現在の潜航、浮上メカニズムの基本がこの時点で完成していました。
 
“タートル”のしくみ
 
2. 推進システムと浮上・潜航システムの進化
 潜水艦の潜航・浮上は、メイン・バラスト・タンク(以下MBT)への海水の出し入れで行うのですが、潜航中の艦のバランスを保つなどのために、その他にもいくつかの補助タンクが設けられています。トリムタンクは潜航中の艦の釣り合いをとるもので、たとえば魚雷(ぎょらい)発射後に軽くなった前部には注水して調整します。ネガティブ・タンクは潜航の補助をするもので、浮上中満水にしておきます。MBTに海水を入れると浮力ゼロの状態となりますが、ネガティブ・タンクの量が加算されると艦は沈み始めます。そして全没後に高圧空気で排水します。各MBTの頂部にはベント弁が設けられており、開閉は油圧か人力で行われます。潜航の時にはこのベント弁を開きMBT内の空気を放出します。放出後に弁は閉鎖されスプリングの力でこれを保持しています。MBTの底部にはフラッド・ホールと呼ぶ穴が開けてあり、海水はここから出入りします。なお燃料タンクを兼用するタンクのフラッド・ホールには弁があり、これをフラッド弁といいます。浮上の時は、まず潜望鏡(せんぼうきょう)深度まで上昇して周囲の状況を確認します。続いてシュノーケル装置をあげ主吸気弁を開いて艦内気圧を大気と均圧にします。次にMBTに高圧空を放出して排水し、主機を起動させ低圧排水という順を追って浮上する仕組みになっています。
 
(拡大画面:84KB)
潜水のしくみ
 
浮上瞬間のようす







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