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我ら「海洋少年団」
日本海洋少年団千葉県連盟
会長 丸山 一郎(まるやま いちろう)
「海」を活動の場とする社会教育
 海洋少年団は『海』を活動の場とする社会教育活動団体です。
 「海のような広い心で団結し、すべての人を友とします」、「からだをきたえ心をやしない、りっぱな海の子になります」のちかいを胸に元気に活動しています。
 小学校1年生から高校3年生まで(団により多少の違いがあります)を対象として、青少年の社会教育活動を行っている団体です。「社団法人日本海洋少年団連盟」の下「地区連盟」「府県連盟」が置かれ、現在全国各地に単位団約200団1万6千人の団員が訓練活動に参加しています。
 
主な訓練活動
 主な訓練活動の内容を紹介します。
 「海洋訓練」は、カッター(6人で漕ぐ大型ボート)、ヨット、カヌー、モーターボート、水泳を始めとして、中にはスキンダイビング等を取り入れている所もあります。
 「海洋知識」は、船の歴史や種類、手旗信号法、海洋訓練に必要な天気、気象予報、海図の見方、結索(ロープワーク)、救急法等も行います。
 「基本訓練」は、集団行動のための号令や基本動作、“ちかい”と“おきて”の理解と実践等を学びます。
 「社会参加」では、募金活動、施設訪問、地域の祭り、他団体との交流、国際交流(海外派遣、海外からの受入れ、地域での交流に参加)等いろいろな形で参加しています。
 「集団活動」は、小学生から高校生まで「異年齢の仲間」が一緒になってグループ行動する活動、それが集団活動です。キャンプ、ハイキング、夜行軍等、レクリエーション的な要素が含まれていますが、社会生活に必要な「協調性、義務と責任」を学ぶには最適な活動です。
 
千葉新宿海洋少年団の場合
 私の所属する千葉新宿海洋少年団の年間活動を具体的にご紹介しましょう。原則は月に2回の活動(主に日曜日)です。
4月 新入団員の募集期間です。また1年間の成果を確認する進級テストの時期です。
5月 新入団員を迎える入団式があります。
6月 県民の日に「知事杯争奪千葉港カッターレース」があります(レースの実行委員会は、海洋少年団のリーダーで組織されています)。ジュニア、女子、一般の部にクルーを組み参加します。
 
海岸清掃の奉仕
 
7月 「海の日」ハーバー祭りに参加し、日ごろの訓練で鍛えた「手旗信号」を披露します。海岸清掃の奉仕や、「青い羽根」の募金活動をします。
8月 全国大会(隔年開催)や地区大会に参加し、海洋の仲間と交歓、交流します。千葉市の「親子三代祭り」に参加し、カッターを引き連れパレードをし、海洋少年団の存在をPRします。
9月 連休を利用して2泊3日のキャンプがあります。バーベキュー、バイキング料理、肝試し、オリエンテーリング、工作等楽しいプログラムがいっぱいです。
 
帆走訓練
 
10月 ハーバー行事に参加し、クルーザー体験や、カッター体験教室を手伝います。
11月 海洋知識の学習が多くなります。
12月 訓練納めにケーキ作り、餅つき、蕎麦やうどんを手作りします。
1月 訓練初め、消防出初め式の見学や、マラソンをしたり、近くの浅間神社へお参りに行って気分を新たにします。
2月 中・高校生はモーターボートの操縦訓練、小学生は工作や、知識の学習が主体となります。
3月 千葉県青少年団体連絡協議会主催の交歓交流大会に参加して、他の青少年団体と交流し友達の輪を広げます。
 
手旗訓練
 
 毎年恒例の『夜行軍』があります、家族や友達を誘って、約25kmの夜間行軍。小学生から高校生、リーダーが10人前後でグループとなり、助け合い、励ましあって完歩を目指します。
 以上が毎年行われている主な活動です。
 
指導者に求められるもの
 この活動を支えているのが指導者です。学生、社会人(自営、公務員、教師、サラリーマン等多種多様です)全員がボランティアです。
 現在新宿団には20人の指導者が活動に参加しています。団員から育った指導者が大半ですが、活動に参加したいと希望し、指導者講習会を経て参加している指導者もいます。
 新宿団には76歳と65歳の指導者がいます。若者に負けず、バリバリの現役で曾孫のような団員と元気に活動しています。
 新宿団は「来る者は拒まず、子供に夢を」「訓練は厳しく、楽しく」をモットーとして活動をしています。
 海洋少年団はその名が示すように「海の上での活動」が他の団体よりも多く、落水等の危険性が伴います。そのため指導者には「何事も無くて当たり前、安全第一」を厳しく指導しております。
 
カッターレース
 
 毎年4〜6月に開催する「指導者研修会」では救急法、海上衝突予防法等を日赤、海上保安部等の専門家による講習を受けています。新宿団には1級小型船舶操縦士が2人、同4級所持者が4人、合計6人おり、カッター訓練時には、レスキュー「シーフレンド」で安全対策を講じています。
 
厳しいしつけ
 新宿団は「指導者の指示には、服従」という条件と「厳しいしつけは指導上必要として、場合によっては正座、でこピンを取り入れている」ことを入団時に保護者の方に説明、了解をいただいた上で団員を受け入れております。
 これは団体行動を行う上で、指導者の指示に反し、勝手な行動をするとチームワークを乱すことになり、本人だけでなく、他人にも迷惑をかけることになるからです。
 海上での訓練には最も重要なことです。同じミスを繰り返したり、危険な行動、他人に迷惑をかけたり等の行動があった場合に限ります。その処置について、保護者の方が納得いかぬ場合には、指導者に問合わせていただき説明・話し合うことにしています。
 
指導者の指示には服従
 団員に「指導者の指示には服従」を義務付けていることから、指導者はミスを犯さぬよう、常日ごろより安全確保と指導方法の研鑚に努力し、配慮しています。
 完全学校週5日制が今年度より実施されました。文部科学省は子供達にいろいろな体験や学習に参加することを指導しています。地域の活動やボランティア活動に参加することを期待しています。
 私達、青少年の健全育成、社会教育に携わる者は、子供達に「創造的なこと、伝統的なこと、冒険的なこと」を体験する場所・機会を提供することが与えられた役割だと思います。
 
集団生活で学ぶもの
 現在、さまざまな青少年団体があります。手段・方法はそれぞれの団体によって、違いますが、「子供達にさまざまな体験をさせ、学んだことから自分の未来を考えさせること」また、「社会に出た時、役に立つ経験・体験を積み、積極的に生きていくこと」を目的にしていると思います。
 団体での活動を通じて、ゲームや遊びにもルールがあることを学びます。ルールを守らなければ遊びが成立せず、仲間に入れてもらえません。社会の最小単位である家族から出て、集団生活の中で「自分は何をしたらよいのか?」「何をしなければいけないのか?」。子供達は体験を通じて学ぶことが一番大切なのです。知らぬことで間違える、未経験では仕方ありません。間違え、失敗しながら経験を積み、学習しながら成長するのだと思います。
 青少年の凶悪犯罪の増加、他人との協調・調和を考えぬ自己中心の子供達の多さ。この風潮の一端は、学校生活と塾通い、ゲームに多くの時間を取られ、異年齢集団で遊ぶことの少なくなったことにも原因があると思います。
 
「ガキ大将」の創造
 「ガキ大将」と言う言葉が死語になっています。昔のガキ大将は、年下の者や弱い者を守り、グループを指揮し、いろいろなことを試み・体験させてくれました。現代の子供社会に欠けているもの、それがガキ大将の存在ではないでしょうか。「ガキ大将」はリーダーです。集団の中でリーダーシップを発揮出来る子供、良い意味での「ガキ大将」の創造を目指したいと思います。
 
指導者はボランティア
 私達、海洋少年団の指導者は「全てボランティアです」プロではありませんが、先輩より伝授されたことを、後輩に伝え、指導して来ました。時代の変化と共に手段、方法は変わりましたが、目的とするところは全く同じです。ボランティアだからこそ、自分も楽しみ、仲間と愉快に活動し、そして子供に夢を、体験を分けてあげられるのではないでしょうか。
 年は重ねても、いつまでも子供と同じ夢を見る指導者でありたいと思います。
 
日本海からのおくりもの
藤井 康広
A5判、324ペ一ジ、自費出版、
1,500円(送料実費負担)
お求め先:福井県坂井郡三国町3−3−20
医療法人 聖仁会藤井病院
Tel0776-82-1113 FAX0776-82-5779
 
 重油が突然流れ着いた。行政が重油を回収してくれると思っていたが、荒れる冬の日本海では思うようにいかない。やむにやまれず地元民がひしゃくですくいだした。その映像を見て各地からボランティアが集まってくる。それをいかに効率よく重油回収につなげたか。地元住民とボランテイアの16人からの手記で重油事故の全容が浮かび上がる。巻末の重油事故の経緯、そしてボランティア宿泊所のノートからの抜粋。この本は庶民の目を通してさまざまな角度から見ているので日本海重油事故を一番物語る本だと思う。5年を経た今、あの重油災害は何だったのかを検証する上でも貴重な記録となっている。







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