日本財団 図書館


1. 調査目的
 高度経済成長の終焉に伴う我が国産業の第二次産業中心型から第三次産業中心型への転換により、物流においても重厚長大型から軽薄短小型への転換が生じてきた。また、近年の消費行動における24時間化(深夜営業のコンビニエンスストアの発達等)や商品の高付加価値化(カット野菜の盛況等)等に伴い、物流も多頻度小口化の傾向が強まってきた。
 これにより、都市内物流の活性化が図られたが、反面、交通量の増大による交通渋滞の激化、これに伴う都市経済活動の硬直化や排気ガスの増加、交通事項の増加等、様々な社会問題が生じている。
 このような背景から、社会問題を抑制することが可能と考えられる鉄道や内航貨物船へのモーダルシフトの考え方が進展しており、特に江戸時代において海から内陸方面への重要な交通・物流手段であった河川舟運について見直しがなされつつある。
 河川舟運においては、阪神・淡路大震災の教訓から、陸上交通機関が麻痺した際の代替交通手段として注目されているところである。しかし、プレジャーボート等の普及に伴い放置艇が増加しており、水域の有効利用上に問題が生じている。
 このような中、国をはじめとした沿川自治体、企業等による河川活用の方策や水域の有効利用方策、災害時における河川舟運の活用方策等の検討がなされており、今後、河川舟運は都市の陸上交通を補完する重要な交通手段となる可能性を秘めている。
 本調査は、このような社会動向を踏まえ、我が国の中心都市である東京都を流れる荒川・隅田川を対象とし、今後発展の期待される河川舟運について、モーダルシフトの手段としての活用方策、災害時における陸上交通の代替交通手段としての活用方策等について、国をはじめとした沿川自治体、企業及び有識者等に対するヒアリングや関連する文書等を参考に、船舶の河川航行の安全性及び効率性を高めるための方策及び方向性を検討することを目的とした。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION