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私はこう考える【北朝鮮について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


毎日新聞朝刊 2003年1月11日
社説 NPT脱退 自ら手詰まりに陥るだけだ
 
 北朝鮮は10日、核拡散防止条約(NPT)から脱退し、国際原子力機関(IAEA)との保障措置(核査察)協定にも拘束されないと宣言した。
 北朝鮮は昨年末から米朝枠組み合意で凍結された核施設の再稼働や査察官の国外退去など瀬戸際外交をエスカレートさせてきた。NPT脱退も、その線上で予想されていた行動の一つだ。
 IAEAは6日の理事会決議で北朝鮮がすみやかに国際合意を順守する立場へ復帰するよう呼びかけた。日米韓の政策調整会合も7日、米国が「国際社会の義務を果たす」ための対話ならば応じるとの柔軟姿勢を提示している。
 「外交を通じて平和的に問題を解決する」(日米韓共同声明)ためのボールは北朝鮮側にあった。にもかかわらず、北朝鮮は自ら国際社会と結んだ約束をさらに踏みにじる悪球を打ち返してきた。
 日本など関係国が遺憾の意と撤回を申し入れるのは当然のこと、それでなくとも国際世論は硬化しつつある。IAEAに「問題を国連安保理に付託せよ」と求める声が高まるのは避けられない。
 国連制裁や米国などの「封じ込め」が発動される前に、直ちに脱退を撤回するよう求める。
 NPTは核保有国をこれ以上増やさないための大切な条約で、その堅持と強化は日本や国際社会の総意だ。北朝鮮が「脱退カード」を行使したのは初めてでない。93年にも核査察を拒否してNPT脱退を宣言。米朝協議を経て、枠組み合意(94年)に持ち込んだ。
 だが、当時と現在では状況が根底から違う。第一に、中露両国も日米韓と同じく朝鮮半島の非核化を求めている。核をふりかざして体制の安泰を求めるような振る舞いを支持する国はない。
 第二に、今回の問題の発端は北朝鮮が新たにウラン濃縮核開発を認めたことにある。枠組み合意やNPT、南北共同宣言にも違反する行為であり、まずその廃棄と既存核施設の再凍結なしには、交渉も取引もあり得ないことだ。
 北朝鮮声明は「核兵器開発の意思はない」としているが、それならばNPT脱退に合理性はない。「電力調達」と言いながら、実験炉の容量では民生用電力を満たせないし、送電施設もない。矛盾だらけで、筋の通らない声明だ。
 日米韓声明を受けて北朝鮮外交官が10日、クリントン前政権高官と面談した。北朝鮮の駐中国大使も「米国が重油供給を再開すれば脱退の撤回を検討できる」と述べた。脱退宣言でブッシュ政権を揺さぶり、体制保証と重油を得たい狙いが見えすいている。
 10年前の核危機を再現し、柳の下の二匹目のドジョウを画策しているのだとすれば、はなはだしい読み違いだ。日米韓を含めて世界は冷静に対処する用意ができている。世界を脅して利を求める外交に突き進めば、国際的孤立は一層深まる。体制安定も経済再建もますます遠のいていくだけだ。
 自らを手詰まりに追い込むような道は理性的でない。早く引き返した方が北朝鮮のためだ。
 
 
 
 
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