本報告書は、当協会が日本海事財団の補助金を受け平成14年度に実施した河川の活用策等に係る調査研究の結果をまとめたものである。

　本調査研究においては隅田川及び荒川をモデル河川とし地震発災時における両河川の活用及びモーダルシフトに係る両河川の活用をテーマとしたが、河川の活用にあたっては船舶の安全性、効率性に係る事項の検討が重要であることから河川の水域環境、航行規定・標識及び航行上の留意事項等の基礎調査を先ず行った。特に地震発災時には、現在、両河川を利用している船舶のみならず他の船舶も物資・人員輸送のために調達する必要があることから、その調達船のために参考となる事項の調査、情報の提供が不可欠である。

　また、モーダルシフトにおける河川利用への転換のためには両河川の水域環境が判断材料になるものと思考し調査を行った。

　次いで、地震発災時の即応体制が実効を発揮するためには、水域環境等の現状と物資・人員輸送及びリバーステーションにおける物資の陸揚体制が密接な関連にあることから調査を行った。また、モーダルシフトにおける河川活用に係る事項については車輌による運送と船舶による運送につきモデルルートを設定し、運送費用、運送時間及び排気ガス等の項目をもとに調査を行った。今回行った調査結果については今後、更なる調査が加えられ、所期の目的が達成されることが望まれる。